赤鯱新報

【特別短信:巻き返しを期する者たち】第3回:酒井隆介

現在、控えメンバーでいることを最も悔しがっている選手かもしれない。憧れの田中マルクス闘莉王とコンビを組んでプレーする権利は、あと少しで手に入ったはずだったのだ。「スゲー安心感なんですよ。後ろにトゥさんがいてくれる。オーラを感じてプレーできるんです」と、子どものような無邪気さで語っていた酒井隆介はいま、スタメン復帰への道を画策している。

あと一歩で越えられそうだった壁を前にして出番を失ったことも、酒井にとっては不運だった。6月の加入から順調に定位置をつかみ、俊足のセンターバックとして周囲との連係も着実に深めていた矢先のアウェイ横浜FM戦で足をつって途中交代。その後広島、浦和と続いた強豪との連戦ではフル出場したが、続くアウェイの柏戦とホームFC東京戦は65分、74分と早い時間に足がつり、チームの交代策に悪影響を及ぼしてしまった。「確かにつりやすい体質でもあるんですけど、ここまでひどいのはなかったです」と本人も首を傾げた「足つり癖」は、フル出場が基本のセンターバックというポジションでは文字通りの足かせにしかならなかった。「気候が暑い間は無理かもな」とスタッフから告げられ、酒井はバックアップメンバーに回った。

その状況を打破してくれそうだったのが、闘莉王だった。

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