赤鯱新報

【赤鯱短信】楢崎正剛、41歳。過去最高に多才な守護神を、楽しむ。


「何ですか、どうせ41歳の誕生日って話なんでしょう?」

さも嫌そうな顔を作って、楢崎正剛は報道陣の前で立ち止まった。昨年は40歳の大台に乗せたことで騒がれたが、今年は41歳でしかも生まれ故郷の徳島での試合が誕生日当日という巡り合わせで、やはり騒がれることになってしまった。最近の楢崎は年齢のことを問われるのを嫌う。プレーや結果以外で話題になるのが好きではないからだ。だから「巡り合わせでも何でもないですよ、そっちのこじつけでしょ」と素っ気ない。

徳島戦前の最後の取材機会だった4月13日の非公開練習後、楢崎はこのところお決まりとなってきたシャワー後のラフなスタイルで記者の質問に答えていた。1年前、40歳の誕生日はやはり試合日当日で、熊本地震が起きた日だった。そのことについては、「それが忘れられない。自分の誕生日になるとそれを思い出すけど、忘れない、意識するという意味では、言い方はおかしいけど、僕にとっては良かった」と神妙な顔で語る。

しかし、だからと言って「では!」と帰ろうとする守護神をそのまま帰すわけにもいかない。一言では言い表せない衝撃や苦しさ、驚くような変化を味わった1年間が過ぎ、楢崎は新たな一歩を踏み出しているからだ。40歳から41歳へ向かう中で起きた変化。それを楽しむ大ベテランの表情は実に若々しい。

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