赤鯱新報

【愛媛vs名古屋】レビュー:反省点は多く、しかし勝点3に貴賎なし。見えたのは次なる可能性か、喫緊の課題か。

■2017明治安田生命J2リーグ第15節
5月21日(日)愛媛 1-2 名古屋(16:03KICK OFF/ニンスタ/7,863人)
得点者:27’近藤貴司(愛媛)44’田口泰士(名古屋)59’玉田圭司(名古屋)
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「楽に勝たせてくれないよ、本当に」

試合後、記者会見場へ向かう道すがらの風間八宏監督に遭遇すると、こっちを見るなり苦笑いを浮かべてそう呟いた。その台詞は相手の愛媛にというよりは、自分のチームに向けられたものだったに違いない。先制されるも前半のうちに追いつき、後半に逆転して勝ちきる。アウェイでの勝点3の価値は大きく、逆転するチーム力は確かに喜ばしいものだ。しかし、それでも。この愛媛戦が「勝って兜の緒を締めよ」の試合だったことは、やはり否めない。

相手がハードマークで立ち向かってくるのは肉体的に苦しいが、来なければ来ないで別の苦しみがあることを思い知った戦いでもあった。愛媛はアグレッシブなチームだが、守備についてはポジショニング重視でゴール前を固める形でゴールを守るチームだった。それゆえ立ち上がりから名古屋は普段よりもある意味で楽にボールを回しながら前進していったが、相手がなかなか動かないからこそ崩しの精度とアイデアの質が求められる展開に持ち込まれた。この日はボランチでのプレーとなった和泉竜司は「回させられている感はありました」と証言する。相手の3トップは常にカウンターを狙っていたため、ボランチ以下の守備陣たちも安易なオーバーラップが仕掛けられない難しさを抱え、攻撃はどこか散漫なものにもなっていた。

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