赤鯱新報

【クラブニュース】田鍋陵太が熊本への期限付き移籍を発表。

本日8月3日、田鍋陵太の熊本への期限付き移籍が発表になった。昨日の天皇杯3回戦再開試合にも出場していただけに寝耳に水の知らせとなった感は強いが、もちろん以前から水面下で進められていた話で、またも名古屋の“古参組”が他チームへと活躍の場を求める形となった。今季は奇しくもホーム熊本戦で1年5ヵ月ぶりの実戦復帰を果たし、その後はホーム京都戦でスタメン出場したほかベンチ入りが2度のみ。細かい負傷にも悩まされつつ、大きな離脱をすることなく日々の練習に取り組んできた。

しかし紅白戦にすら入れないトレーニングも少なくなく、高卒6年目という年齢も鑑みた結果、今回の移籍を選択するに至っている。昨日、8分間のみセンターFWとして出場した天皇杯3回戦は、実は彼にとってはひとまずの名古屋ラストマッチだった。田鍋は多くを語らなかったが、「頑張ってきます」と言い残し、名残惜しいパロマ瑞穂を後にしている。その背中は大きく、旅立ちへの意気込みに満ちているように見えた。

古参の選手がまた一人、いなくなる。それは寂しいことだが彼にとっては必要なことだったのだろう。その胸中、いかばかりか。「自分が他のチームでプレーするってイメージできないんですよ」と語る男の、ひとまずの別れの挨拶をここにお届けする。


最初は移籍を考えてはいなかったんですよ。自分はこのクラブに長くいる選手だし、シーズン最後までやろうと思っていました。でも、熊本からは実は、プロ2年目のオフにも声をかけられていたんです。その時は次のシーズンから監督が西野さんに変わることが決まっていたので、「ここは待ってみれば?」といろんな人にに言われたんです。せっかく監督が変わってみんなフラットな状態で戦えるわけで、実際に西野さんはオレを買ってくれてもいたわけで。でも、そうやって熊本というクラブはけっこうオレを気にかけてくれていたチームだったんです。ましてや去年は試合をしていない、今年も数えるほどしか試合に出ていない、それでもオレのことを評価して獲ってくれるなんてことはめったにないわけです。それは移籍の決め手になりました。

試合にはあまり絡めなかったんですが、この半年にはポジティブなところもあります。自分は正直言ってプレースタイルとして、パスを受けてつないでという感じではありません。でも、風間監督が来てからトレーニングなどもいろいろ変わって、上手くなれたという実感があるんです。以前の自分に置き換えて考えたらやっぱり全然違う。パスを受ける時にも余裕が作れるようになって、視野が広がったというか。無駄ではなかったんです、この半年は。前まで自分が見ていた景色と、今見えている景色は違う。そこはプラスとして捉えています。

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