【岐阜vs名古屋】レビュー:駆け引きを制し、“名古屋スコア”再び。進化し続けるチームはここでまた、上昇気流に乗り始めた。
■2017明治安田生命J2リーグ第35節
10月1日(日)岐阜 2-6 名古屋(15:03KICK OFF/長良川/17,027人)
得点者:22’大本祐槻(岐阜)32’田口泰士(名古屋)36’ガブリエルシャビエル(名古屋)46’ガブリエルシャビエル(名古屋)54’ガブリエルシャビエル(名古屋)66’難波宏明(岐阜)84’青木亮太(名古屋)90’+3永井龍(名古屋)
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名岐ダービーならぬ“木曽川クラシコ”かと思うほどの、ド派手な快勝劇だった。先制されたのは玉に瑕だったが、試合中の修正を直接的な形で挽回につなげた流れは見事の一言。シャビエルのハットトリックに留まらず、煮え切らないプレーが続いていた永井龍と青木亮太にもゴールが生まれたことも今後へ向けては収穫で、前節で狼煙を上げつつあったラストスパートへの機運は、6-2の「名古屋スコア」によってさらに高まったと言える。
大勝は、苦境を乗り越えてのカタルシスを感じさせるものでもあった。岐阜のハイプレスには想定も準備もしてきた名古屋だったが、彼らのそれは練習以上にツボを心得ていた。狙いはビルドアップの緩慢さで、特にワシントンと櫛引一紀の横パスの多さに狙いを絞ったプレッシングが想像以上に効果を発揮。「自分も含めてもっと裏を狙えば良かった」と武田洋平は反省したが、3トップが最終ラインを、3センターがサイドバックとボランチを、そしてロングボールをセンターバックが跳ね返す陣形が確立された岐阜のプレス網に四苦八苦する場面は立ち上がりから散見された。時にペナルティエリア付近で同数のマッチアップでパスをつなぐ場面も見られ、失点する22分あたりまではピッチ内での解決策が見つからずに押し込まれた。
失点の形にしても、相手のストロングポイントをそのまま受け止めてしまった。庄司悦大を中心とした中盤の構成力はもちろんのこと、岐阜の魅力は攻撃的でスピーディーなサイドアタックだ。左は突破力の古橋享梧とクロスが得意な福村貴幸、右はドリブラーの田中パウロ淳一にダイナミックなランが魅力の大本祐槻がサイドを疾走し、序盤は特に名古屋の左サイドが劣勢に陥った。前後の関係性と練度もかなりのもので、大本のゴールも布石込みのもの。それまで何度も外を回ってオーバーラップしてきた大本をデコイに使ってきた田中が、この場面で満を持したように大本を使って得点へつなげている。自分たちと同じペナルティエリア攻略の意図を、選手が飛び込むことで実現してきた岐阜の攻撃に、名古屋はまんまとしてやられたわけだ。
いきなりの劣勢でまたも先制される展開になった名古屋はしかし、指揮官の機転でチームと戦況をがらりと変えた。
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