川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】取材は「筑波大学第一サッカー場」より

取材は「筑波大学第一サッカー場」より

ある雑誌の取材のために、筑波大学蹴球部の練習場を訪れた。つくば市に足を踏み入れること自体が初めてだったので、僕の住む街から学園都市までどれくらいの距離感があるのかつかめなかった。つくばエクスプレスを利用した取材の道のりは、北千住駅からつくば駅まで47分間を費やした。想定していたよりも楽な遠征だった。

Webで調べた天気予報では、夕方から雨が降ると伝えてくれる。雨よけのために傘を持って出掛けることにした。次に、寒さ対策のために少し厚着をしたのだけれども、17時から始まった練習を見学するのには、もう1枚上着が必要なほど冷気が体を包み込んだ。

【黄色の瞳】Note.7:取材は「筑波大学第一サッカー場」より

現在の筑波大学蹴球部の監督は、2013年までガンバ大阪のアシスタントコーチを務めていた小井土正亮である。彼は、2005年から2010年まで清水エスパルスで、G大阪と同じように、当時指揮を執っていた長谷川健太監督に請われてアシスタントコーチをしていた。J1リーグで活躍した現役のコーチが、大学の監督に就任したのである。

筑波大学蹴球部と言えば、川崎フロンターレの風間八宏監督を頭に描く人が多いかもしれない。しかし同大蹴球部の戦い方の歴史をひもといていくと、風間が大学の指導者として目指し実践したサッカーは、戦い方のスタイルにおいて異端だったのではないのか、ということだ。異端だったからこそ、インパクトが強かった。おそらく、それが真相なのだろう。

小井土監督が就任した時、大学蹴球部は関東2部に転落していた。そこから1部に復帰させて、今年度は明治大学に続いて2位の順位につけている。それだけでも、小井土監督の手腕がうかがわれる。

彼と話していて、同大学のとあるOBの存在を思い出した。現在ファジアーノ岡山の監督をしている長澤徹のことである。長澤監督とは、元ロアッソ熊本の宇留野純のノンフィクションを書くために、長い時間を取ってもらって話をうかがったことがあった。

この日話した小井土監督は、どことなく長澤監督に似ているように思えた。

川本梅花

【黄色の瞳】Note.7:取材は「筑波大学第一サッカー場」より

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