石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事/J1担当主審強化合宿取材記2013】山岸貴司

今年から、J1担当主審強化合宿を取材できるのは午前のみとなった。なので、話を訊ける方が限られてしまう。ということで、この合宿をコーディネートしている日本サッカー協会(JFA)レフェリーフィジカルトレーナー山岸貴司氏、吉田寿光氏に30分ずつお時間を頂き、若手の代表格でもある福島孝一郎氏に5分という形で話を訊いた。

山岸氏に関しては、最初はTV局の代表が質問する形式(スポーツ番組に流される試合後インタビュー形式)になった(とは言っても、スチールは2社、新聞2社しかいないが)。

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―(代表者)色々と分かれて練習されていましたが、どのような狙いがあったのでしょうか?

 

ゴール前の練習は、判定を間違ってはいけないポイントですね。そこに、フィジカルを入れました。

廣嶋(禎数:JFAトップレフェリーインストラクター)さんのブロックは、レフェリーとアシスタントが協力しながらトレーニングします。その中で、レフェリー、そしてアシスタントのポジション、視点からお互いの判定はどう見えているのか。

中央で行っていた練習は、まずスプリントがあって、そこからジャッジします。選手の意図、悪さっていうんですかね。それを感じるっていうトレーニングですね。

全てに共通しているのは、立っているのではなく、動きながらです。実際のレフェリーは心拍数が上がっていますから。

 

―合宿の軸みたいなものはあるのでしょうか?

 

今回は『ピラーストリングス』というのですね。真ん中の自分の柱。昔でいうと、体の軸、センターっていう言葉を使っていたんですけど、最近はピラーという言葉を使っていまして。真ん中がブレないようにというものですね。柱が走る時も、曲がったりブレたりしないように体を使おう。これによって、加速のメリット、走り出しの速さが生まれます。そして、加速した後にブレないというのは、しっかりと止まることにも繋がります。姿勢が改善されれば、無駄な力で走るということがなくなる。疲労の軽減になります。疲労は肉体だけではなく、頭もそうですよね。

 

―レフェリーの方が、笛を吹く(判定する)ことで重要になるポイントというのは?

 

やはり心拍が上がった状態、ドキドキしながら判断しなければいけないというのは凄く大変です。しかも、レフェリーは、走れるようになることが目的ではないですよね。しっかりと走った後に、判定できるということが大切です。ランナーのように、まっすぐ早くだけではダメですよ、と。

 

―じゃあ、選手とはまた違いますね。

 

選手とは別物です。選手みたいにボールは蹴りません。接触もありません。ただ、選手と同じ要素もあります。加速、動き出しの要素ですね。止まること。止まってから、次のリアクションに繋げる動作。そういったことは共通した要素ですね。

 

―普段注目されないけど、悪いと注目される大変な職業ですよね。

 

私もこの仕事について六年目なのですが、こういう仕事があるんだなと。それまでチームにいたので、どちらかというと異議も言ってましたし(笑)。いずれにせよ、レフェリーはサッカーにおいて、凄く大事な存在ですよね。選手は過酷なトレーニングで、心身ともに開幕に合わせている。我々レフェリーも合わせようというのが、このトレーニングでもありますね。

レフェリーの世界で圧倒的に足りないのは、ストリングスへのアプローチが少ないんですね。だいたい「トレーニングしてください」というと、自宅に帰って走ることとか、たまに泳ぎますとか。選手のように腿を鍛えたりとか、お腹を鍛えたりとか。そのような発想が少ない。そのピラー、柱を作るためには、真ん中の筋肉をしっかり使えなければいけないですね。

 

―代表からは以上です。他に何かあれば(毎回のお決まり文言です)。

―(ここからは拙者がインタビュアー)毎年、いままででしたら、上川(徹:JFA審判部長)さんと二人で合宿のテーマを決めていましたよね?たとえば、『チェンジディレクション』など。今年は、岡田(正義:JFAトップレフェリーインストラクター)さんと掲げたものはありますか?

 

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