石井紘人のFootball Referee Journal

【石井紘人レポート】JFA Media Conference on Refereeing2015 前編

日本サッカー協会(JFA)審判委員長・上川徹

「お忙しい中、ご参加頂き、ありがとうございます。最初に20問、判定テストを受けて頂き、その後、岡田さんから色々とご説明させて頂きます。今週土曜日のゼロックススーパーカップからシーズンが始まります。J1は2004年以来の2ステージ制になりますが、審判員のなかには2シーズン制を経験していない審判員もいます。2ステージ制になると、当然、ヤマが二回あります。また、レギュラーシーズン後に、ビッグゲームもあります。

昨シーズン、コミュニケーションシステムを導入できました。導入したことで、主審と副審の連携がより取れるようになりました。必要な情報なのかどうかという部分で、判断が遅れたり、お互いに任せあったりという部分もあったので、そこは改善できればと思います。

選手、チーム役員とのコミュニケーションも課題でしたが、取り組んでいます。キックオフカンファレンスでチームの監督さんと話をしたり、お互いの信頼関係を作っていければ。

選手対審判という対立関係も少なくなっていると思います。細かい部分は、これからご説明できればと思います。今日はPR(プロフェッショナルレフェリー)も参加しておりますので、彼らからも説明させて頂きますので、宜しくお願い致します。」

 

JFAトップレフェリーインストラクター・岡田正義

「では、早速スタンダードの説明をさせて頂きます。

今日で、51、52クラブがルール講習会を終了します。そこで説明したのは、お客さんに楽しんでいただくために、アクチュアルプレーイングタイムを長くする。異議や遅延を減らす。

このDVDですが、審判委員会が作成したのですが、技術委員会の協力も得ています。両方の立場から判定基準について考えています。

昨シーズンに起きた事例を、FIFAの基準に基づき作成しています。審判員研修会はもちろん、審判指導者の研修会でも使っていて、選手も含め全員が同じ理解で進むというのが大事だと思っています。

20問ですが、フェアプレーの尊重というところでは、【著しく不正なファウルプレー】、足裏のタックル。あとは【シミュレーション】、【異議】。エキサイティングなプレーでは、たくましいプレーの追求ですね。

警告数は、J1、J2共に大きく減っています。退場に関しては、J2が大きく減っています。ただ、J1の退場は一昨年と変わりません。【決定的な得点の機会阻止】は減っているのですが、【著しく不正なファウルプレー】が増えている。たくましいプレーと激しい【ラフなプレー】の解釈が徹底されていないところがあるのかもしれません。

今回の映像には、審判員が正しく判定できなかったシーンもあります。また、シーンに出てくる選手には、嫌な思いをさせてしまうかもしれません。その辺は、サッカーをよくするためということで理解頂いています。

では、プロローグというところで、昨シーズンはタフなプレーとアドバンテージが見られましたので、そちらをプロローグの映像にしました。

タフなプレーは、ファウルにならない多少の接触では倒れない。また、ファウルをされても、体勢を立て直してプレーを続けてゴールを目指す逞しさ。その姿勢や強い気持ちはサッカーの醍醐味に繋がって、観客のみなさんを感動させる。

また、アドバンテージですが、選手のみなさんが、ファウルがあってもプレーを続けるということが浸透しているように感じます。

Jリーグのタフなプレーにひかれて、育成年代でもタフなプレーがみられるようになってきた。

では、20問。連続で出てきますので。」

 

 

≪ここで20問の判定テストが行われる。映像はスローリプレイなしで、流されていく。終了後、岡田インストラクターが解説を行う≫

 

 

岡田

「一問目は鹿島×大宮戦。赤の5番の横からのスライディングタックルですが、足の裏をみせた、【過剰な力】を使ったタックル。ボールには触れているんですけど、相手選手に重傷を負わせる危険性のあるタックルというところで、レッドカードという判断をしています。この試合はPRの飯田さんが担当されていました。」

 

飯田淳平

「画面にも映っているんですけども、プレーを真横から見ていて、赤の選手の足の裏を用いたタックルが、白の選手の足に当たるというのがはっきりと見えました。研修会、もしくはPRのキャンプ等で、何度もこういったシーンを研修してきまして、ああいった形で足の裏を向けて、かつ足裏が上がれば、非常に危険を伴うタックルであって、かつスピードもあるので、レッドカードとしました。」

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