石井紘人のFootball Referee Journal

2015J1リーグチャンピオンシップ 浦和レッズ 1-3 ガンバ大阪 松尾一審判団評

2ステージ制になることについて、日本サッカー協会審判委員長の上川徹氏は、「2ステージ制になると、当然、ヤマが二回あります。また、レギュラーシーズン後に、ビッグゲームもあります」と分析していた。

そのビッグマッチの一つ、Jリーグチャンピオンシップ準決勝の割り当てを受けたのは、松尾一主審だ。

松尾主審は、試合開始直後に決断を迫られることになる。

3分、カウンターを阿部浩がファウルで止めに行った。このファウルに対し、しっかりと警告を与える。立ちあがりということで、躊躇してしまいそうだが、迷いはみられなかった。勇気のいる判断で、フェアな試合にするためのベターなカード基準だと思う。あとは、選手が基準を感じるかである。

5分、パトリックを引っかける格好になった武藤のファウル。8分の李のファウルは、トリップだろう。松尾主審は、不満そうな李とコミュニケーションをとる。的確なマネジメントだ。9分、遠藤からボールを奪い、シュートモーションに入った柏木を、遠藤が引っかけて止めたためファウルに。注意で収めたのはギリギリか。

16分の宇佐美への柏木のチャージは、ボールにプレー出来ている。17分の李が倒れたシーンも、自ら体を預けているため、ノーファウルとする。18分も16分同様にとらない。この立ち上がりで完全に基準が出来上がった。

松尾主審は、選手たちにルールへの意識を持たせるため、スローインの位置も細かく指示する。さらに、選手がエキサイトしないように、止める時は徹底的に試合を止めてマネジメントを行う。

36分、苛立ちからファウルをしたように見えた宇佐美とコミュニケーションをとる。良いタイミングでの介入だ。45分の腕の見極めも的確である。52分にはGK東口に、リスタートの時間について早めに注意を行う。また、61分には、プレー中にエキサイトした武藤と丹羽を呼んで握手をさせるなど、マネジメントが行き届いている。

 

迎えた64分。

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