石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事】膝痛やオスグッド・シュラッター病は簡単に治る!?多くのアスリートを復活させた『足ゆび力』とは?

今年、現役に復帰したサッカー元日本代表のAさんが、一度は引退した理由も、膝の痛みに悩まされていたことが原因でした。

「(膝が痛かったので引退する一年前に)手術をしたのですが、その時点で膝がかなり悪いということをドクターから聞いていました。痛みが消えることはない、と。リハビリをしたのですが、結局、走れないような状態にまでなってしまい、歩くことも困難な状態になった」

Aさんは、会見にて、このように自身の症状を語っています。

しかし、Aさんの一番の問題はひざではありませんでした。『足指力』がなかったのです。

長い間、40年近く、サッカーをプレーしてきたAさんは、典型的な『浮き指』でした。

脱力した状態で、足裏を地面に着けた時に、足の親指が地面に着くことで、膝や太ももが内側に入らず、直脚を保つことが出来ます。

その反面、親指が『浮き指』になり、母指球から着地すると脛骨が後方へ、腓骨が前方に行くため足が内旋し、膝が内側に傾き、膝関節の位置にズレが生じます。

長年、その状態でプレーしてきたAさんの足は、カマ足にした時に、内くるぶしがまったくへこみません。腓骨の位置やくるぶし、アキレス腱が健常者とは違う所に位置してしまっていました。内果と外果が変異してしまっていたのです。

内果や外果が正常なのかを見極めるのは非常に難しいです。なぜならば、検査基準がないからです。それもあり、内果と外果がねじれてしまっていることの多いサッカー選手は、何度も同じ怪我を繰り返すのかもしれません。

夏嶋先生は、「内果はカマ足にした時に、内くるぶしが消えることが正常といえることが多い」と教えてくれます。そして、「外果はカマ足にした時に、外くるぶしとアキレス腱との距離が近くなります。この時の外くるぶしとアキレス腱の距離が4㎝以内なら、内果と外果がねじれていないといえると思います」。

また、こういった状態の足元を見ると、足元の側面に斜めに一本大きなシワが出来ています。シワは生活習慣のあらわれです。内旋した足で生活していたため、このようなシワが出来てしまったのです。

内果と外果が変異しているAさんの足は、常に半月板を損傷しているような状態、オスグッド・シュラッター病のような状態でした。さらに、かかとも歪んでいます。にもかかわらず、『浮き指』のため、そのかかとで体重を支えるしかありません。歩くたびに、ゴンゴンという音がしたのが、印象的でした。

そんな状態だったこともあり、Aさんはゆっくりとしか歩けませんでした。体重の衝撃を足のアーチでやわらげることができないため、かかとから膝に直に伝わってしまうからです。

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