石井紘人のFootball Referee Journal

【無料記事】日本代表歴代最強イレブン選出の久保竜彦を支えた『足ゆび力』

先日、『FOOT×BRAIN』(テレビ東京)にて視聴者投票の「世界に勝てる日本代表歴代最強イレブン」が発表された。ほぼほぼ予想通りの選出となったが、フォワード部門でサプライズがあった。

1位は予想通りのキング・カズこと三浦知良、2位の岡崎慎司も現在、プレミアリーグでスターティングメンバーとして優勝争いをしていることから考えても妥当だ。3位と4位には偉大な功績のある中山雅史と釜本邦茂が当然のようにランクインしたが、なんと5位に久保竜彦が選ばれた。これには出演者たちも驚いたようで、「インパクト強かったんですかね」(秋田豊)「強烈な規格外のシュートが多いからじゃないかな」(福田正博)と分析していた。

そんな久保について、とある選手は「タツは練習前にずっとジャンプしてるんですけど、絶対に地面にカカトをつけないで、足ゆびだけで飛んでいるんです。人間離れしていますよ」と語っていた。その久保はどのようなトレーニングを行っていたのか。師事している夏嶋隆の元でのリハビリ、そして現在も行っているトレーニングを『足ゆび力 ~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』から抜粋し、無料記事として一部転載する。

動作解析のスペシャリストで、メディカルトレーナーである夏嶋隆先生の元には、今も多くのアスリートが治療やトレーニングに来ます。『Getsports』(テレビ朝日)では、元サッカー日本代表選手で“ゴン”という愛称で親しまれていた中山雅史さんがトレーニングしている様子が取り上げられました。

夏嶋先生の元に足を運んだ多くのアスリートが、夏嶋先生への感謝を口にします。元サッカー日本代表の久保竜彦さんは、「自分の人生に影響を与えた人は誰ですか?」という質問に

「(山形県にいる)断食(道場)の先生。サッカー関係は、高校の先生と、「FWやってみいや」っていった河内(勝幸)さん。あと、ジーコも巧ぁって思ったね。(膝が悪いから)こんな歩き方(ひょこひょこ歩き)してんのに、ミニゲームとかになるとめっちゃ巧い。でも、一番は夏嶋先生。命の恩人のような恩人というか。師匠じゃないけど、人間に大事な感覚というのをよみがえらせてくれた。あそこで夏嶋先生に会わんかったら、どんな人生になってしまったんやろって思います」

と語っていました。

そんな久保さんの怪我を、夏嶋先生はどのように動作解析していたのでしょうか?

「最初に見た時に、すぐに『浮き指』を指摘しました。足の指と、膝、腰が繋がっているという説明をしたのですが、本人はピンと来なかったようです。タツ(久保さん)は、腰だけをケアして欲しいみたいなので、応急処置はしました。でも、『足指を鍛えないと、腰だけじゃなくて、膝も痛くなる』と何度も繰り返しました」

夏嶋先生の応急処置を受け、久保さんは試合に出られるようになります。それもあり、夏嶋先生の元に足を運ばなくなりました。すると翌年、腰の痛みが再発し、それは膝にまで及びました。久保さんは、試合はおろか、練習もできなくなり、日常生活にも支障をきたすようになってしまいます。そんな中、夏嶋先生と再会します。

「その時に、タツが所属していたチームの合宿が、私の職場の近くで行われていました。相変わらず、おかしなフォームで走り、首を傾げ、ストレッチばかりやっているんです(笑)『膝も痛むようになっただろ?』と聞いたら、『やばいです。もうサッカーを辞めようと思います』と答えたので、『だから、言ったじゃないか。まだ間に合うから、治さないか?』と声をかけました」

夏嶋先生は、まず久保さんの日常の動作、歩いている所をビデオにとりました。久保さんは、他のトレーナーから、左肩が下がっている走り方を指摘されていました。本人も、「意識して左肩を上げるんだけど、癖で下がるし、左肩を下げても痛みがなくなる訳ではないし」と振り返ります。しかし、左肩が下がる原因は、左肩にあった訳ではありません。

 

(こちらのコラムの続きは書籍『足ゆび力 ~つま先を使うだけで一生健康でいられる~』をご覧ください)

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