石井紘人のFootball Referee Journal

【石井紘人レポート】審判委員会記者ブリーフィング「レフェリーを守るとかではなく、発展出来る環境を作りたい」

78日、JFA(日本サッカー協会)ハウスにて審判ブリーフィング「JFA審判委員会~Jリーグ2016シーズン前半戦を振り返って」が行われた。

小川佳実(JFA審判委員会委員長)「皆さん、こんにちは。お集まり頂き、ありがとうございます。こういう会をさせて頂くことによって、コミュニケーションをとれればと思っていますし、皆さんは私たちにとって本当にキーパーソンです。やはりクラブ関係者やサポーターの方々は、サポートしているチームに気持ちがいくので、自分たちにとって不利な判定が起これば(不満もある。でも、不満があった判定と)同じシーンが、相手チームに起きた時に、同じようなリアクションはしないですよね。そういった(微妙なジャッジがあった)時に皆さんが、皆さんのニュートラルな立場で発信して頂ければ、それを受け取る方々の理解も深まり、日本のサッカーはもっと発展していくと思います。私たちもたくさんこういう機会を作りたいと思っています。理解を深めて頂けるようにします。

レフェリーを守るとかではありません。我々レフェリーがいるのは、そもそもでサッカーがあるからです。サッカーの発展が大前提です。発展のために、レフェリーも必要ですよね。他にも色々な立場で日本のサッカー界には人が入ってくる訳です。監督であり、コーチであり、その一つがレフェリーです。そのレフェリーに入ってくる人たちが勇気をもって、誇りをもって入ってこられるような環境を作りたい。そういった環境を作るためにも、皆さんの発信する力は大きいと思いますので、私たちも極力色々な情報を出していきながら、それを元に色々な発信をして頂ければなと。今後とも宜しくお願い致します。」

 

上川徹JFA審判委員会副委員長/トップレフェリーグループシニアマネジャー「J1J2共に反則の総数というのは減っています。J1は最初120くらいまでに減ったのですが、最終的にはこの数字になりました。J3は試合数が増えてきているので、どうしても総数は増えています。ただ、平均はJ3も減っています。

警告数ですが、J1J2共に増えてしまっています。反スポーツ的行為が増えています。その内訳は、ホールディングが増えています。昨シーズンより、チャンスをホールドで止めることが増えている。ただ、シミュレーションはJ1では一回だけでした。去年は9くらいあったのかな。だいぶ戦おうという意識が出てきているのではないかなと思います。

選手同士の対立ですが、やはりありました。対立をなくすように我々もマネジメントしますし、選手にも協力して欲しい。そして、アクチュアルプレーイングタイムを長くしていきたい。ただ、対立は少なくなってきてはいます。

遅延行為は増えました。全体の3割くらいは増えたかな。たいていはリードしているチームが再開を遅らせています

繰り返しの違反は、二回の違反で警告が出る場合もあれば、五回の時もあります。昨年、繰り返しの違反は18あったのですが、今年は減っています。これはシーズン前に我々も、審判側に話をしました。それは基準を変えろという訳ではなくて、こういう【繰り返しの違反】は選手とコミュニケーションをとることで、選手を落ち着かせて、同じ反則をさせないことは我々の力で出来る。突発性のものを抑えることは難しいですが、そういった所を課題として最初スタートして、数字としては現象になっているので、良いコミュニケーションやマネジメントが出来ているのではないかなと思います。

退場はJ1では前年比―9J2では―13で減っています。特に少なくなっているのが、警告二回での退場です。これも先ほどと同じで、上手く選手を落ち着かせられたら、二回目の警告というのは防げる。気付きをもって、もし警告を貰ってからも落ち着かずに反則をしたのであれば、プライヴェート、パブリックにコミュニケーションをとっていこうと話をしています。この数字は、我々サイドとしてもポジティブな数字ではないかと思います。

その他のデータがこちらです。タックルの数が増えて、ドリブルからのシュートが少なくなってきている。同時にペナルティーエリア外からのゴール数も少なくなってきている。昨日と一昨日とプロのレフェリーのキャンプをやったのですが、このデータから読み取れるのは、Jの選手の守備の意識です。デュエル、間合いですよね。空中戦ではなく、しっかりとボールを繋ぎながら攻めてくる相手に対し、シュートを打たせない。そこでタックルの数が増えてきていると分析できるし、レフェリーもそう感じているようです。もう一つが、ボールを奪ってからゴールまでの平均時間です。こちらも去年より短くなってきています。最初の15分の得点も増えています。

話変わって、先日のセカンドステージ第1節にあった【トリプル・パニッシュメント】です。我々の見解は、どちらも妥当です。試合後の選手のコメントを記事で読みましたが、もしかすると彼はボールにプレーしようとしていたので適用外だと思ったのかもしれません。“手で”あろうが“足で”あろうが、ボールにプレーする意図があれば同じだとおもったのかもしれません。実際に訊いた訳ではないので分かりませんが、コメントからはそのように思いました。理解を間違っていたのかなと。では、ファーストステージの振り返りを。

J113節 浦和レッズ×FC東京

J16節 ベガルタ仙台×ガンバ大阪

J13節 アルビレックス新潟×横浜Fマリノス

J13節 柏レイソル×ジュビロ磐田

J15節 ガンバ大阪×横浜Fマリノス

7節 FC東京×川崎フロンターレ

J15節 アビスパ福岡×アルビレックス新潟

ナビスコ杯GL3節 湘南ベルマーレ×大宮アルディージャ(抜け出してPA内に進入しようとしたマテウスへの湘南ベルマーレ選手のタックルは)

J15節 FC東京×名古屋グランパス

J28節 FC岐阜×松本山雅FC

J24節 ザスパクサツ群馬×カマタマーレ讃岐

J16節 アルビレックス新潟×ジュビロ磐田

J111節 大宮アルディージャ×浦和レッズ75分の家長のスライディングタックル)

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