石井紘人のFootball Referee Journal

【無料/コラム:松尾一審判批評】天皇杯決勝鹿島アントラーズ×川崎フロンターレ:西に警告が出なかったのとファブリシオの決勝ゴール時にオフサイドは?

鹿島アントラーズが延長戦の末、川崎フロンターレを2-1で下した第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝だが、予想通り、松尾一主審らしいレフェリングだった(参考記事:松尾一主審のレフェリースタイルとは?)。

18分、小笠原満男がファウルを受け、松尾主審も基準通りファウルをとる。この流れたボールを中村憲剛が蹴って返すと、当たった小笠原が激昂し、中村に食って掛かろうとする。木村和司氏が「そんなに怒るプレーではないと思うが、小笠原のパフォーマンス」と解説したが、松尾主審も察知していた。まずは、報復を受けそうな、かつ冷静だった中村を小笠原から離し、小笠原は両選手たちが止めるのを待った。キーマンが分かっており、プライオリティが整理されている。

ボールにプレーできているかどうか、といった基準も貫徹されており、基準にマッチしない選手もいたのは印象的だった(参考記事:基準にフィットしなかった鈴木優磨)。もちろん、議論できる判定もいくつかあり、19分の西大伍と登里享平の競り合いは審判批評にて後程記すが、大枠は抑えられており、採点は3を最低でも与えられる。94分のファブリシオの決勝ゴール時、西がオフサイドポジションではない見極めも的確だったと思う。不満のある方は、録画映像を見ながらサッカー競技規則と共に、基準を感じて振り返ると印象が変わるのではないか。

 

~採点基準~

5:彼なしに試合はありえなかった

4:普通に試合を終わらせた

3:ミスにも見えるシーンがあったが、試合に影響はなかった

2:カード・得点に対する受け入れられない微妙な判定があった

1:ミスから試合に影響を与えてしまった

0:試合を壊してしまった

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