「GELマガ」鹿島アントラーズ番記者・田中滋WEBマガジン

☆無料記事☆小笠原、曽ヶ端、ともにベガルタ仙台戦で先発へ/明治安田生命J1リーグ第7節 ベガルタ仙台戦(2017.04.15)

 小笠原満男と曽ヶ端準が揃ってJ1通算500試合出場に王手をかけている。試合前日練習では二人揃って主力組に入ってプレーした。仙台戦での出場はほぼ間違いないだろう。

 高卒ルーキーのときから二人を見てきた石井正忠監督にとっても感慨はひとしおの様子だ。以前から、石井さんは次のように言っていた。

「満男とソガがこのクラブで果たしてくれた功績を考えると、それにふさわしい舞台を用意してあげたい」

 アウェイではあるものの、東北・仙台の地での試合となれば小笠原の地元は近い。そして500試合出場の達成をホームの磐田戦で祝うこともできる。優しき指揮官の心遣いがうかがえる。

 

 タイミングとしてもチームを引き締め直したい絶好の時期だ。公式戦2試合連続でいいところなく敗れているだけに、ビッグマッチが続く5月までには昨季の戦いを取り戻すには、やはり彼らの力が必要だろう。長距離移動の直後の試合ではあるが、直接的なパフォーマンスだけでなく、彼らがいることで他の選手たちの力はこれまで以上に引き出される。石井監督は彼らの存在について「ピッチに発つ指揮官が二人いるようなもの」と評した。選手の能力やチーム力の発揮率が下がっているいま、彼ら二人がピッチに立つことで本来の力を取り戻したい。

 

 これまでJ1通算500試合出場を達成した選手は6人いる。7人目と8人目の達成にそれほど意味はないかもしれないが、そこに獲得してきたタイトルを加味すると違うものが見えてくる。

 リーグ優勝7回、リーグカップ優勝5回、天皇杯制覇4回。2人が獲得した国内タイトルは16冠。彼らの出場記録は、ただ試合に出続けた数字ではなく、勝ち続けてきた数字と同義だ。試合に対する姿勢は毎試合変わらない。45日で38歳となったばかりの小笠原は、区切りの数字について「カズさんに比べたらまだまだ子ども。何試合出たかじゃなく、どれだけ勝ったか」と、重要なのは勝つことだとまったく表情を変えなかった。2試合ぶりの先発となる曽ヶ端も「やることは変わらない」と強調した。

 他を圧倒するタイトルを獲得してきたクラブは、選手たちに“常勝”を求める。ライバルとのポジション争いにさらされながら、その位置を守ってきた二人に対し昌子源は「下位のチームじゃなくJ1の第一線。出ないとチームがまとまらない訳じゃなく、サブには亮太くんとかがいるなかで出続けるのはほんまにすごい」と目を丸くする。

 98415日、ビスマルクのアクシデントによって19分から急遽出場した背番号27は、高卒の新人とは思えない落ち着きと視野の広さで勝利に貢献した。鈴木満常務取締役はいまでもその光景を忘れていなかった。「ものが違うと思った」と目を細める。

 9958日、富山で行われた福岡戦に初出場した曽ヶ端準は3-0で勝利に貢献。そこから499試合を積み上げようとしているが「どの試合もだいたい覚えている」と振り返る。あれから足かけ20年。巧い選手ならいくらでもいるだろう。しかし、チームを勝たせる選手は、小笠原と曽ヶ端を置いて他にはいない。

 二人同時での500試合出場達成は、彼らの結びつきの強さを表す。しかし、「一緒にしないで欲しい」と小笠原が言えば、曽ヶ端も「満男は1年海外に行っているから」とつれない態度を貫く。とはいえ、それが本心でないことは、同じ79年組がチームを去ったときの彼らの姿を思い起こせば、すぐにわかるだろう。

 前線には金崎夢生も戻ってくるだろう。勝って記録を祝いたい。

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ