【レビュー】従来とは違う戦い方を選択したからこそ見えた課題/明治安田生命J1リーグ第22節 川崎フロンターレ戦(2017.08.17)
ホームで0-3と完敗だった川崎Fに再び3失点の完敗。一矢を報いて1-3にはしたものの試合全体はフロンターレのものだった。悔しさを露わにしてピッチを後にした選手たちは、ミックスゾーンでも無言を貫いてバスに乗り込む選手も多かった。その心はやり場のない怒りで満ちていることだろう。
敗因は、監督の采配ミスに尽きる。失点は前半終了間際と後半開始直後。どちらもシステム変更や選手の配置を変えたことで守備バランスを掴めていない時間帯での失点だった。さらに3失点目も前掛かりになったところをカウンターで仕留められてしまったもの。いずれの場面も川崎Fの攻撃は見事だったが、過去の対戦を振り返ると、川崎Fの得意な形を出させない守備をできるのが鹿島の強みだったはず。自らバランスを崩す戦いを選択したことは成功事例から浮かび上がる“対川崎F”に反していた。
しかし、だからこそ大岩剛監督の選択は野心的な挑戦だったと捉えたい。今夏、セビージャと対戦したとき、ポゼッション率で大きく劣り、戦局を変えるには相手の選手交代を待たねばならなかった。試合には勝利したものの監督は次のように語っている。
「今日のようなボールを握られている時間が長いということに対しては、もっと自分たちからアクションすることで守備をしたり、奪ったあとに自分たちが支配したり、そういうやり方をすることで相手を押し込んでしまったり、自分たちがイニシアチブを握ることができると思っています」
それを経験した上で迎えたポゼッションのうまい川崎Fとの試合である。結果は、従来とは違う戦い方を選択し失敗に終わった。監督の敗戦の弁は、鹿島が取り組むべき課題を再確認するものだった。
「後ろからのビルドアップもそうですけど精度を上げていきたいなと感じました」
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