デイリーホーリーホック

【シーズンオフ特別企画】ボランティアグループ「Tifare」代表補佐・栗原賢二さんコラム 「裏方魂⑥ 日本代表!?」(2013/1/28)※全文無料公開

他のチームを知ることで、水戸を知る

全国各地に凄い選手がいるように、各チームの凄いボランティアスタッフも存在します。スタジアム運営のあらゆる問題点や、意見を取りまとめてデータベース化している方。マラソンなど種目を越えて重要な役割を果たしている方。どんな地域のどんなイベントにも顔を出す、謎の行動半径を持った方など。

もし裏方に「日本代表」が存在するなら、確実にメンバー入りするであろう面々。いつも優しく見守ってくれる『北陸の父』や、仕事のできる次元が違う『相模の女傑』。サッカーに例えればあの人がGKで、あの人はトップ下で・・・頭の中で勝手にスタメン組んでます(笑)。

彼らと連絡を取り合ったり、一緒に活動するのはとても刺激になります。水戸に足りないものがよりクリアになりますし、逆に誇れる点を発見する事も。選手で言うと代表合宿に参加して、意識が変わる感じでしょうか。

3年ほど前に東京で「スタジアム祭り」というイベントが行われ、私も出席しました。日本サッカー協会の一室で、地域ごとの課題や将来図を話し合ったんです! 名簿を見返すと仙台、新潟、川崎、山形、大宮、甲府、磐田、浦和、千葉、湘南、そして水戸。建築関係の学者さんや、Jリーグ理事の方も同席してくれました。

ちょうどホーム会場がKsスタに移転したタイミングで、以前から良くなった点と課題をまとめて発表。この面子では最もチームの存在感が薄い事もあり、いっぱい語りすぎて「栗原さん、時間巻きで!」とイエロー出されてしまいました(笑)。交流の場では自分をPRするのも大切だけど、それ以上に人の話を聴く事が肝心です。そう思えるようになったのはごく最近で・・・。

会議の後はJリーグの方も交えてお酒を飲みました。「1995年ベルマーレ平塚のスタメン」といった話を肴に。人々のつながりは横だけじゃなく、縦にもつながっているのだと感じました。要するに酔っぱらって、気分が良くなっただけの話です(笑)

韓国で学んだこと

2009年夏には全国のボランティア有志で、韓国に遠征した事もあります。JリーグvsKリーグによる、オールスター戦の運営をお手伝いするために。日本から来場したサポーターの座席案内という役割で、活動させていただきました。

普段水戸の現場で鍛えられているせいか、初めてのスタジアムも順応できたと思います。しかし言葉はもっと勉強しておけば良かった。ハングル堪能な方に、おんぶに抱っこ状態だったので。ひとまず試合後のゴミ拾いは自主的にしっかりやろうと。様々なチームのサポーターから「ホーリー君!」「♪進め、俺達の誇り!」と声をかけられたのが嬉しかったです。

現地のFCソウルを応援している方々との食事会も企画され、片言の英語でお話ししました。私の隣に座った同年代の男性は「韓国代表はもちろん応援します。でも、俺達の町のチームが一番!」と熱く語ってくれました。ああ、ここにも同じ価値観の人がいるなあと。

水戸ホーリーホックのエンブレムを指さして「これは”トクガワ”のマークでしょう?」と言われた時は驚きました。日本の、しかも江戸時代を知っているのか。「はい、僕達の町はトクガワの兄弟が住んでいて・・・」みたいな返答をモゴモゴしたのを覚えてます。「どうしてドラゴン(龍)なの?」という質問には、上手く答えられませんでした。誰か教えてください(汗)

海を越えてホーリー君のぬいぐるみも持っていきました。お姉さん方に「カワイイ!」と言われテンション上がった。別に私がモテたという話じゃないけど(笑)。こういう経験も、サッカーボランティアに関わっていなければ一生なかったと思います。同じ国にも色んな土地があり、多様な考え方があるという事は頭に置いておこうと。

遠くまで足を運び、学んだからといってすぐに水戸が勝てるわけではありません。サッカーは選手がやるもので、彼らの頑張りが全てという見方もできる。しかし関わる人の深みも文化もない『勝ち負けオンリー』のクラブが、果たして長続きするでしょうか?

私達はボランティアという立場で日々成長していますし、何より今を楽しんでいる。上手く行かなくて悔しい瞬間すらも仲間と共有して、次に越えるべき壁としてチャレンジできる。サッカーを知り、人間を知る機会をここで与えられているのだと。少し語りすぎでしょうか(笑)

裏方の「日本代表」も、熱く誇り高い人々。彼らの存在を心に置きながら、日本に誇る「水戸代表」の活動を続けていきたいと思います。

(栗原賢二)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ