デイリーホーリーホック

【シーズンオフ特別企画】ボランティアグループ「Tifare」代表補佐・栗原賢二さんコラム「裏方魂⑨ 裏方の全国大会」(2013/2/18)※全文無料公開

川淵初代チェアマンの講演に感銘を受ける

2月9日、10日にかけて横浜市で「第13回ホームタウンサミット」が行われ、水戸からボランティアとサポーター計6名が参加しました。各地の活動や課題について意見交換し、より良いスタジアム・ホームタウンを作る目的で毎年開催されています。

私は2007年の柏からほぼ毎回足を運んでますが、そのつど新鮮な情報と出会いがあります。議論されるテーマは共通しているけど、それに対する「気づきのレベル」が上がっていく感じでしょうか。サッカーに例えると、高度な戦術ほど確かな基礎が必要なのとたぶん同じですね。バルセロナの華麗なパスワークは「ボールを止める、蹴る」という誰もが最初に教わる事を、極限まで突きつめた結晶だと思うので。


※メイン会場となった横浜市開港記念会館。

最初のプログラムはJリーグ初代チェアマン・川淵三郎さんの公演を聴きました。ホワイトボードで語られた、1960年代から現在に至るまでの日本サッカー観客動員の推移はとても響くものがありました。代表戦であっても選手の身内しか観に来ない時代が、確かにあったのですね・・・。

また、ほぼ神話となった鹿島アントラーズJリーグ参入の裏舞台について、「NOを突きつける立場」から話してくれました。99.9999%無理と告げられても残る可能性を信じ、専用スタジアムまで作った熱意が流れを変えたようです。どこかでタイミングがずれてたら茨城サッカーの歴史、そして水戸ホーリーホックが誕生したかどうかもわからない。

サッカーが学校体育の科目ですらなかった頃に比べ、私達は現在とても恵まれた環境にいるのでしょう。「競技そのものの素晴らしさ」を説いても、なかなか理解を得られなかった川淵さん達の苦悩を思えば、チームの素晴らしさを町に伝える事は、はるかに楽なのかなと。「サッカー」は共通言語として、既に浸透しているので。


※Jリーグ全クラブの旗が一堂に。

「なぜ水戸か?」を考える

続いて会場を変え、ボランティア活動の事例と問題点を話し合う分科会に出席しました。「アウェイサポーター受け入れ体制」「車椅子・ベビーカー対応」「外国のお客さんとのコミュニケーション」など、具体的な所まで情報交換できたのが良かったです。

「サミットのベテラン」という立場から(笑)意見を取りまとめる進行役を買って出ました。これも貴重な経験です。均等に回るよう発言の順番を変えたり、一般論で終わらない本音を聞き出す質問を工夫したり、メンバー同士が絡める展開にするため適度に煽ったり。面白い議論を目指しつつ、テーマから逸脱しないバランスが難しいところ。皆さんの体験にもとづく「生きた言葉」を、雑な仕切りで殺さない事をいちばん心がけました。


※船上で行われた懇親会。

夜は「ここからが本番」の懇親会。お酒を飲みながら各チームPRしつつ、自由に交流できる場です。今までなかなか一緒になる機会のなかった愛媛FCや、アビスパ福岡ボランティアの方と話しました。新戦力の探り合いにマスコット撮影会など、独特の楽しさがあります。「デイリー・ホーリーホックのコラム読んでます!」と、声をかけてくれる方もいて嬉しかった。

私は途中ガンバ大阪のユニフォームを着せられ、「二川孝広選手の生き写し」として振る舞う羽目に。V・ファーレン長崎の名刺を頂いた際は「これでも水戸です!」と、大変ややこしい事になりました(笑)。2次会でカラオケに合流した組は『走れ☆ホーリーホック』を披露したり、毎回非常に濃い空間が形作られます。


※海から見た夜景。

それぞれの地域に固有の問題があるけれど、立ち向かって解決するのは人間。様々なチームのポジティブな話、ネガティブな話を聴くと「ウチだけじゃないんだ」と勇気が沸きます。自分達の意識や行動で、人も町も変えられる。変わってきた実例がある。

水戸は横浜のような大都市ではありません。鹿島のようなビッグクラブでもない。しかし「だからこそ」のやり甲斐や素晴らしさ、楽しみ方もあるはず。我々は、「なぜ水戸ホーリーホックなのか?」をずっと考え続けてきました。次回のコラムでそこを整理して、シーズンオフ企画の締めくくりとしたいと思います。


※マスコット大集合! 何かと話題の「一平君」もいます。

(栗原賢二)

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