デイリーホーリーホック

【HHレポート】[HOLY SPONSORS]第33回・大洗まいわい市場「物心両面でファン層に厚みをも持たせる一員でありたい」(2016/6/29) ※無料記事

※田山一暁常務取締役(写真右)と常盤良彦代表取締役 【写真 米村優子】

※田山一暁常務取締役(写真右)と常盤良彦代表取締役
【写真 米村優子】

水戸ホーリーホックを支えてくれるスポンサーさんにお話を聞く企画「HOLY SPONSORS」。第33回目にレポートさせていただいたのは、アップウェアスポンサー、メディアスポンサーの「大洗まいわい市場」です。どのような思いを抱いて水戸の支援を始め、継続しているのか、常務取締役の田山一暁さんにインタビューした模様をお伝えします。

アップウェアスポンサー、メディアスポンサー
大洗まいわい市場 常務取締役 田山一暁さん

ガルパンと水戸のコラボを裏で支えた仕掛け人

ホーリーホックと関わりを持つようになったのは、震災よりも前のこと。知人にホーリーホックを紹介いただき、お付き合いが始まりました。
私自身サッカー好きですが、多忙な中、正直J2にまで関心を持てる時間がありませんでした。しかし沼田邦郎社長からクラブのビジョンを聞き、頑張っている姿を見て、少しでも協力したいという気持ちが芽生えていきました。そして、大洗町商工会の人脈を使って「地元のチームなのだから応援しよう」という流れになったのです。
そうこうしている内に震災が発生し、大洗リゾートアウトレットに隣接していた大洗まいわい市場は津波で壊滅的な被害を受けました。店を畳む覚悟も一度はしましたが、生産者や出品者、多くの皆さまのご支援をいただいて、4ヶ月後に再オープン。しかし、なかなかお客さんが戻りませんでした。
当時の私は大洗町商工会の青年部長を務めており、イベントを開いて色々な仕掛けをしてお客さんを呼び戻そうとしました。そんな中でたまたまガルパンと出会い、弊社の社長の常盤良彦を中心にガルパンとのコラボに取り組み、紆余曲折ありながらも今日に至ります。

一方、震災後のホーリーホックにも鈴木隆行選手が加入して、地元愛のうねりが出来始めていました。そのタイミングで、講師に沼田社長を招いて大洗町商工会青年部員向けの講演会を開いたのです。
沼田社長の講演は評判も上々。また常盤や私が日頃地域に対して活動している様々な試みや事業がホーリーホックの力になれるのではないかと感じました。
そんな中、神奈川在住のガルパンファンの方から偶然にも常盤に「ホーリーホックのユニフォームを来た手作りのガルパンキャラのフィギュア」が寄贈されたんです。常盤は「これは是非沼田社長にお渡ししたい」となり、早速沼田社長に声をかけました。
沼田社長にガルパンのストーリーを紹介したら「すごく面白いね」と気に入ってくれ、快くフィギュアも受け取ってくれました。そして全国から大洗に来て頂けるガルパンファンに水戸の方にも回ってもらって、サッカーに少しでも興味を持ってもらえる企画が出来ればいいよね…と妄想し始めたことを思い出します。
もちろん大洗の地元の人も最初は「えっ!アニメ!?」とイベントを企画する私たちと、地域住民には温度差がありました。しかしイベントや全国のファンと触れ合う内に楽しくなって、市民権を得る所か「ガルパンって面白いじゃん!」と言われるまでの存在となりました。大洗と同じような温度になるのは難しいかもしれないけれども、水戸のサポーターにも是非ガルパンを観てもらって、一緒に上がっていけたら面白いじゃないですか。

とは言ってもまだその時点では私達と沼田社長の妄想だったんですが、ここでも思わぬ奇跡が舞い込みます。それはバンダイビジュアル株式会社のガルパン広報担当の廣岡祐次さんが大のJ2党だったということでした。
この妄想を話しに廣岡さんに会いに行ったら快諾してくれて、しかも廣岡さんや同社は「水戸が強くなるために協力させて下さい!」とまで言ってくれたのです。すごいですよね(笑)ガルパンって色々な偶然や奇跡が数多に折り重なって色々実現しているんですよ。
私達はイベントのお手伝いや、ホーリーホック応援の周知活動はできるけど、零細企業なので高額なスポンサー契約は難しい。しかし同社はガルパンの劇場版を水戸駅前のシネプレックス水戸で上映する関連もあり、水戸のスポンサーになってくれたのです。

廣岡さんはコラボグッズにも快く協力してくれました。私達は普段グッズを買わない層の人にアプローチしながら、クラブに対する資金の面でも間接的にサポートしようと取り組んできました。
プロのクラブだから、チーム作りには当然お金が掛かります。ガルパンのお陰で大洗も元気になりましたし、私達も水戸ホーリーホックに物心両面で協力したい気持ちが一杯なんですよ。
そのような2、3年の活動を経て、沼田社長の粋な取り計らいもあり、昨年アップウェアスポンサーとなることが出来ました。
ガルパンは昨年11月に新作劇場版が公開され、現在も大ヒット上映中。水戸のスポンサーも継続してくれています。
私達としてもガルパンや様々な活動の結果震災前より少しですが余力も出たので、今年はメディアスポンサーとして追加で契約させていただきました。
今後もガルパンとホーリーホックが上手くコラボすることと、私たちが微力ながらお手伝いすることで、水戸の人々にももっとガルパンを好きになってもらい、そしてガルパンファンにももっとホーリーホックのサポーターになってもらって、一丸となって水戸を応援できるようになればいいなって心から願っています。
それと、なんと言ってもバンダイビジュアル株式会社がスポンサーについているので、社名と同じ萬代宏樹選手には頑張ってもらいたいですね。是非たくさん点を決めて欲しいです。

【写真 米村優子】

【写真 米村優子】

三島、兵働、ソン、本間のセンターラインに期待
リスクを負ってでも攻める姿勢、迫力ある攻撃が観たい

今年の鹿島とのプレシーズンマッチを観に行ったのですが、ここ数年の活動の成果なのでしょうか、あの圧倒的アウェイの中で水戸を応援している自分がいました(笑)。
同点ゴールの時に招待席で「よっしゃ!」と叫んだら、周りは鹿島サポーターだったようで白い目で見られましたが、あれはいいですね。「求めていたのは、これだよ!」って思いました。
敵地を黙らせるって気持ちいいじゃないですか。
試合には負けたけれど、あの試合での選手の集中力を見て今年はやってくれると思ったんです。
DFは特にまとまっていました。ソン・ジュフン選手は左利きでフィードも上手いし、ジネイ選手や高崎寛之選手にも全然負けてなかったですよ。
三島康平選手もフィジカルが強いですよね。本間幸司選手は以前からずっと好きな選手の一人。三島選手、兵働昭弘選手、ソン選手、本間選手のセンターラインがすごくいいなと思ったのです。
今年はなかなか波に乗れない感じもありますが、守りがしっかりしているから大崩れはないと思います。だから、ホームの試合では特に、どこかでリスクを追って点を取りに行って欲しいですね。
攻めに行って、スタジアムの雰囲気が変わる時があるじゃないですか。やっぱりサッカーの華は得点シーンで、水戸に少しでも興味を持って頂きながらファンを増やしていくうえでもゴールシーンは大切なポイントだと思うし、ここぞの場面では迫力のある攻撃が見たいです。
繰り返しますが、本当にセンターラインが素晴らしいので、頑張って欲しいですね。

【写真 米村優子】

【写真 米村優子】

J1での茨城ダービーは順位と関係なく燃える茨城県民だけのお祭りになる

実は私自身、4年程前から妄想のような夢を描いています。
それはJ1での茨城ダービーです。
昔、ヨーロッパでサッカー観戦をしたのですが、ダービー戦は順位と関係なく燃える要素があることを肌で感じました。誰もが知っているレアル・マドリード対バルセロナのクラシコ、マンU対マンC等は、日本でいえば巨人対阪神でしょうか(笑)。
茨城にはJ1王者の鹿島アントラーズがいるじゃないですか。もしJ1で水戸と鹿島がやる日が来たら、それは茨城県民だけのお祭りになるんじゃないかと思うのです。
鹿島は王者の風を吹かせてくる。そこに挑む水戸。
大洗鹿島線もある駅を境に「ここから先は赤いユニフォームでは行きづらいぞ」みたいな雰囲気に包まれる。水戸の勝利という歴史的な日、水戸は旧市街を中心に大きな歓喜に包まれる。

妄想仲間でもある、アウェイサポーターおもてなしブース担当で水戸市役所職員の須藤文彦さんと盛り上がったのは、因縁をドラマ化する、プロレス的要素のあるダービー戦。
例えばアントラーズ黎明期の功労者でありながら、晩年は若返りの中で複雑な想いを持ってクラブを去ったであろう秋田豊元選手がJ1水戸の監督になって、「打倒鹿島で行きます」と言った瞬間に水戸と鹿島双方が沸き立つ、みたいな。
古い話かつ野球の話で恐縮ですが、かつて江川卓投手の強引な巨人入団の犠牲者として阪神に移籍させられた小林繁投手のドラマを参考に考えました。

バカみたいに聞こえると思いますが、そんな妄想をいっぱい描いていて、沼田社長にもお話していた訳です。私達が仕掛けたイベントも新グッズの開発も、目的はブラジル人の助っ人を獲得する予算捻出の為とか(笑)でも、仮想の計算書まで作ったりしたこともありましたよ。
J1での茨城ダービー、いつか実現するといいですよね。

【写真 米村優子】

【写真 米村優子】

各団体が目に見えない努力やアイデアを共有して集客に貢献
選手を後押しするサイクルを生み出す

水戸は落ち着いた住みやすい場所のせいか、反骨精神が少し足りない気がします。
県庁所在地ですけれども、サッカーはダントツ鹿島ですし、人口もつくば市を中心とする県南地区に勢いがありますよね。水戸でも地域愛を持つ様々な方々が活躍されていますが、横の連携って意外と難しかったりします。
ホーリーホックがそういう殻を破るための起爆剤になれたらいいなと思っています。
昨年、大洗を参考にして水戸の町おこしをしたいとアドバイスを求めてきた学生にこのように伝えた事があります。「利害関係の全くない錦の旗印を見つけなさい」と。
「先の震災に見舞われた時、自分の顕示欲の為にボランティアなんてしなかったでしょう?皆、自分の善意が芽生えてやったこと。大洗では、ガルパンも今でもそんな風に皆でやっていて、誰のものでもなく、みんなのもの。水戸でそういうのを見つけたらいいじゃない?水戸にあるじゃん、錦の旗印。Jリーグのチームがあるんだよ。日本中でJクラブのある街は100ヶ所もない。それが水戸にはある。自分の街にあるプロクラブのために、みんなで一肌脱ごう。肝心の地元の熱量がないと寂しいよ。若いんだからそんなムーブメントをやってみたらいいじゃない?」と背中を押しました。

ガルパンや大洗町の日のホームゲーム時は、おそらく300~500人は集客が伸びていると思います。そんな風に地域でがんばっている各団体が、200~300人ぐらいの集客を請け負う企画を考えてみればいいと思うのです。
各団体が目に見えない努力やアイデアを共有する。10の団体があれば3000人程の集客に繋がるでしょう。
お金を払ってプロの試合を観戦するという価値観を超えて、おらが街のおらが選手の為に満員のスタジアムという最高の舞台を用意したい、そんな世界観を築けた時、みんなの力で「奇跡」を起こせるのではないでしょうか。
みんなの想いが選手に伝わり、選手と地域の距離がどんどん近くなっていく。地域おこしの視点からも、そんなサイクルが生まれたら素晴らしいですね。

【写真 米村優子】

【写真 米村優子】

ホーリーホックに対する世の中の評価がガラッと変わる瞬間を夢見て
応援ソング「スーパースター」を水戸市民にとっての「おらが街の歌」に

若くていい選手を見つけて、鍛えて育てる。時間のかかるやり方ですが、クラブ運営として非常に現実的だし、結果が出た時の喜びも大きいと思います。
私達が大洗まいわい市場を始める時やガルパンの話があった時も、みんな興味がないか、「そんなことやってもしょうがない」と批判の声が聞こえてきました。
でもバカになって、コツコツ作って、楽しくやっていたら、世の中の評価がガラっと変わる瞬間があったのです。
鹿島だって、最初は「ジーコは知ってるけれど・・。」という雰囲気だったのに、ファーストステージで優勝したら、世界が変わって強くなっていった。きっと水戸にもそういうタイミングが来る日を夢見ています。
私達は下支えの所をアプローチしたい。ホーリーホックの土台を強固にするために、裾野を広げるサポートをしたい。
私達はホーリーホックサポーターとしては新参者なのですが、水戸との接点をたくさん作る事でファン層に厚みをもたせる一員でありたいのです。

水戸の応援ソング「スーパースター」を歌ってるB×A×Gも私達がプロデュースをして、メジャーデビューに向けて「大洗町の唄」を作ってもらったり、さまざまなテレビ出演もコーディネートしました。
メンバーのほとんどが元野球部なのですが、彼らの熱い楽曲は必ずホーリーホックにハマると思い、水戸にお願いしてスタジアムへ招いてもらった。そしたら彼らもすぐに曲が浮かんだようで、あの応援ソングが出来上がった経緯があります。
このほど、町民出演バージョンの「大洗町の唄」のビデオクリップを作成したのですが、参加した方々は皆、自分達の曲として愛着を持つようになりました。
そこで今季の目標としては、「大洗町の唄」と同じように水戸市民が出演する「スーパースター」のビデオクリップを作りたいと考えています。
例えばスタジアムの来場者にワンフレーズ歌ってもらい、結婚式のエンドロールみたいに当日のハーフタイムなどにオーロラビジョンで流す。出演してくれた人には特典も付けて、一連の流れを楽しんでもらう。「スーパースター」が水戸市民にとっての「おらが街の歌」となったら嬉しいですね。

このように、私達は出過ぎず、かと言って飽きさせない、側面的な支援が多いです。
これまでと同様に自然発生感を大事にしながら、長く続くスポンサー活動をしていきたいと思っています。

【写真 米村優子】

【写真 米村優子】

大洗まいわい市場
株式会社Oaraiクリエイティブマネジメントが運営する大洗町近郊の新鮮野菜や海産物、惣菜などを中心に茨城県内の特産品を取り揃える直売所。人気アニメ「ガールズ&パンツァー」のグッズ等を展示販売する「大洗ガルパンギャラリー」(大洗リゾートアウトレット2F)、地域プロデュース業も展開中。

茨城県東茨城郡大洗町港中央11-2(大洗リゾートアウトレット内1F)
TEL:029-266-1147
https://www.oarai-maiwai.com/
(米村優子)

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