デイリーホーリーホック

【コメント】萬代宏樹選手「チームの力になれなくて、水戸サポーターのみなさんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。長野では責任感を強く持ってJ2昇格の力になりたい」(2017/7/14)※無料記事

【写真 米村優子】

Q.移籍を決断した経緯を教えてください。
「昨年から続いていたのですが、今もなかなかチームの力になれなくて、そんな状況の中、この夏のウインドーが開くタイミングで長野さんからオファーをいただくことができました。自分としては、試合に出て個人としての評価を上げたい思いがありましたし、サッカーをやっているからにはいくら練習をしていても、表現する場がないと意味がないとも思いました。とはいえ、長野さんに移籍したからといって、試合に出られることが確定しているわけではない。そこでも競争に勝たないといけない」

Q.水戸での1年半を振り返ってください。
「僕に期待してくれて獲得してくれたクラブにとても感謝しています。でも、自分の実力不足でまったくチームの力になれなくて、本当に情けないし、悔しい。サポーターのみなさんにも申しわけない思いでいっぱいです。そんな中でも温かく声をかけてくれる人が多かったし、自分の背番号の入ったユニフォームを着て試合を見に来てくれる人もいました。そういう人たちのためにも水戸で活躍したいと思っていましたし、活躍しないといけなかった。サッカー選手としては、今回の移籍の決断はそんなに難しいものではありませんでした。でも、水戸で応援してくれる人の気持ちを考えると、すごく難しい決断だったというか、胸に引っかかるものがありました」

Q.出場機会に恵まれない中でも毎日しっかり準備をしている姿は若い選手たちのお手本になっていたと思います。
「自分はキャプテンシーを発揮したり、ベテランらしいふるまいをするタイプではありません。メンバー外の選手と一緒に練習すると、周りはほとんどが年下の選手なんです。そういうところで何かを感じ取ってもらいたいと思ってはいました。ただ、まずは自分のためでした。手を抜かないで練習をしないと結局試合には出られないし、チームのためにもならないと思っていました。年上の選手が手を抜くと、周りの若い選手にうつっちゃうんですよね。そこに関して、自分としては一生懸命やっていただけです。見ている人にそういうことが伝わればいいなと思ってやっていました。自信を持って、しっかりやり切ったということは言えます」

Q.頑張ってもなかなか出場機会が得られず、メンタルを維持するのも難しかったのでは?
「もちろん、『試合に出たい』『なんで使ってくれないんだ』という思いはありました。でも、そこは監督が決めることだし、監督の求めるプレーができていないという評価だったんだと思います。ただ、メンバー外の練習などでヒデさん(吉澤コーチ)や森さんがうまく気持ちを盛り上げてくれたし、いいトレーニングをさせてもらいました。現に出場機会に恵まれなかった選手の中から、ルーベン(山村選手)や(船谷)圭祐などが結果を出している。やってきたことが間違いじゃなかったんだと思えています。ルーベンもこの間点を取りましたが、取り続けないともとに戻ってしまう。結果を出し続けてスタメンに定着してもらいたい。僕個人としては主力の選手よりもサブやメンバー外の選手との方が多く時間を過ごしてきた。試合に出てなくても主力とそん色のない選手は少なくないと思っています。もちろん、主力選手にはポジションを渡さないように頑張ってもらいたいし、控え組の選手はポジションを奪うためにさらに奮起してもらいたい。そういう競争がチームを強くするんだと思います」

Q.現在チームは好調をキープしています。萬代選手がチームの雰囲気を盛り上げてきたことは少なからず影響していると思います。もちろん、ピッチに立って貢献したいという思いを強く持っていると思いますが、それでもチームにおいて萬代選手の存在は大きかったと思っています。
「本当に強いチームは厳しいことをぶつけ合うのかもしれないけど、若い選手や自信をあまり持っていない選手は厳しいことばかりを言われると萎縮してしまうところがある。水戸は結果を出して自信をつけて水戸に来た選手は少なく、ここから這い上がろうという選手ばかり。選手の個性を出せるか出せないかはチームの雰囲気によるものが大きい。そういうことに関して、新しく入ってきた選手に伸び伸びプレーしてもらうために積極的に話しかけるようにしていました。(林)陵平は自分を持っているので大丈夫でしたが、(外山)凌や(清水)貴文などのように自分をあまり出せない選手には、自分を出せるように接してきたつもりです。特に貴文はシーズン途中に入って、最初数試合出たものの、すぐにメンバー外になってしまった。アイツのよさをみんな分かっているけど、自信を持てなくて積極的なプレーが少なかった。そういう時に声をかけるようにしました。最近、本当に貴文はよくなってきた。だから、僕的には厳しいことを言うよりも、その選手のいいところやいいプレーをほめるようにしていました。やっぱり、自分のよさを出すことが一番なんですよ。厳しいことを言うのは監督やコーチにまかせて、僕は盛り上げるようにしていました。まあ、根底にあるのは、自分が楽しくサッカーをしたいという思いがあるからなんですが」

Q.移籍先の長野はJ2昇格という大きな目標に向かって戦っています。移籍の意気込みは?
「長野さんからオファーをいただいて、そこまで悩まずに決めることができたのも、J2ライセンスがあることと上を目指して戦えるということ。また、順位も悪いわけではない。そこで自分が行くことによって、劇的にチームをよくしたい。夏に移籍する選手はそれを求められているわけですから。個人的にはここで結果を出さないとチームがなくなってしまうという危機感を持ってやらないといけないし、途中から加入する責任感を強く持って戦わないといけない。個人の結果だけでなく、チームをJ2に昇格させることによって、自分のサッカー人生は変わってくると思っています。とにかく結果を残したいと思います」

Q.最後に水戸サポーターにメッセージをお願いします。
「試合に出られない中でも練習場や試合会場で温かい声をかけていただき、本当に感謝しています。みなさんの声はつらい時に自分の活力や原動力になっていました。なので、もっと試合に出て活躍する姿を見せたかったのですが、それができなくて本当に申し訳なく思っています。これからも水戸にはこの調子を維持して頑張ってもらいたい。みなさんにはこれからも水戸を応援してもらいつつ、少しでも自分のことを気にしてもらえたらうれしいです。カテゴリーが違うので、J3では長野を応援してもらえればと思います。本当に1年半ありがとうございました!」

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