デイリーホーリーホック

【育成NOW】IFAリーグ1部後期第17節水戸ホーリーホックユース対鹿島アントラーズユースB「水戸ユース、2対0で勝利し、IFAリーグ優勝決定!」(2017/9/20)※無料記事

【写真 佐藤拓也】

試合結果
水戸ユース2(0-0)0鹿島ユースB
得点者:オウンゴール、蕎麥田龍也

出場メンバー
先発:GK 21木村豪(2年)
DF 15甲高柊汰(1年)、3大原彰輝(3年)、6.綱川洋輔(3年)、村山璃空(3年)
MF 10蕎麥田龍也(3年)、藤枝伶央(1年)、14出口叶哉(2年)
FW 22澤田大哉(2年)、岡安優(3年)、脇澤晴日(3年)

選手交代 出口→26松本康平(1年)
藤枝→18今井涼成(2年)
甲高→2菊池聡太(3年)
澤田→8平田海斗(1年)

【写真 佐藤拓也】

前半から水戸のハイプレスが機能


9月17日、10時からホーリーピッチで高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 IFAリーグ1部後期第17節水戸ホーリーホックユース対鹿島アントラーズユースBの一戦が行われました。

リーグ戦を残り2試合残した状態で、首位の水戸ユースと2位明秀学園日立高校Aの勝ち点差は4のため、今節で水戸ユースが勝てば、優勝が決まるという大一番。「前日から緊張していました」と岡安優君が語ったように、今まで以上にプレッシャーがかかる一戦となりました。しかも、相手は鹿島のユースチーム。Bチームとはいえ、強敵であることには変わりません。選手たちは気合いを入れて試合に挑みました。

【写真 佐藤拓也】

序盤こそ、フィジカルの強さを生かしてロングボールを多用する鹿島ユースBに押し込まれ、CKからピンチを招くものの、GK木村豪君を中心に粘り強い守備でしのぐと、徐々に水戸がペースを握っていきました。トップチーム同様、鋭いハイプレスをかけて相手のDFラインに圧力をかけ、高い位置でボールを奪い、手数をかけずにスペースを突いて攻め込みました。

11分にはサイドチェンジのパスを受けてDFを振り切った澤田大哉君が、33分にはDF裏を巧みに突いた岡安君(3年)がGKと1対1の局面を作りだしますが、シュートはゴールわずか左に外れてゴールならず。それ以外にも決定機を多く作りながら得点を奪うことができないまま、前半を終えることとなりました。

【写真 佐藤拓也】

攻め続けて2点を奪い、歓喜の時を迎える

後半に入っても流れは水戸ペースとなりました。両サイドからスピードに乗った攻撃を仕掛けて、59分には右サイドからの折り返しから決定的なチャンスを作り出し、岡安君がGKをかわしてシュートを放つものの、ゴールライン際で相手DFにクリアされてしまいました。

70分過ぎからは両チームともに中盤のスペースができ、鹿島ユースBのチャンスも生まれるようになりました。再三のチャンスを決められなかった水戸ユースにとって、嫌な流れになりかけましたが、自分たちの力でその流れを断ち切ることに成功しました。

【写真 佐藤拓也】

79分、岡安君が相手DFからボールを奪い、左サイドに走り込んだ出口叶哉君に展開。出口君が上げたクロスは相手のオウンゴールを誘い、待望の先制点が生まれました。さらに勢いを増した水戸ユースは82分に左サイドを突破した村山璃空君(3年)からのクロスをニアに走り込んだ岡安君がスルーし、中央でフリーとなった蕎麥田龍也君(3年)がゴールに蹴り込んで追加点を挙げます。

そして、最後まで守備陣は奮闘。集中を切らすことなく、鹿島ユースBの攻撃を跳ね返し、無失点で試合を終え、IFAリーグ優勝を決めました。

歓喜に沸く選手たち。試合後は保護者やサポーターとともに喜びのラインダンスを踊りました。しかし、この優勝はあくまで通過点にすぎません。最大の目標は12月に行われる参入戦で勝利して、「プリンスリーグ」に参戦を決めることです。チーム一丸となって、さらなる上のステージへの切符をつかみとってもらいたいと思います。頑張れ、水戸ユース!!

【写真 佐藤拓也】

コメント
〇樹森大介監督

【写真 佐藤拓也】

Q.水戸ユースらしさが出た勝利だったと思います。
「守備を粘り強くできたのが僕の中の勝因だと思っています。ただ、攻撃では物足りなさを感じました。リスクを恐れて、単調な攻撃になってしまいました。今日は(雨の影響で)グラウンドに問題もあったので、中盤の選手もDFの選手もリスクを恐れている部分があったと思います。そういう状況で我慢強くプレーしてくれたと思います」

Q.リーグ序盤は苦しい戦いが続きました。今年のチーム作りは大変だったという話を聞きましたが。
「昨年の中心選手が全員抜けたので、今年は一から作り直さないといけませんでした。こういう状況は久々でしたね。チームとしてプレーの質を上げる流れで来ていたので、チーム作りは時間がかかりました。そこは選手たちともしっかり話をして、じっくりやっていこうということになりました。地道な作業を結構してきたので、時間がかかりました」

Q.地道な作業とは?
「個人の能力だけでなく、ポジションの取り方だったり、オフェンスの時のボールの受け方とか、そういう部分から取り組みました。基本練習でもそういったことを採り入れるようなメニューを多く行いました。昨年までは能力の高い選手が多かったので、選手たちには自由にプレーさせていました。今年も基本的に前を向いた時には自由にプレーさせているのですが、自由にプレーする前の形を整えるようにしました。判断だけでは難しいので。今はその流れを踏まえて判断できるようになっていると思います」

Q.チーム作りに手ごたえを感じたのはいつごろからですか?
「クラブユース選手権が終わった後ぐらいからですね。1年生もフィットしてきて。6月ぐらいからですね」

Q.水戸ユースは1対1の対応だったり、身体の入れ方がうまいなという印象を受けるのですが。
「そこは課題にしていて、毎週練習で採り入れているんです。チームとして戦っても、個のところで負けたら意味がないということでやってきました。今年の学年はすごくまじめな子が多く、嫌なことでもしっかり続けられるんです。だから、守備が安定しています。失点は昨年と比べて、かなり少なくなりました。攻撃は物足りなさがありますが、地道に努力することはこのチームの強みだと思っています。その結果が実になってきているんだと思います。でも、満足できるレベルではありません。そこは僕だけでなく、選手たちも感じていると思います。なので、さらにレベルアップしていきたいと思います」

Q.昨年はトップ昇格した中川洋介選手をはじめ、1年時から主力として出場していた選手たちがチームを引っ張っていました。その彼らがいなくなり、新たな代で優勝できたことは水戸ユースとして非常に大きい意味があると思うのですが。
「昨年の代は水戸ユースの歴史において優秀な選手が揃っていたのは事実です。彼らがいなくなり、今年の学年はやや消極的なところがありました。自信も持っていなかった。なので、昨年と比べて、まとまりがありませんでした。でも、まじめに地道にやり続けたことが実になっていきましたね」

Q.木村豪選手がドイツに短期留学をしたり、いろんな選手をトップの練習に参加させたり、いろいろ刺激を与えながら選手たちを育成してきました。
「僕の能力だけでは足りないと思うので、クラブに育ててもらうことが大事だと思っています。トップの練習で経験を積んだり、短期留学で成長してもらうと非常にうれしいです。それがチームのプラスになるのが理想ですね」

Q.12月にプリンスリーグ入れ替え戦があります。
「12年以来ですよね。あのステージで戦わせたいという話を選手たちにしてきました。ああいう一発勝負の舞台は『異空間』なんです。その経験が選手たちをさらに大きくする。その権利を勝ち取ろうということを選手たちに伝えてきました。1か月後のJユースと3か月後の参入戦に向けて、いいイメージを持って、さらに質を向上させていきたいと思います」

Q.具体的にどういったことを主に取り組んでいきますか?
「今年のチームはスタイルは確立しているんです。形はできています。なので、フィニッシュの精度ですね。あとは一発勝負に向けて、セットプレーにも取り組んでいきたい。そういう細かいところは今まで手を付けてこなかったので、やっていきたいと思います」

Q.楽しみですね。
「あの緊張感のある試合を選手たちに経験させたい。必ずこのチームにプラスになると思います」

〇村山璃空選手(3年)主将

【写真 佐藤拓也】

Q.勝てば優勝という試合でした。緊張しましたか?
「ここ最近の試合で、個人的にうまくプレーできてなくて、リーダーになれていなかった。プレーでダメならば声で引っ張ろうと思いました。なので、今日は声でチームを盛り上げることを意識しました」

Q.水戸ユースのよさが出たと思いますが。
「最近は守備において、出足の遅さが課題だったのですが、今日はうまくできていたと思います。ただ、行き過ぎるところもありましたが、後半になるにつれて、修正できたと思います」

Q.リーグ序盤は苦しみました。
「昨年は先輩たちが試合に出ていて、僕らの代で試合に出ていた選手はほとんどいませんでした。なので、チームを引っ張る選手もいなかったし、プレーで表現する選手もいなかった。なので、なかなか連係がかみ合わないところがありました。でも、時間が経つにつれて、連係がよくなっていき、みんなが自分からプレーできるようになりました。そういうところが変わっていったと思います」

Q.それはいつぐらいですか?
「東洋大牛久戦で前半を1対0で勝っていたのですが、内容について監督から怒られました。後半は自分たちからプレーできるようになり、クラブユースではさらに自信をつけることができました。クラブユースでのベルマーレ戦ではメンタルで弱さを見せて負けてしまいましたが、そこからチームは変われたと思います」

Q.今年の水戸ユースはボール奪取能力に長けたチームだと思うのですが。
「1対1は練習でよくやっています。球際や1対1の局面で負けないことは強く意識しています」

Q.12月にプリンスリーグ参入戦があります。
「プリンスリーグに参入することが目標なので、優勝で満足することなく、Jユースでさらにレベルを上げて、参入戦にいい形で向かっていきたいと思います」

Q.この3か月で必要なことは?
「個人としてのレベルアップとチームのまとまりをさらに上げていきたいと思います」

〇岡安優選手(3年)

【写真 佐藤拓也】

Q.優勝が決まる大一番でした。
「昨日の夜から緊張してました。絶対に優勝してやるという気持ちで準備していました。いつもと同じことをしっかりやろうと。優勝だけが自分たちの求めていたこと。それを実現できてうれしいです」

Q.序盤からかなり激しくプレーしていました。
「いつもと同じことをやっていたのですが、今日はいつもより前から行って、ぶっ倒れるまで頑張ろうと思ってプレーしました」

Q.チャンスを作りながらもなかなかゴールを奪えず、嫌な流れになりかけました。
「点数が入らないと、チームとして落ちてしまうところがあります。なので、あそこで先制点を取れたことが大きかったと思います。あとは落ち着いてプレーするだけでした」

Q.先制点は岡安選手のボールカットからはじまりました。
「最初はドリブルでゴール前まで行こうと思ったのですが、足がもつれてしまったところ、味方が上がってきてくれたので、パスを出したらゴールにつながりました。本当にうれしかったです」

Q.リーグ戦序盤は苦しみました。
「序盤戦は全然勝てなくて、降格するんじゃないかと思うぐらいでした。でも、樹森監督を中心に気持ちを入れ替えて練習に取り組んだら、結果がついてくるようになりました」

Q.何が変わりましたか?
「チームとしてポゼッションを重視したサッカーをしようということでスタートしたのですが、なかなかうまくいきませんでした。でも、夏前あたりから気持ちを入れ直して、1つ1つの練習からしっかり目標を持って取り組んだ結果、チームとしてまとまることができたと思いました。それが大きかったと思います」

Q.水戸ユースはボールを奪う際、身体の入れ方がすごくうまいと感じます。
「僕らは個の能力が高くないので、対人の部分は監督をはじめこだわってやってきました。対人の練習はすごくやりましたね。対人で負けなければ守備は負けない。球際の強さに関してはこだわってやってきました。いいボール奪取がいいリズムを作り出す。サッカーは守備からはじまるので、そこに対しての共通意識を持てたことが大きかったと思います」

Q.12月にプリンスリーグ参入戦があります。
「今のままでは参入はできないと思います。残り3か月でもっとレベルアップしていかないといけない。自分はFWなので、ゴールを決めてチームを勝たせられるように、一致団結して頑張りたいと思います」

〇蕎麥田龍也選手(3年)

【写真 佐藤拓也】

Q.今の気分は?
「安心しています(笑)」

Q.勝てば優勝が決まる大一番でしたが。
「緊張しました」

Q.でも、いい入りができたのでは?
「優勝がかかった試合だったので、しっかり試合に入れたと思います」

Q.どういうことを意識してプレーしましたか?
「自分は守備から入ろうと思いました。守備がうまくいけば、攻撃もうまくいくと思ったので、守備を意識しました」

Q.鹿島ユースBはフィジカルを生かしてロングボールを多用してきました。
「DFラインがしっかり跳ね返してくれたので、僕たち中盤はセカンドボールを拾うことに集中しました。前半の入りはうまくいかない場面があったのですが、後半はみんなで意識してできていたと思います」

Q.なかなかゴールが奪えず、嫌な流れになりそうになりました。
「相手にもチャンスができはじめた時間帯に先制点を奪えて、かなり楽になりましたね。あの先制点が大きかったです」

Q.2点目は蕎麥田選手が決めました。
「サイドがうまく崩してくれて、中でつぶれてくれて自分のところに転がってきました。うまく当たらなかったのですが(苦笑)、入ってよかったです」

Q.2点ともサイドからの攻撃からでした。
「チームとして、中央よりサイドから攻めることを意識しています。その結果の得点だと思います」

Q.リーグ序盤は苦しい戦いが続きました。
「初戦で負けて落ち込みました。その時に樹森監督から『以前優勝した代は初戦負けても、そこから立て直して優勝した』という話を聞いて、それを信じて、自分たちも一から頑張ろうという気持ちになれました」

Q.どういうところがよくなりましたか?
「自分たちは『自分たちからプレーできない』ということを監督から指摘されてきました。終盤にかけて、自分から自信を持ってプレーできるようになったと思います」

Q.昨年の3年生は偉大な存在だったと思いますが。
「先輩には助けてもらうことしかなかった。自分たちが最上級生になって、あらためて昨年の3年生の存在は大きかったなと感じました。昨年は本当に頼っていました」

Q.今年のチームがまとまりを見せたのはいつ頃ですか?
「クラブユースが終わった後ぐらいですね。6月ぐらいから一つになれたと思います」

Q.12月にプリンスリーグ参入戦があります。
「プリンスリーグも大事ですが、まずは来月行われるJユースカップに向けてしっかり準備したいと思います。いい形でJユースを終えて、プリンスリーグに臨みたいと思います」

Q.これからどういうことが必要だと思いますか?
「今日みたいにチャンスをあれだけ逃していたら厳しい。決めるところをちゃんと決めないといけないと思います。決定力の部分を全員がさらに意識を持って臨みたいと思います」

(佐藤拓也)

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