Jウォッチャー ~日本サッカー深読みマガジン~

【村井チェアマン会見から2017シーズンのJリーグを紐解く!】その4『強化配分金&降格救済金をどこよりも詳細に解説』

10月12日、JFAハウスにてJリーグの理事会が行われた。理事会後の記者会見で村井満Jリーグチェアマンは、2017年シーズンから、2014年シーズン以来「1ステージ制ホーム&アウェイ方式の総当たりリーグ戦」に戻すことを発表。また2017シーズン以降のリーグに関わる5つの内容について話し合われたことを発表した。

5つの内容について詳細はこちら!

本日は、その中の財政基盤の強化について、チェアマンのコメントをたどりながら、紐解きます。

まとめると・・・

・クラブの財政基盤安定化のため、均等配分金を増額。
・強化配分金はJ1が対象。目的は『アジアで勝つため』。
・降格救済金の設置(期限は1年)。

○村井満チェアマン
「クラブの財政基盤強化について、少し細かい話をします。まず均等にJ1・J2・J3へ配分する均等配分金ですが、これはクラブの財政基盤を安定させるためのもので、使い道についてはクラブに委ねるものです。J1は3.5億円、J2が1.5億円、J3が3000万円。J1はほぼ倍増、J2は1.5倍、J3は倍増となります。総額の原資はおよそ100億円となります。

クラブ均等配分金の増額

クラブ均等配分金の増額

それから強化配分金ですが、競技成績に応じて支給される配分金です。J1の1位から4位までが対象となります。金額の詳細についてはまだ若干の試算が残っておりますが、15億円以上を最長3年に渡って支給することとなります。1回J1でタイトルを取ると、最長3年に渡って15億円が支給されます。この支給の方法は、毎回理事会でしっかりと決議をした上で3年に渡って支給します。支給するタイミングから逆算して、3年前から遡った競技成績が対象となります。

目的はJリーグのレベルアップを図っていくために、強化費、もしくはトレーニング関連費、育成関連費、Jリーグの競技場のレベルを上げていくために支給することになっています。先ほども言いましたが、1回1位になると15億円が保障されたわけではなく、毎年審査をすることで、どんな目的に使われたかを振り返りながら、その都度審査をして決めていくことになります。

それから、賞金に関しては、当該年度の競技成績に応じて主に選手が受給するものです。賞金に関しても、J1が総額3.8億円が4.8億円になる予定です。1位になると3億円くらいを想定しています。詳細についてはまたお知らせします。

それから降格時の救済金(パラシュートペイメント)ですが、降格時に1年間、前年度の配分金の8割を保証するという内容です。J1からJ2へ落ちた場合、3.5億円の8割(2.8億円)が配分されることになります。J2からJ3に落ちた場合は1.5億円の8割(1.2億円)を配分するということになります」

降格救済金(パラシュートペイメント)の創設

~質疑応答~

Q:強化配分金について。4位までということでしたが、以前にはもう少し幅広い選択肢もという話をされたかと思います。なぜ4位までになったのでしょうか?ACLの出場チームへ配分するということでしょうか?
「実際実行委員会では6位までに(配分する)という意見が出たことは事実です。一方で今おっしゃったように、ACLの出場権のあるチームに配分するという多くの意見が出ました。ACLの出場権はリーグの1位、2位、3位、天皇杯王者が重複した場合は4位までACLの出場権を得る可能性があります。我々はアジアで勝ちにいくことを掲げていますので、強化配分金は4位までとしました」

強化配分金(対象はJ1)

Q:強化配分金について。2~4位の金額は具体的にはどのくらいでしょうか?
「1位については15億円強、2位7億円程度、3位は3.5億円、4位1.8億円程度となります。原資としては28億円くらいが強化配分金に回る可能性があります。1点、支給の方法について、傾斜していった方が使いやすいのか均等の方が良いのか意見が分かれるところです。ですので、支給方法の詳細は来月へ継続審議することにしました。本日決めたのは強化配分金の総額原資とJ1・J2・J3へのそれぞれの金額です。強化配分金はJ1を対象としたものです。J1の1位で最長3年15億円、2位が3年最長で7億円となります。今回配分については、まずJ1に集中して傾斜いくということをJ2・J3にも合意をいただいております」

強化配分金の例(均等配分の場合)

Q:降格救済金について。降格した場合8割を保証すると決めた基準と、それに伴った議論や反論はあったのですか?
「原案では2年にわたってという案もありました。1年目8割、2年目6割という段階的な意見もありました。ただ理事会の最終的な総意としては、降格したリーグなどへの適応準備を1年間で終わらせるという意見になりました。それがプロだろうということで、この形になりました。また(来年)降格が決まるのは12月上旬で、ギリギリのタイミングで大きな環境変化があるので、1年に限定する代わりに8割(の保証)でということになりました。8割に関しては具体的な根拠はあるわけではありませんが、理事会で話し合った中で一つの目安とさせていただきました」

Q:賞金の増額について変動はありますか?
「J1は総額4.8億円で、1位が3億、2位が1億2千万、3位が6千万となりました」

Q:降格救済金についてお聞きします。降格してきたクラブがそれだけの金額を得るという事は、元々J2、J3にいたクラブのチャンスを摘んでしまうのではないかという不安がありますけど、そういった議論はなかったのでしょうか?
「両面ありました。迎え撃つクラブとして今まで無かった、ある意味で資金的保障を付けて降りてくるクラブは競技的に不公平じゃないかという意見もありました。しかし降格したクラブは、経営も存続さえも危ぶまれる程厳しい状況で、これはリーグの安定的な発展のためには必要だと思いました。落ちたクラブのトップの方がそういう話をするケースもありました。賛否両論あると思いますが、このように1年限定でと決定しました」

Q:強化配分金とは、選手の強化にあてられるお金なんですか?それをJリーグが判断していくということですか?
「投資した内容は毎年見てまいりますが、管理・監督の詳しいルールはこの後決めていく予定です。今日は5項目のおおまかな方向性を決めたので、詳細はこれから詰めていくことになります。
(最大3年になっているのは?)選手の契約期間などを考えてのことです。1年前倒しにすると違約金が発生したりするので、分けた方がクラブにメリットがあるだろうということです。トータルで見た時に強化費だったり強化に関連する費用に使われているかどうか見ていくことになります」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ