「柏フットボールジャーナル」鈴木潤

【無料記事】【ユース年代有力選手紹介】 手塚康平(柏レイソルU-18) (2014/08/25)

2014年5月9日、U-18からトップチームへ引き上げられた2種登録の5選手のうちの1人だ。ポジションは主に中盤の底、アンカーを主戦場とするが、今年のプレミアリーグ第9節の清水ユース戦ではCB、また同第10節鹿島ユース戦では左のインサイドハーフを務めており、ユーティリティー性も非常に高い。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

手塚を一言で表すなら、「クレバーな選手」。基本的な技術レベルの高さに加え、ポジショニング、ボールを受ける時の体の向き、トラップの位置がとにかく絶妙で、周囲の状況把握や判断も優れている。そのため、相手選手のプレッシャーを簡単に回避するだけではなく、あえて自分のところに相手を食い付かせ、それを飄々といなすことで、その後の相手の陣形に歪みや綻びを生み出すきっかけを作れる。味方からすればクレバーでうまい選手、だが対戦相手にすれば、掴みどころのない嫌な選手だろう。

その持ち味は、プレミアリーグ再開初戦の鹿島戦でも大いに発揮されていた。ただ、手塚本人は「まだまだ回数が少ない」と物足りなさを口にする。

「去年、日本クラブユース選手権で負けた時から、来年は絶対に良い成績を残すとやってきたから、今年クラブユースに出られなかったことはかなり悔しかった。那須(関東クラブユース選手権順位決定戦)で鹿島とクラブユース行きを懸けて負けたということが印象に残っているので、球際は意識して入った」

鹿島戦で決勝点につながった場面は、中盤から最前線の浮田健誠を追い越し、上島拓巳からの縦パスを引き出した手塚の動きが起点となった。背後から激しいタックルを受けながらも右サイドに展開した自己犠牲のプレーが土壇場の勝ち越し弾を生んだ。

 

しかし、日本クラブユース選手権に出場できなかった悔しさの全てが晴れたわけではない。手塚は目標を次のように語る。

「目標はプレミアリーグとJユースカップの優勝です。この間、金沢でユースの大会があったんですけど、その時に一人一人、目標を話しました。みんなもプレミアリーグとJユースカップは絶対に獲ると言っています」

 

中盤で相手のマークを食い付かせ、老獪に外し、その“外し”が発端となって相手の陣形に「ズレの連鎖」を生み出せる手塚のプレーなくして、柏U-18のタイトル獲得は考えられない。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ