「川崎フットボールアディクト」

【レポート】練習試合新潟戦1試合目。「スピードというのは判断なので、そこが遅い」(小宮山尊信)試合は、5点を追いかける後半に三好康児の活躍などで5得点。大雑把な試合をしてしまう

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2月21日に等々力競技場にて行われた新潟との練習試合についてレポートする。

試合形式は45分を4本。フロンターレは1本目、2本目に控え組が。3本目、4本目に主力組が登場した。一方の新潟も同じような選手構成となるが、主力組と控え組で数選手が入れ替わっていたようだ。
1試合目 前半(1本目)
ーーーーーーーー船山
ノボリーーー橋本ーー三好ーーーーー中野
ーーーーーーーー山本ーーー
小宮山ーーー井川ーー板倉ーーー武岡
ーーーーーーーー新井

vs
ーーーーーー山崎ーー指宿
武蔵ーーーーーーーーーーーーー成岡
ーーーーーー加藤ーー小泉
前野ーーーーソンーー大野ーーー川口
ーーーーーーーー黒河
1試合目の1本目、2本目については大味な展開で、前後半で極端な試合となる。前半のフロンターレはトップの船山貴之にボールが入らず、攻撃機会をほとんど作れない。ボールをチーム全体で前に運ぶことができておらず、機能不全を起こしていたと表現できる内容だった。

今季は選手層自体は厚くなっており、先発組と控え組の選手を個別に見ていくとそれほど大きな技術レベルの違いは感じられない。しかしチームとしてまとまった時に、レベルの差が出てしまう傾向がどうしても見られる。

その理由の一つとして小宮山尊信は判断のスピードの違いを上げている。1本目、2本目と、3本目、4本目の本質的な違いはスピードにあるように思えたためその差について聞いたところ「そこは(控え組は)遅いですね。スピードというのは判断なので、そこが遅いから憲剛さんたちの方で(先発組として)出られていないというのはあるの。ただ、自分は見てないですが、後半5−0でやったとおりできないわけじゃないので。ただ、やろうとする努力だったり意志があればできると思うので。そこですね」と述べている。

前述のとおり、選手個々を見た時の技術にそれほど差が無いのだとすると、11人のパッケージに出る違いは、選手個々の判断の遅延の蓄積ということになる。風間監督は昨季、技術は意識の中にあるという言葉を何度となく口にしてきた。1本目、2本目のサッカーのスピード感の無さは、小宮山が言うとおり判断の違いで、それは風間監督が言うところの意識の中にある技術を引き出せていないということ。それはボールホルダー一人の問題ではなく、チームになった時の組織的な課題なのだと思う。

たとえばFC琉球戦で、山本真希、橋本晃司のボランチコンビが控え組と主力組の両方でプレーしたが、低調だった控え組に比べ、主力組は琉球を押し込んだ。山本、橋本両選手のポテンシャルを示すこうした事例は、この新潟戦においても見られた。当初控え組の一員として出場し、ほとんど見せ場を作れなかった船山貴之は、主力組の一員として途中交代出場して試合を活性化させた。つまり現状、フロンターレは同程度の力を持つチームを2つ編成できるまでの力はないが、選手を個別にピックアップすればある程度は戦える力を持っているとの現状認識が可能だ。これを2チームが編成できるレベルにまで高めたいが、それは日々の練習で実現させるしかない。

試合に戻ると、1本目(1試合目の前半)に5失点を喫したのは、チームとしての判断の遅さや新潟のプレスの早さが原因として上げられる。また、柳下正明監督が事前に述べていたように、新潟は90分という試合時間を無視したかのような強烈なプレスをフロンターレに仕掛けてきていた。それに対しフロンターレは耐え切れずに失点を重ねた。後半の5−0という試合展開を見てもわかるように、やればできるチームだ。だからこそ、やれない時間帯をどのようにしのぎ、耐えるのかが今後の課題になる。

2本目(1試合目の後半)、フロンターレは3−4−3にシステムを組み換え、山本一人だったボランチに橋本を加えると、これが奏功。「(前半は)両脇を使われていた」と話す山本によると距離感がよくなり、またチーム内にボールを貰う意識が出てきたという。距離感の改善については、具体的に船山貴之に対する三好康児と、後半から出場の三笘薫(U18)の連携の良さが挙げられる。

そんな中始まったゴールラッシュは、等々力での爆発力に定評のある三好康児の一発から。後半19分に船山が持ち込んだボールの折り返しを落ち着いて流し込む。さらにその3分後にも三笘薫からのパスを受けた三好が2点目を奪う。新潟の不安定さにも助けられ、ここからフロンターレが反撃を完遂。26分に三苫。27分には橋本晃司が「ああいうシュートは好きなので、入って良かったです」と話す技巧的なゴールを決めて1点差に。2本目終了間際の43分に、三好のドリブルから中野嘉大が5点目をねじ込んで試合は5−5となった。

バカ試合というか、風呂試合というか、そういう展開だった。

繰り返しになるが、1試合目の前後半(1本目、2本目)の試合内容の違いはフォーメーションもあるが、意識の部分が大きそう。5発も殴られる前に、目を覚ます強さを彼らには求めたいところだ。

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