「川崎フットボールアディクト」

【J1 1st. 第9節 FC東京vs川崎 レポート】大久保嘉人のカズ超え弾も勝利につながらず。退場者が出る中、1−2の逆転負け(3082文字)

J1 1st. 第9節 FC東京vs川崎(第25回多摩川クラシコ)
5月2日(土)(16:04KICKOFF/味スタ/42,604人)
FC東京 2-1 川崎

役者揃いの大一番になった。42000人を超える観客は、それぞれの立場で一喜一憂した。プロの選手が見せる技術の高さを大いに楽しんだ。

役者の一人目は、大久保嘉人。前半21分に先制点を決めた大久保嘉人は、冷静に「カメラが多い」という理由でメインスタンド側へチームメイトを誘導。FC東京サポーターの怨嗟の視線を浴びながらカズダンスを披露した。フロンターレサポーターは大喜びだった。

あの場面。大久保はゾーンで守るFC東京のFK時のディフェンスに対し、当初は小林悠に打たせようと思っていたという。

「後ろに悠がいたのでそいつ(相手DF)をブロックして悠に行かせようと思ってたら自分のところに来て(頭で合わせた)」

臨機応変に選択肢を変更して確実に枠内に決める大久保は、頭に当てた瞬間にゴールを確信したという。

この場面、「その時に思ったところに入るから、オレ」と話す大久保はさておき、「ゾーンの作り方の時点で外が開くと思ってたので。案の定あそこが空いた」と話す小林の言葉を聞いてもわかるように、事前のスカウティング通りの得点だったわけだ。前半はこの大久保のゴールを含め、3本のFKがファーサイドに蹴られ、そのいずれもがフロンターレの選手に合った。柏戦でもスカウティングに従ってゴールが決まっており、今後セットプレーがフロンターレの武器になるかもしれない。ただ、そうなるためには大久保は気迫が足りないと怒りをぶつける。

「(セットプレー時に)みんなに気迫が全然足りないし。自分が決めてやるという気迫もないし。無理やったら、そらしてでも誰かに取らせようということが全然見えん」

ただ、逆に言えば気持ちを全面に出せば、チャンスは増えるということ。これは今後に期待したいと思う。

失点によりスイッチを入れざるを得なかったFC東京に、前半の残りの時間はある程度押し込まれてはいたが、フロンターレの選手たちにやられていた感はなかったという。実際に前半のFC東京のシュート数は1本で、結果的にフロンターレは無失点でハーフタイムを迎えている。これは前節の柏戦を反省を踏まえたもので、そういう意味で文句のない前半だった。ただ、問題は後半の戦いだった。ホームで負けられないFC東京が、前への圧力を強めフロンターレはそれをいなすことができなかった。

ハーフタイムに風間監督は選手たちにFC東京の捨て身の攻撃について言い含めていたという。船山貴之は「『相手はたぶんくるから、それをかいくぐってチャンスを作ろう』と、『余裕をもってやろう』ということは言われました」と振り返る。ある程度の覚悟を持って臨んだ後半ではあるが、結局FC東京のペースとなる。

前からプレスを掛けられるのであれば、それをいなせばいい。それは船山も同じように考えていたという。ただ、ミスなどで思うように試合を進められなかったのだと船山は話す。

「(後半、FC東京が前から来ていたが)全然プレッシャーじゃなかった。自分たちでシュートミスとかそういうので相手にチャンスを与えてしまっていたところはある」

言うほどプレッシャーではなかったという相手の守備の中、不正確なプレーをしてしまいボールをロスト。その結果、FC東京に攻めこまれ、フロンターレ陣内でボールを持たれる場面が続き、ファールが増えた。

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