「川崎フットボールアディクト」

【インタビュー】「天皇杯の収入は育成年代のため、また協会の運営費として使う事になります」(八巻哲男・特定非営利活動法人川崎市サッカー協会理事長)(1/2)

先日行われた秋田との天皇杯2回戦は、週末開催にも関わらず観客は5,088人にとどまった。天皇杯がフロンターレの年間チケットの対象試合ではないということもその一因になるが、そうだとしても天皇杯がフロンターレの公式戦であるのも事実。リーグ戦の賑やかさを知っているだけに、少なからず寂しく感じた。

これはあまり知られていないが、天皇杯は試合を主管する地域のサッカー協会にとって貴重な収入源となっている。天皇杯を訪れるサポーターにはまずは試合を楽しんでもらいたいが、と同時にそのチケット収入の一部が地域の子どもたちの育成環境の整備に使われるということも知っておいてもらいたいと思う。

そこで、この試合を運営した川崎市サッカー協会の八巻哲男理事長に天皇杯の仕組みや育成環境の改善のための募金活動などについて話を聞かせていただいた。
(等々力での天皇杯は神奈川県サッカー協会が主管するが、運営は委託された川崎市サッカー協会が行う)

天皇杯のチケット売上の配分の仕組みや、その収入が川崎市の若き選手たちのために使われている実態について紹介したいと思う。

■基準額を超えた額の10%が収入に
--等々力で開催されるフロンターレの天皇杯の有料入場者数の増加は、川崎市サッカー協会の財政面に寄与しますか?
「ある程度はそうなります。
天皇杯に関しての川崎市サッカー協会の収入ですが、まず日本サッカー協会(神奈川県サッカー協会)との間で委託契約を交わしており、運営費として県協会から我々に150万円が支払われます。これは役員手当、弁当代、必要備品、消耗物品など諸経費に充てられます。また収入として入場券の売上げからそれぞれの回戦に応じた額が入ることになります。具体的には2回戦の場合は300万円、3回戦の場合は400万円、4回戦の場合は500万円を超えると、超えた分の10%が実際に運営する我々に入ります。本来は県協会に入るものなんですが、我々と県協会とで契約を結ぶことで10%が入ることになります。ですのでたくさんのお客さんに見に来ていただければと思っています。なお、この収入は育成年代のため、また協会の運営費として使う事になります」

--300万円の分岐点は何人くらいになるのでしょうか?
「値段の高い指定席もありますし、値段の安い自由席の子ども向けの券もありますが、一般自由の1600円(前売り券)で計算すると300万円の分岐点は1875人という数字になりますね」

--『これくらい収入が増えればこういうことができるんだけどなぁ』、というような事はあるんでしょうか?
「そうですね…。結局、本当に10%なのでそこの部分がそれほど多いわけではないんですね」

--チケットの販売額が400万円だとすると、2回戦の場合300万円を引いた100万円の10%で10万円ですか。
「そうですね。そんなにたくさんではないので、我々はチケットをもっと買ってもらおうとフロンターレさんに協力を頂いて、Jリーグの試合会場にブースを構えさせていただき、前売り券の販売をさせていただいています。そういうことをやって少しでも売る努力を続けています」

--2万人入ったとしても10%であれば…。
「2万人入ればかなりのものになりますよ。仮に1600円で計算したとしても総売上は3200万円になります。ここから300万円を引いた額の10%は290万円ですからね。これは大きいです」

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