「川崎フットボールアディクト」

【コラム】【いしかわコラム】vol.6 板倉滉、自信を深めたプロ先発2試合目のパフォーマンス

■成長を感じさせた千葉戦
9月22日に行われた天皇杯3回戦ジェフ千葉戦。
二日後に横浜F・マリノスとのリーグ戦を控えていることもあり、風間監督はメンバーを大きく入れ替えて試合に臨みました。いわゆる、ターンオーバーです。

中でも驚いたのが最終ラインの顔ぶれです。
長谷川竜也、奈良竜樹、板倉滉、小宮山尊信という4人の並び。長谷川は本職ではない右サイドバックに位置し、奈良と小宮山は長期離脱明けの復帰戦。2年目の板倉は、これがナビスコカップ・ベガルタ仙台戦に続いて公式戦2試合目となる先発でもありました。

あまり見慣れない最終ラインということもあり、試合前日練習での風間監督は守備陣の呼吸にかなり細かく指示を出していました。

とりわけ厳しく指導されていた選手が板倉です。ゲーム形式の練習ではボールの失い方や守備のポジショニングミスなどを、名指しで何度も指摘されていました。それこそワンプレーごとと言っても過言ではないぐらいの指導だったので、正直、「明日の試合、大丈夫かな?」とこちらが心配したぐらいです。

しかし、いざフタを開けてみると、本人は安定したプレーぶり。1失点は喫したものの、ミスの少ないパフォーマンスを延長戦を含めた120分に渡って披露してくれました。

「怒られていましたけど、そんなに気にしていなかったです。試合では気にせず入りました」と、板倉。本番に強いタイプというか、強心臓というか、図太いというか・・・ブラジル人選手の中には、普段の練習や練習試合でのパフォーマンスが全然ダメでも、公式戦になると普段とは別人のような圧巻のプレーをするタイプが珍しくないですが、板倉もそういうタイプなのかもしれません(日本人ですけど)。

中でも良かったのが、カウンターに対する守り方です。1対1に追いつかれた後半、勢いに乗った千葉はボールを奪うと、人数をかけて攻め込んできました。センターバックとしては難しい対応を余儀なくされる場面も少なくなかったはずですが、落ち着いて対処していました。

「ボールを持っている時間帯が長かったので、リスク管理を怠らないように心がけていました。攻めているときも声を掛け合いながらやっていましたし、カウンターを受けてもそこの対応はしっかりできていました。(カウンターには)なるべくサイドに振られないように。サイドに人数をかけてきたときは、中をしっかりと固めて遅らせる。最低限、カウンターでは失点しなかった。自分、自分とならずに、まわりの状況を見ながら、落ち着いてできたと思います」(板倉滉)

そしてこのチームの最終ラインに求められるビルドアップ力も十分な技術を見せてくれました。試合中、彼の動きをよく観察していると、GK新井章太からボールを引き出すときに、相手を見ながらパスコースの角度を工夫して、できるだけ良いポジションを取ろうとし続けていました。

「(ビルドアップで)詰まったときは、自分のところで変えていけるように意識していました。あとはテンポを意識していました。ただ自分の中では、もっとリズムを変える縦パスを入れたかった。そこは探りながら、ポジションを変えながらやっていました」(板倉滉)

ピッチでは公式戦2試合目とは思えないほどの頼もしさすら漂っていました。彼にとっては自信を深めた試合だったはずです。

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