kumamoto Football Journal

【マッチレビュー】第37節 vs. カマタマーレ讃岐/相手に合わせ、失った勝点2。

20161023讃岐戦

  • 明治安田生命J2リーグ第37節
  • カマタマーレ讃岐 0−0 ロアッソ熊本
  • 得点/なし

 

このゲームの前日に行われた試合で東京Vが首位の札幌をくだし、勝点差4の18位と19位という状況で迎えた讃岐との一戦。「堅い試合になると思う」——清川浩行監督が試合の2日前にそう話していたように、お互いに点を与えないことに軸足を置いた展開となるなか、決定機も作ったがゴールは生まれずスコアレスドローに終わった。

21位となった岐阜との勝点差は6あるが、次節以降、上位陣との連戦となることや直接対決を残していることを踏まえると、まだまだ安心できる状況にはない。他チームの動向はもちろん気になるわけだが、熊本としては相手がどこであれ、とにかくできるだけ多くの勝点を最後まで重ねていかなくてはならない。

 

結果として引き分けた事=勝点1を積んだことはプラスに捉えるべきだが、それでもやはり残り試合を考えると讃岐戦は勝ちたい、勝たなくてはならないゲームだった。「1拾ったというより、2を失った感覚の方が強い」と清武功暉は振り返る。

町田戦を受けての試合ということもあり、おそらく清川監督は次の2点を想定していた。

1つは、相手が早めに前線へロングボールを入れて押し込もうとしてくること。もう1つは、そうした展開になってもセカンドボール争いで優位に立てることである。このゲームで7試合ぶりに4−4−2の布陣を採ったのも、おそらくそうした予想がベースにあったからだろう。4−3−3(4−1−4−1)と比べて中盤、中央エリアでの枚数は減るが、前線に2人のFWをおく事で、サイドからのクロスの形だけでなく、2トップのコンビネーションで攻撃を完結できる。

「僕と龍くん(平繁)の関係で前に行けるし、これまでも良いコンビネーションから2人でフィニッシュまで持って行ける」と、清武も読んでいた。

実際、ゲームはそうした展開となった。木島徹也と仲間隼斗の飛び出しも、1列上がった西弘則の仕掛けも、ゲームを通じてみればさほど熊本の脅威にはなっていなかったし、讃岐のプレッシャーがことさら厳しかったわけでもない。だからこそ1点で良かった。1つのゴールが決まれば勝点3に手が届いたはずだった。しかしその1点が遠かった。

相手に抑え込まれたのではない。要因は自分たちの内にある。清武は言う。

「全体的にラインが下がったことと、特に前半は相手に合わせて蹴ってしまって、間に当ててのコンビネーションを出せなかった」。

「相手がロングボールで作ってくるなかで合わせてしまって、スピードアップしなくてもいい場面でスピードアップして、ボールを失うことが多かった」と言うのは村上巧だ。また村上は、「リスクを負っても厳しいところへ(パスを)入れて行っても良かった」と述べる。中盤の形が変わった事が、あるいはバイタルでの縦パスや仕掛けの少なさに影響しているとも考えられるだろう。

村上の言う「しなくても良い場面でスピードアップ」という件に関しては、町田戦後に清川監督も同義のことを口にしている。つまりマイボールにしたあと、早い切り替えで攻め込むことをまずは意識しながらも、じっくり落ち着いてボールを動かし、チャンスを伺えれば良かったのだ。

ではなぜそれができなかったのか。小谷祐喜の言葉がその理由を示唆している。

「守備面では、町田戦でロングボールから裏のスペースをやられていて、讃岐も同じように狙っている事が分かったので、同じミスを繰り返してはいけない。そのことを意識しすぎてコンパクトにできなかった。ボランチは競った後のセカンドボールを拾ってくれる距離だったと思います。ただその後のサポートで前後の距離が遠かった。後ろの4人ももう少し押し上げていれば、前の選手に落ち着きや余裕を与えられたんじゃないかと思います。前の選手も僕らに対して、『もう少し(ラインを)上げて欲しい』というジェスチャーをしていたのが分かりましたし、1つつける、パスを出す、というので関係性がおしまいになる場面があった。そこにもう1回関わって行けると、次にボールを受ける人、準備する選手も余裕を持てるし、次につながる」

 

この数年、毎日のトレーニングで攻守の切替を強く植え付けてきた。もちろん相手を上回れないゲームもあるが、奪ってから早く攻める意識は年々高まっている。ただしそれも、状況に則したものでなければ逆効果で、相手のブロックが整っている時に無闇に前に運べばボールを失うリスクは高まり、さらには消耗もする。体力が削がれれば、時間が進む程にボールコントロールのクオリティも自ずと落ちる。相手の圧がさほど強くないのなら、ボールを握って動かし相手を消耗させるのも有効なはずだ。

特に後半に入り、岡本賢明や巻誠一郎らの投入で流れを引き寄せる事ができたが、ゲームを通じては、状況に応じた判断でチームの意思をうまく揃えられなかった。それが勝点1に留まった理由の1つでもあるだろう。

さて、残り5試合で得られる最大勝点は15。昨シーズンは43の岐阜が20位となり、3821位大分が入れ替え戦に回って町田と対戦、降格となった。拮抗している分、残留ラインとなる勝点は昨シーズンよりやや上がると見られるが、皮算用するよりとにかく全部取るーーその覚悟で臨みたい。

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