「ゼルビアTimes」郡司聡

【無料掲載】J2第1節・町田vsC大阪/町田・相馬直樹監督、C大阪・大熊清監督、柿谷曜一朗選手、山村和也選手、キム・ジンヒョン選手、松田陸選手、山下達也選手(6,210文字)

■明治安田生命J2リーグ第1節・2月28日(日)14:00キックオフ
町田市立陸上競技場/10,112人
FC町田ゼルビア 0-1 セレッソ大阪
【得点者】C大阪/72分 山村和也

©FC町田ゼルビア/山田浩一郎

■相馬 直樹監督(町田)
——本日の試合の総括をお願いいたします。
「われわれからすれば、4年ぶりのJ2の舞台ということで、多くのファン・サポーターの皆様に素晴らしい舞台を作っていただき、満員のスタジアムを作ってくれたことにまず感謝したいです。アウェイのセレッソさんのファン・サポーターの方にも多くの方に足を運んでいただいて本当にありがとうがざいます。選手たちはわれわれがいまできることを90分表現してくれたのではないかと思う。結果として勝てなかったことは残念だが、今シーズン戦力的に一番と言っていいセレッソさん相手にチャレンジできたことは良かったと思うし、多くの方の後押しもあり、そして自分たちの力でこの舞台をつかみ取った選手が多く、そこのプライド、そして喜び、感謝というものをピッチで表現してくれたかなと思う。ここからは、良いゲームをしても勝たないと意味がないし、一つまた新しい世界に足を踏み入れて、コテンパンにやられるわけではなくしっかり戦えた。ただ、勝つためにはまだ足りないよとセレッソさん相手に確認させられたので、また選手と一緒に詰めていきたい」

——内容面での手ごたえと課題は?
「個人的な部分で怖がらずに戦えたのは非常にポジティブな部分だと思う。逆に課題の部分は、やはり点を取る、取られないというのは当然大事になってくる。今日の試合の結果から見てもそこの部分でJ2仕様になっていないと思うので、そのギャップをできるだけ早く埋めていきたい」

——1万人を超え、スタジアムは満員でしたが、これまでの後押しとの違いなどは感じましたか?
「僕自身が選手だったころは、鹿島アントラーズというチームでプレーさせていただいたのですが、当時のことを振り返ると満員のスタジアムというのはやはり違うなと感じていた。今日の試合は、われわれのスタジアムのキャパシティーからすると満員と言っていい数字だと思うが、やはりその中で選手たちにプレーしてもらいたいというのは、自分もプレーさせてもらってた立場なので強く思っていたこと。これは選手たちが昨季からみんなでJ2に上がったことやその流れの中で入れ替え戦があったり、非常に注目してもらえることがあり、また開幕戦でセレッソさんと対戦できるなど、いろいろな要因があったと思うが、こういう場を選手たちに与えていただいたことを本当に感謝しています。そこは具体的に何かというと分からないが、ここで燃えなければおかしいと思うし、そこは結果につなげていけなかったのは残念ではあるが、それに応える姿勢で選手たちはプレーしてくれたと思う」

——試合後に選手たちに何か声をかけましたか?
「あまりいまお話しした内容とは変わらない。できた部分はあったけど勝たないと意味がないし、でもここからJ2の舞台で成長していこうということを話した」

 

■大熊 清監督(C大阪)
——まずは試合の総括をお願いいたします。
「われわれにとってはアウェイゲーム、町田にとってはホームゲームだった。相手が風上ということもあって、町田の勢いを感じたし、町田が積み上げてきたサッカーを実感しながら戦っていた。われわれにとっては初の公式戦で、新外国籍選手にとっても初めての日本でのゲームということで、前半は町田のスピード感や勢いがあって、危ない場面はあったが、開幕戦は耐える時間帯が長いだろうと想定していたし、町田も良いチームだと分かっている中、どうにかセットプレーからの得点で勝つことができた。攻守両面でセットプレーが鍵を握ると思っていたから、選手たちはよく決めてくれたなと思う。昨季からの課題である最後のほうの時間帯で足が止まってしまうという課題に関しても、あとから出場したメンバーも含めて非常に集中して戦っていたと思う。新外国籍選手は日本のサッカーが初めてということで、いろいろなスピードなど、慣れない部分があったと思う。また初戦なので長いボールを使って戦っていた部分があったから、特に前半は選手同士の距離感がうまくいかなかった。その点は次に向けて修正していきたいし、次節も開幕戦だと思って1試合1試合を戦っていきたいと思っている」

——キャンプではさまざまな形を試していましたが、今回柿谷選手を2列目で起用した意図は?
「練習試合と公式戦は別物で、良い内容の練習試合もあったし、チームとしてあまり良さを発揮できなかった練習試合もあった。その中である程度、開幕戦は安全に入ろうという意図があった。長いボールを2トップに入れながらプレーをしようとしたが、セカンドボールを拾い切れずに、選手同士の距離感も広がって、チームとしての良さが出なかったので、後半から布陣を変えた。今後どうするかはベンチメンバーを含めて決めていきたいと思う。お互いに精神的に充実した戦いをする中では、後半に運動量が落ちてくるだろうから、(柿谷)曜一朗の機動力を後半に生かそうと、意図的に後半は(中央寄りのポジションに)ポジションを変えた」

——対戦相手の町田の印象について、積み上げてきたチームで良いチームというお話がありましたが、具体的にどんな理由でそう感じたのでしょうか?
「前線の選手が頑張ることで高い位置に起点ができるし、非常に最終ラインとボランチの間のバイタルエリアでボールを受ける工夫もあるチーム。最後の精度で助かった部分はあるが、マークしづらい部分もあった。ただそれだけバランスを崩して攻撃をするということは、守備のバランスという面でも素早く切り替えをしないといけないが、それもやってきている。そういう意味では勇気のいることだと思うし、逆にわれわれがそれを崩せるようにしないといけない。お互いに言えることだが、控えの選手も含めて同じサッカーをやることは決して簡単なことではないので、お互いにしっかりと頑張っていければと思う」

——町田の守備面についてはどんな印象ですか?
「前へ奪いに来るメンタリティーは感じるし、守備も前に勢いを感じた。われわれの距離感が悪くて、良いタイミングで裏を突けなかったので、そこは修正しないと。われわれとしては町田のような前へ来る相手に対して、良い距離感で裏を突ければいいと思う。お互いにシーズンが進んで試合の分析が進む中で、対戦相手もいろいろな工夫をしてくるだろうから、守備面もしっかりとやっていかないといけない」

——3人の新外国籍選手が出場しましたが、彼らは現時点ではまだまだという印象でしょうか?
「彼らを使わないと伸びないし、彼らを早く日本の速いテンポのサッカーに慣れるようにしないといけない。彼らの良いところは言ったことはやろうとするし、リカルド・サントスなどはスペースを埋める努力とか、前向きな姿勢があるので、どうにか早い時期に成功させたいと思っている。今日も我慢して使ったし、セットプレーの守備での集中力や高さを発揮していたから守備も考えて我慢して使った。我慢のしがいのある助っ人だと思う。ただ彼らは助っ人なので、まだまだやるべきことはあると思っている。メンタル的に攻守両面で頑張る姿勢があるので、日本サッカーになじむための素養はあるのかなとも思っている」

 

■FW 8 柿谷 曜一朗(C大阪)
今日は引き分けも負けも許されないゲームだと思っていた
「(開幕戦を勝利で飾った率直な気持ちを聞かせてください)しんどいゲームだったけど、遠くまでサポーターの方々も応援に来てくれて、引き分けでも負けでも許されないゲームだと思っていたし、最後に結果を残せて良かったと思う。(今日はたくさんのC大阪サポーターが詰めかけました)今季に懸ける気持ちは選手以上にサポーターが強く思っているかもしれないので、サポーターの気持ちに負けないように、僕たちも頑張っていきたいし、その懸ける思いをピッチで表現するだけ。今日は一緒に戦っているなと感じられた。これからも続けていきたい。(観衆が1万112人と1万人を超えました)試合中に(アナウンスされて)歓声が上がっていましたね。それは聞こえていましたよ。(町田市立陸上競技場の最多観衆を記録したようです)これからいろいろなチームがこのスタジアムに来ると思うけど、その記録を塗り替えられないように、やっぱりセレッソが一番見に来たかったチームだったんだなと思ってもらえるようなサッカーを今後も見せていきたい。(キャプテンマークの重責は?)プレーに迷いはないけど、キャプテンとして試合前や試合後に声をかける役割があって、何と声をかけて良いのか、戸惑いもあった。だからモニさん(茂庭照幸)頼むと(笑)。みんなに支えられながら頑張ろうと思う。ただプレーの面ではみんなを支えられるように、守備でも攻撃でも周りをサポートして、攻撃で決定的な仕事ができるように、もう一皮選手として成長できるように頑張っていきたい。(8番について)早くみなさんはゴールを期待していると思うので、その期待に応えられるように、結果を残し続けられるように、最高のコンディションで次の試合を迎えたい。今日は相手選手も勢いがあって攻めることは難しかったけど、僕たちは良い試合をして負けていてはダメ。どういう試合でも勝っていかないといけないチーム状況にある。悪いところはたくさんあったけど、練習で修正して自分たちで良い形に変えていきたい。(愛着あるクラブをJ1へ昇格させるという思いを聞かせてください)昨季、悔しい思いをした選手たちがこれだけ残ってくれたし、みんなが同じ気持ちで戦えるように、全力でやっていかないと。誰が出ても勝利に近付けられるように頑張っていきたい。(C大阪で戦う1年間の覚悟を教えてください)最終的に全員が笑って終われるように、シーズン最後のインタビューで『J1復帰おめでとうございます』とみなさんに言ってもらえるようにしたいなと思う」

 

■MF 24 山村 和也(C大阪)
初の開幕スタメン。結果を残せて良かった
「(値千金の得点になりました)守備陣がたくさんシュートを打たれる中で耐えてくれたので、その中で点を取れて良かった。守備でも攻撃でも起点になれるような選手になりたいので、今日は結果を出せて良かった。試合内容を見ると、納得のいく結果ではなかったし、改善すべき点もたくさんあって、そういったところを見つめ直して修正できればと思う。硬さもあったし、全体的にミスも多くなって流れを作ることができなかったので、もっとミスを減らして、個人としてはチームのボール回しで中心になれれば。(ボランチでコンビを組んでいるソウザ選手とのコンビネーションについて)良いときは良い関係性でできているけど、チームの流れが悪いときに、連係良く流れを変えられるように、ソウザの特徴を分かるようにできたらいい。課題が多く出た試合になったし、たくさんの課題を修正して、昇格してJ1で戦えるようなチームになるようにと、大熊さんもそう言っていたので、コミュニケーションを取りながらチームを良くしていきたい。(ご自身としては移籍して初めての試合でゴールまで決めたというのは幸先の良いスタートになったのでは?)僕自身が開幕戦のスタメンが初めてだったので、結果を出せたことをうれしく思う。気持ちもラクになった。(ゴールシーンについて)良いボールが来たので打点だけ合わせられればと思って飛んだ。(いくつかオファーがある中でC大阪に決めた大きな理由は?)セレッソは魅力のあるクラブだし、ステージはJ2だけど、アントラーズでやってきことを発揮できるのはセレッソだと思ったので、セレッソさんでチャレンジすることに決めて良かったと思う」

 

■GK 21 キム ジンヒョン(C大阪)
シュートを止めることがオレの仕事
「今季は開幕からできるように体を作っていた。今日は開幕戦で勝つことしか考えていなかった。チーム全体が後ろに下がってディフェンスをしていたので、その時間帯でも集中力を発揮して戦っていたことが良かったと思う。(ジンヒョン選手が止めなければ何点を取られるか分からないような展開でした)シュートを止めることがオレの仕事やし。タイミングも良かったし、自分の間合いで相手にシュートを打たれたことで自分の体に当たったり、それが良かったんちゃうかなと。韓国代表(シュティーリケ)監督が来ていたことはニュースで知っていた。それはあまり気にしていなかった。アピールになったかもしれないけど、僕はセレッソのためにやっているので、まずはチームのことしか考えていない。(今季はけがでスタートして、あまり実戦経験を積めない中で今日のようなパフォーマンスを出せたことは良かったのでは?)リハビリからやや焦っていたけど、シーズンに入る前にしっかりと準備はできていた。それで良いシーズンの入りができた。(C大阪U-23の)高知キャンプで朝から走った甲斐があった(笑)。来年も行こうかなと思っているぐらい」

 

■DF 15 松田 陸(C大阪)
次のホーム水戸戦では期待してください
「自分としても硬かったし、チームとしては絶対に負けられない戦いだったので、チーム全体でも硬かったのかなと思う。前半は苦しい時間帯が多かったけど、ディフェンスラインは絶対にやられないように声を掛け合っていた。個人の出来としてもまだまだだし、もっと上下動できると思う。次のホーム水戸戦では期待してください。(ボールを持ったときの相手のプレッシャーはいかがでしたか?)プレッシャーは早かったけど、一つかわせば絶対に(相手が)引くと思った。一ついなせば自分たちの時間になると思ったけど、うまくいかない部分もあったのでもう少し修正していきたい。しっかりと(キム・)ジンヒョンと話して、シュートを打たれるとしても体を張ることは全員ができていたことは大きかった。ジンヒョンくんには助けてもらった。中盤でボールが引っかかっていたし、左サイドで取られるシーンがあったから、(柿谷)曜一朗くんとも守備から入ろうという話はしていた。取ったあとにパワーを持って出て行くシーンを作りたかったけど、そういう時間がなかった。これからもっと修正していきたい。やっぱり初戦なのでみんな硬かったと思う」

 

■DF 23 山下 達也(C大阪)
どんな勝ち方でも勝ち点3を取れたことは大きい
「風下でもあったし、前半はあのような戦いになることは想定内で、難しい対応を強いられたけど、(キム・)ジンヒョンも含めてしっかりとみんなでカバーできたことは大きい。ブラジル人選手を含めてJ2の戦い方に慣れていないし、そんなに簡単にいくとは思っていない。後ろは割り切って戦っていた。どんな勝ち方であれ、勝ち点3を取れたことは大きいと思う。昨季はプレーオフであのような追い付かれ方をしたので、終盤の戦い方は追求していきたい。もうプレーオフにいかないようにしたい。(新戦力の山村選手がゴールを決めて勝ったことも大きいのでは?)気持ちは熱いし、彼のような選手が決めるとチームも乗ってくる。どんどん活躍してほしい」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ