「ゼルビアTimes」郡司聡

【再掲】【★無料公開】【インタビュー】加藤 恒平選手(ポドベスキジェ/ポーランド→ベロエ/ブルガリア)『代表に入るためには自分がいる場所で信念をブラさずにやることが一番重要です」

10月のW杯最終予選における日本代表メンバー発表会見において、ヴァヒド・ハリルホジッチ監督の口から元ゼルビア戦士・加藤恒平選手の名前が出ました。かねてから加藤選手は日本代表入りへの意欲を見せてきましたが、今回の発言は代表入りが現実味を帯びてきたことを物語っています。

ただし、今回、代表監督の口から自分の名前が挙がったことについて、本人はメンバーに選ばれたわけではないため、それほど意に介していません。「代表は僕が目標にしているうちの一つなので、いまと変わりなく毎日を過ごして、いつ代表に呼ばれても良いように継続して準備をしておくだけです」。そう言って加藤選手は地に足の着いた発言を残しています。

『町田日和』ではこれまで、定期的に加藤選手の動向を追ってきました。「今回自分の名前が出て、日本ではあまり知られてない多くの日本人選手も海外で頑張ってますよ、ということが少しでもたくさんの人に知ってもらえるきっかけになれば良いなと思います」と本人も話していることから、今回はポーランドからブルガリアのクラブへ移籍する前の7月に掲載した本人のインタビューを、特別に無料で再掲載いたします。このインタビューを通じて、加藤選手の価値が高まるきっかけとなれば幸いです。(『町田日和』編集長・郡司 聡)

▼表現したいプレーと監督の要求との狭間で

——まずポーランドでの1年を振り返って、どんなシーズンでしたか?
「自分ができることと、できないことをが分かりましたし、自分が何のためにプレーしているのか、という意味では、ブレていたシーズンだったのかなと思っています。一番は自分がやりたいプレーを表現して監督に使われることですが、監督がやってほしいプレーを意識し過ぎて、自分の持ち味であるプレーを出せない時期がありました。監督がやってほしいことは最低限にやらないといけないのですが、その役割にプラスして自分の持ち味を出す必要がありましたが、シーズンを通してどこか守りに入ってしまう自分が出ていました。自分を強く持って、信念を持ってやれば、もっと良いシーズンになったのかなと思っています」

——なぜブレたのでしょうか?
「良いプレーが続いていても、試合に出たいし、試合に出ることが第一優先の中で、監督の要求にどうしても応えたいと、(自分の持ち味を表現することよりも)監督の要求に合わせていくイメージです。良いときは自分の良さを出せているので、要求を超えた部分も出せているのですが、それを年間通してできていれば良かったですね」

——監督にはどんな仕事を求められていたのでしょうか?
「僕はアンカーのポジションでプレーすることが多かったのですが、両CBと一緒に(ポジションは)ステイだよと言われていました。前には出て行かずに、お前がずっと(攻撃の)火消し役として前へ行かずにステイしてろと言われていたんです。その中で良いときはタイミングを見て前へ出るなど、自分の良さを出しつつ、役割をこなせたのですが、自分のパフォーマンスが良くないときは前へ出ずに後ろで守備を優先し、守りのプレーに入ることが良くなかったと思っています」

——監督の要求を守らないと試合には出られないという恐怖心にも似た感情があったということでしょうか?
「それはあったんだと思います。だからそうなったんです。周囲とのバランスを気にしていたというか、気にし過ぎたのかもしれません。ディフェンスラインの2CBは、僕は相手の1枚に対して、対応は2枚で十分だと思うのですが、2CBは3枚で見たがっていたので、前に行こうとすると『加藤残れ』と言われていました。僕が二人で対応できると強く主張して少しでも前へ出ても良かったと思っています。周囲とのコンビネーションは悪くなかったですが、失点もしています。それは個人というよりも、チームとしての問題が大きいと思います」

——なお、チームがやろうとしていたスタイルは?
「主に守ってカウンターです。僕としては(前から)プレスに行きたくて、何回かプレスに行くことはありました。監督も戦術変更にトライしようとしましたが、守ってカウンターのほうが結果は出ていました。選手間ではプレスに行ったほうが良いという話をしていました。ウチのチームもそうでしたが、ほかのチームも前からプレッシャーをかけられると前に蹴ってしまうチームが多く、つなぐのはうまくないですね。どのチームもそうでした。中位や下位のチームはそれほど力の差がなく、蹴ってくるので、セカンドボールを拾って戦ったほうがいいのかなと個人的には思っていました」

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