「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第41節・町田vs松本/町田・相馬直樹監督、松本・反町康治監督、飯田真輝選手、高崎寛之選手、工藤浩平選手、田中隼磨選手コメント(5,733文字)

■明治安田生命J2リーグ第41節・11月12日(土)14:00キックオフ
町田市立陸上競技場/9,519人
FC町田ゼルビア 2-1 松本山雅FC
【得点者】町田/12分 中島裕希、45+1分 仲川輝人 松本/66分 高崎寛之

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日はホーム最終戦ということでたくさんのお客さんに来ていただきました。1万人には届きませんでしたが、われわれにとってはチャレンジできる雰囲気を作ってくださってくれたと思います。まずは感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

前半に関しては松本さんは昇格が懸かった状況で少し硬かったと思います。その中で前半は選手たちが前へ出ることを徹底してやり続けてくれた45分間だったんじゃないかと思います。同じようにたくさんの方にご来場いただいたセレッソ大阪との開幕戦では押し込んだゲームをできましたが、前半は無得点に終わった試合でした。そして後半、セットプレーからの失点を喫して、0-1での敗戦というシーズンのスタートを切りましたが、そのことを考えると、今日の試合で自分たちの時間帯に点を取ることができたということが、チームの成長なのかなと思います。

ハーフタイムでは前半と同じ戦いを続けよう。そして後半の45分で勝って帰ろうと選手たちを送り出しましたが、さすがに松本さんのエネルギーに対して、非常に苦しい展開になりました。後半は相手に押し込まれる中で落ち着くところまでは行ったのかなと思ったのですが、その中で1点を返される形になりました。前半を非常に飛ばしていたぶん、後半は体力的に厳しくなり、カウンターの鋭さもなくなってきた中、苦しい展開でしたが、最後の一歩の場面で選手たちがギリギリの意地を見せたくれたと思います。

今日は松本のサポーターもたくさんいましたが、テレビを通じて、われわれを初めて見た方もいらっしゃると思いますが、そういった方々の心を動かす試合ができたのではないかなと思います。こういうゲームを続けていけるように、まずは最終節の愛媛戦を勝って終われるように準備をしていきたいと思っています」

ーー先ほどのチーム成長という話の中で、点を取れる場面で取れるようになったとおっしゃられていましたが、それ以外でプレーの内容やチームの動きの部分で、この試合を通して成長を感じたことはありますか?
「選手たちが自分自身に対してもそうだと思いますし、仲間に対しても自分たちのやり方を信じられるようになってきたのかなと思います。ボールをきちんと持つことができるようになりましたし、ボールを前に出すことができるシーンが増えているのかなと思います。当然よく見れば荒さもあるとはいえ、それは守備で奪いに行くということもそうですが、選手たちがそういう一つひとつのところで、チームとしてミスをカバーできるという信頼と自信がチームの成長につながっているのかなと思います」

ーー3バックの後ろに穴が空くという松本の弱点がある中で、人数をかけてサイドを崩して中に折り返す形でチャンスを作っていたと思うのですが、どのような部分をポイントとして考えていましたか?
「松本さんは今シーズン一度目の戦いで一番強いチームと感じましたし、一番何もさせてもらえなかったチームだったと思っていました。そういう状況を含めても、前半の出来と、後半苦しい中で耐え切れたことが、チームの成長した部分だったのではないかと思います。

山雅さんだからそういうことを狙ったというわけではなく、自分たちの戦い方、自分たちの長所、やってきたことを、まあ90分出し切れなかったというのはありますが、試合のスタートから、出せるときには出して、出せないときには我慢をするというのを、選手たちは良くやってくれたと思います」

 

■反町 康治監督(松本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「ヒラリー・クリントンの気持ちがよく分かりました(苦笑)。やはりどこかに重圧というか、違う意味でのおごりがありました。それをコントロールできなかったのは私の責任なので、これだけ多くのサポーターがアウェイでも声を枯らして応援していただいたにもかかわらず、負けてしまって反省しております。

前半はあれだけリズムが悪く、何とか1失点でハーフタイムに入りたいとベンチで考えていましたが、多くのチャンスを作られた上に、バーに救われるという神頼みをしているようでは、到底ゴールにたどり着けないなと思いました。後半は相手の足が止まったことも含めて、いわゆる中盤でのこぼれ球をことごとく自分たちのものにできて、われわれらしさは出てきたのですが、やはり前半の2失点は大きかったです。

このままの状態で行けば一つ順位を落とすことになりそうなので、逆に言うと1週間チャレンジ精神を持ってエンジョイしたいなと思います。こうして最終戦までもつれたことをうれしく思いますし、しびれるような90分間を戦って、今日の悔しい思いを晴らせたらと思っています」

ーー右サイドを崩されての2失点でした。
「右サイドうんぬんではなく、サイドに人数を割いて深いところからクロスを上げる形が町田の得点パターンです。裏返して言えば、分かっていてやられてしまったのが恥ずかしいです。サイドを割られたとしてもゴールは真ん中にあるので、最後のところで力をしっかり発揮すれば良いのですが、『あれ、どうなっちゃったの?』という感じです。驚きは何もないですし、最後のところをしっかりと抑えていれば、失点はなかったわけですから」

ーー宮阪政樹選手の投入の意図を聞かせてください。
「後藤がカードをもらっていたということもありますし、少し不安定だったので代えました。攻撃のギアを上げるためにも、そうせざるを得なかったです。宮阪はセットプレーがありますし、展開力もある。実際にそこから展開してチャンスを作れていましたし、2点目を取るためにどうするか、という判断で彼を送り出しました」

ーー2失点の原因について。
「すべてだと思いますね。町田のことを誉めるのであれば、中島も仲川も谷澤も素晴らしかった。相馬もオレの後輩だから素晴らしいし(苦笑)」

ーーセカンドボールを拾われることが多かった原因は?
「向こうもそうだったのですが、芝が深いこともあってボールが足元で止まってしまうんですよね。流れが悪いので、どうしてもハイプレスのチームが有利。そこでことごとく向こうにリズムを作らせてしまい、われわれはプレッシャーをはね除けようとして、うまくかわそうとして引っ掛けられてしまう。リズムを作れずに苦しまぎれに蹴ってオフサイドになってしまう、思うところでボールをもらえないという悪循環でした。町田のペースで進んでいたので、前半は1失点で抑えたかった。そういう試合もあるので、2失点目は本当に痛かったです」

ーー最終節に向けてのチームマネジメントはどのように考えていますか? 2年前の昇格時とは異なりますか?
「当然メディアがインタビューをする状況になることは止むを得ないのですが、そこをうまく勘違いしないように持っていくことが私の仕事です。最初におごりという表現を用いましたが、そういう選手はいませんでした。ただ、取材されて持ち上げられて、ずっと負けなかったぶんだけ溜まっていたウミが前半に出たのかもしれません。ウミが出たら快方に向かうと思いたいのですが、その傷口を早く治すことも私の仕事です。

2年前とは状況が違うので何とも言えませんが、私としても初めての昇格争いではありません。新潟や湘南のときも最終戦までということはありますから、まずはわれわれがしっかりと構えて、選手を観察して、最後の90分に送り出す。それに全力を尽くしたいと思います」

ーー縦に走られたことで守備陣のギャップを作られていました。
「町田はリ・ハンジェが残って、森村が前線に斜めへ飛び出して起点を作るんですよ。ワンタッチで中へ入れて勝負と。相手の特長の映像を見せたら、そのままの形で二つやられてしまったので、恥ずかしくて仕方がないのですが、ただ、そのインフォメーションによってディフェンスラインが恐がってしまって、高く保てずに自分たちでギャップを作ってしまいました。

向こうはスピードのある2トップですし、先に触られてしまって横を向かされ、背中を取られてしまう。今まではそういう綻びはあまりなかったので、しっかりと反省して、来週は休みを入れても十分時間があるので、しっかりトレーニングしながらやっていきたいですね」

 

■DF 4 飯田 真輝(松本)
最終ラインの連係をまだ詰め切れていなかった
「1失点目もそうですし、前半を通じてですが、ラインをなかなか上げることができませんでした。自分たちのゴールの近くでプレーしてしまうことが多かったです。(今日の結果は)そこに尽きると思います。相手がシンプルに戦ってくることは分かっていたので、相手以上にシンプルに戦うことと、中島選手と谷澤選手、彼らのスピードにも苦しみました。最終ラインの連係でまだ詰め切れていないことを露呈したかと思います。

見ても分かるとおり、硬かったと思いますし、それは試合中も感じていました。自分たちのサッカーをできるかということに尽きるので、硬かったかどうかではなく、ゲームプランどおりに試合を進められなかったことに尽きると思います。

いつもより勝ちたいという気持ちは強かったと思います。後半はそれが良い方向に作用していたと思います。先に失点をしてしまったことで、勝ちたいという気持ちは良い方向に働きませんでした。僕たちは3位になるとプレーオフ進出となります。そのプレーオフで一度も負けなければ昇格は確定すると思いますので、僕個人としては2失点とも最終ラインの問題で試合を壊してしまったから、そこの連係を上げていきたいということがいま、僕が一番考えていることです」

 

■FW 29 高崎 寛之(松本)
相手のプレッシャーに負けていた
「前半には相手のバー直撃のシュートもありましたから、よく2失点で収まったなという展開でした。前半終了間際の失点など、隙があったのかなと思います。ビルドアップの場面で受ける動きができていなかったり、相手の寄せが速かったので、相手のプレッシャーに負けていたのかなと」

 

■MF 23 工藤 浩平(松本)
自分たちのプレッシャーなのか、全体的に重かった
「チャンスもありましたし、前半の2失点が大きかったです。町田のプレッシャーは速かったですし、自分たちのプレッシャーなのか、全体的に重かったです。相手の圧力も強かったですし、ロングボールの処理もうまくできず、判断のミスも重なった2失点をしてしまったと思います。ただ後半はチャンスがありましたので、2点目、3点目を取りたかったです。

(前半は町田が山雅のやりたいサッカーをやってきた印象です)ホーム最終節で気持ちも入っていましたし、こういう試合もあると思うので、こういう試合を引き分けや勝利に持って行けるチームが上のカテゴリーに上がれると思います。今日はひっくり返せなくて残念です。次が今年アルウィンでの試合が最後なので、勝ってその結果がどうなるか分かりませんが、やるべきことが決まっているチームなので、それをやるだけだと思います。

(前半は失点があったとはいえ、前に圧力をかけて攻める形が少なかったと思います)ボールの出所で詰まっているというか、前からプレスをかけて、という形を相手にされて、ウチのディフェンスから切り替えの部分で良いボールが出てこなかったです。ただそれは後ろだけの問題ではなく、前が時間が作れなかったとか、後ろがどうではなく、どっちもどっちだと思います。

(試合全体を通じてセカンドボールを拾えなかった印象です)ラインが低くなって、前の選手は前目のポジションを取っていて、中盤の枚数が相手よりも少なかったと思います。ヤザ(谷澤)とか、中島選手のポジショニングも良かったことで、セカンドボールを拾われる展開になったと思います」

 

■DF 3 田中 隼磨(松本)
僕たちに試練が与えられている
「自分たちにできることは勝つことだけなので、最後自分たちのホームでアルウィンで試合ができますし、勝って終わりたいと思います。(勝てなかった原因は)みんな一人ひとりが分かっていますので、次の試合まで1週間あるので、心身ともに最高の状態で試合に臨めるようにしたいです。

(プレッシャーはありましたか?)もちろん、プレッシャーはありました。ただ僕たちはこういう状況でプレッシャーに打ち勝ってこそ、昇格できるチームだと思っています。そのプレッシャーが原因で負けたわけではなく、自分たち自身に負けたと思っています。自分たちの試合ができなかった。ただそれだけです。ここまで来て、何か新しいことをするのではなく、自分たちのスタイル、自分たちを信じて、仲間を信じて、自分たちらしいサッカーをして勝ちたいと思います。

(ディフェンスラインの押し上げが足りずに、失点することを怖がっていたのかなという印象です)そういうつもりはないですが、結果負けてしまえば、そう言われても仕方がないです。ロッカールームでも話して、自分たちの何が悪かったかは分かっていますので、自分たちが悪かっただけです。そんなにサッカーは甘くはありません。昇格までスムーズに行くとは思っていませんし、こうやって僕たちに試練が与えられているのだと思います。これを乗り越えてこそ、昇格できるチームだと思います。あまり先のことを考えずに、いまできることは目の前の試合で勝つことだけです。周りの結果次第ですが、僕たちにできることは勝つこと、それだけです。

サッカーはそんなに甘いものではありません。ここまで16試合負けなしで来て、簡単に昇格が決まるものではありません。サッカーの難しさを思い知らされました。本当にサッカーは何が起こるか分からないスポーツだと思います。こういう厳しい状況でも昇格して強くなりたいと思います」

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