「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第12節・町田vs湘南/町田・相馬直樹監督、湘南・曺貴裁監督、杉岡大暉選手コメント(5,057文字)

■明治安田生命J2リーグ第12節・5月7日(日)16:00キックオフ
町田市立陸上競技場/6,203人
FC町田ゼルビア 0-0 湘南ベルマーレ

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「ゴールデンウィークの最後の日である上に、今日が連戦の最後となった試合に、たくさんの方々にスタジアムのほうへ足を運んでいただきました。また素晴らしい雰囲気を作ってくださり、選手たちもそういった環境下で燃える試合をしてくれましたと思います。そういった環境を作ってくれた方々にまずは感謝申し上げたいと思います。

ゲームのほうは前半の自分たちの時間帯に点を取れるかどうか。そういう展開の中で最後は苦しみながらもドローという結果となりました。自分たちの時間帯で点を取れるかどうか、やはりそういったことが今後も大事になってくるということを痛感する結果となりました。

連戦ではありましたが、立ち上がりからわれわれがチャレンジャーとして、アグレッシブに戦った中で相手のリズムを崩すような形を作れましたし、自分たちの時間帯を作れたと思いますが、そこで点を取れればまた違った展開になったのかなと思います。今後は同じような展開になったときに点を取れるように、選手たちと練習をして追求していきたいです。

後半は選手同士の距離が開く展開になってくるんじゃないかと想定していましたが、距離が開くというよりも、われわれが押し込まれる展開が長くなりましたし、なかなか攻撃に出る時間を作れませんでした。そんな中でもセットプレーでチャンスを作りながら、粘り強く戦ってくれました。0-0という結果ではありましたが、試合後選手たちにも話したように、戦っている立場でも、この試合はどうなるんだろうという、ワクワクというかドキドキするような展開がピッチ上にたくさんあったんじゃないか。そう思っています。

そういう戦いをしてくれたわれわれの選手たちと湘南の選手たち、そして素晴らしい環境を作ってくださった両チームのファン・サポーター、スタッフの方々も含めて、感謝を申し上げたいと思います。今後はこういった試合を勝利できるように選手たちと精進していきたいと思っています」

ーー前半のうちに湘南が何度かシステムを変えてきましたが、それに対するピッチ内の対応はどのように映っていましたか? また後半にゴールを決めて勝ち切るためにどんなプランをイメージして、実際にピッチ上に反映されたものは監督の目にどのように映ったのか。聞かせてください。
「立ち上がりの湘南さんは2トップにアンカーを配置するような[3-5-2]のシステムでスタートしてきた中で、途中に中盤の中央の三角形を逆にしたり、また戻したりしていたと思います。ルーズボールをどう拾うか、それを拾って次にどう展開するかということをイメージして、湘南さんはシステムを変えてきたのだと思います。

ただセカンドボールワークの優劣はシステムうんぬんで決まったのではなく、セカンドボールへの出足で決まっていたのかなと思っています。湘南さんのシステム変更は、ウチにセカンドボールを拾われていたことに対して、湘南さんが対応してきたのだと思います。こちらも注意深くピッチの中を見ていましたが、システムの変更によってボールを動かされたとか、セカンドボールを拾われていたなと思うようなことはありませんでした。

ただ後半に関して言うと、湘南さんが1トップ2シャドーの形にしてきて、ジネイ選手にボールが収まるような形を作られてしまいました。ただそれは連戦による運動量の低下を一つの原因として、そういった影響が生じたのかなと思っています。もちろんそれだけではありませんが、相手の攻撃の回数やウチがボールを持って前に出る回数に差が生まれる原因は、システム以外の部分に起因するのかなと思って見ていました。

湘南さんは前半にパワーを使って、後半に運動量が落ちる傾向があるので、後半勝負というプランもある中で、今日に関しては吉濱遼平のゴールを生み出す力を後半に生かしたいと思っていました。前半はウチのリズムで時間が進むことによって、相手の体力を奪うというよりは、あまり湘南さんが走らないまま前半が過ぎたことにつながり、逆に前半にウチが飛ばし過ぎたことで運動量が低下し、後半に湘南さんが前へ出るエネルギーが結果的に残るような形になったのかなと思っています。そういった展開の中で良いボールがなかなか遼平に入らなかったのかなと思います。

やはりウチは前半に飛ばし過ぎたことでエネルギーが乏しくなり、奪ったあとにボールを失うような回数が次第に増えていきました。最後のほうはその結果苦しい展開になったのかなと思います。そういう意味では連戦の中での戦い方をもう少し考える必要があったのかもしれないなと思いますが、湘南さんは昨季J1を戦っているチームですし、そういうチームに対して、いま自分たちにできることをぶつけて戦おうとしてきた中で、こういう戦いができましたから、やはり良い時間帯に点を取る。それに尽きるのかなと思います」

 

■曺 貴裁監督(湘南)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「今日の試合が3連戦の最終日になりましたが、2勝できていたチームがウチを含めて4チームある中で、3連勝をするチームはほとんどないだろうと思っていました。結果的にウチは引き分けで、ほかは負けか勝ち点1に終わっています。あらためて厳しいリーグだと感じました。

町田さんがやろうとしていることや、町田さんが取り組んできていることは、映像と同じでしたが、前半は自分たちでボールを動かそうとしても、セカンドボールを拾えずに受け身になってあわや失点という場面もありました。ただ運もあって、後半に0-0で折り返せたことが勝ち点1につながったのかなと思います。

ハーフタイムには選手たちがいろいろと話し合っているので話さなくていいと。自分たちが競り合いに負けて、セカンドボールを拾われているだけなので、自分たちが責任を持ってプレーすればいいと選手たちには話しました。後半は町田さんも足が止まりがちになったときにチャンスを作れましたし、あの時間帯で1点を取れれば勝ち点3は取れましたが、町田さんがクリーンにファイティングスピリットを出して戦ってきましたので難しい試合でした。

監督の相馬は僕の後輩で、僕が4年のときによく話す1年生が入ってきたなと思ったら、それが相馬でした。彼は代表選手までになって、こういう素晴らしいチームを作っているなと思います。彼が監督で僕が選手ならば萎縮して何もできないなと思いながら試合を見ていました(笑)。

非常に懇意にさせてもらい、オフにはいろいろなサッカーの話や大学の話を相馬とはさせてもらっています。僕が言うのも何ですが、同じ釜の飯を食った仲間や先輩方・後輩が頑張っていることに僕自身も刺激を受けています。次にわれわれがホームに町田さんを迎えるときは、勝ち点3を取るための努力をしたいと思います。町田さんのわれわれに対する圧力は非常に厳しいものがありました。そういう意味では最も良い結果ではありませんでしたが、気持ちとしては非常に清々しい思いでいます」

また前半で神谷(優太)を代えましたが、今季前半で選手を交代させたのは初めてのことです。また僕は今季で監督6シーズン目となりますが、前半で選手を代えたことは1回か2回だと思います。それだけ彼は酷かったということです。でも、酷かったというのは悪かったということではありません。

人間、1回酷かったなというプレーをピッチでしないと、特に若い選手はなかなか分かりません。チーム状態やチームの先輩に対してといったことは今日は全然関係なく、今日は優太が学ばなければならない日です。もちろんU-20代表に選ばれずに悔しい気持ちを持ってピッチに立ったとは思いますが、僕は彼がもっとできる選手だと思いますし、もっとやらないといけない選手だとも思います。

プレーするというのはイコール“戦う”ということで技術の品評会ではないよという話をしています。まさに彼はそういうことを脳裏に焼き付けて練習をしなければいけません。これが代表に選ばれて(U-20W杯)グループステージ初戦の南アフリカ戦で横パスをひっかけられて失点して学ぶのか、それとも日本のJリーグの中でそれを学ぶのか。どっちが良いかは僕には分かりませんが、そういった可能性も十分にある中で、彼には選ばれていないということをちゃんと真摯に受け止めて次に進まなければいけません。そこには監督である僕も、10代の選手をピッチに立たせる、また経験ある選手と一緒にどう組み合わせていくかということを責任持ってもっと考えていかなければならないですし、これからも生かしていきたいと思います」

ーー前半の途中から何度かシステムを変えましたが、その狙いを聞かせてください。
「最初のプレーで(神谷)優太がカードをもらってしまって、ボールに行けなくなってしまったので動かさざるを得ない部分がありました。意図的に相手に行ったプレーではない中で、最初のプレーがカードになってしまったことを思えば、ウチの選手も町田の選手も今日はほとんど警告を受けるようなプレーだったと思います。最初のワンプレーに対して警告が出るということになれば、それが今日の基準になるわけですから」

ーーデビュー戦となった途中出場のシキーニョ選手への評価は?
「日本に慣れずに最初はメンバーに入ることも苦労していましたが、トレーニングは非常に真面目にやっていましたし、彼の特徴である、左利きやスピードがあるということはみなさんがご覧になって分かったと思います。実際チャンスを作っていたと思います。高山(薫)が非常に長い間いない現状や、そういうことも含めて、ワイドの選手として貴重な存在ですので、デビュー戦としては悪くない出来だったかなと思います。ただ、まだまだやらなきゃいけないことはたくさんあると思います」

ーー杉岡大暉選手がここからU-20W杯のためチームを離脱しますが、ここまでの彼のプレーをどう評価していますか?
「市立船橋高校時代から本当に何試合もプレーを見ていますし、選手権に比べればプレッシャーも強度も当たり前ですけれどもJ2のほうが高い中で、僕がスタンドの上から何も考えずにピッチを見ていたら『この10代、結構やるな』と思うかもしれませんが、僕は監督なので、まだ甘いな、一言で言ってまだまだだなと思っています。

ただそれは先ほどの神谷への言葉と同じで、決してネガティブな言葉ではありません。今日も最後彼はファウルをして、それは本人にも言ったのですが、あの時間にあの場所でファウルをすることは自分が二流のDFだと周りに言っているようなものだよ、と言いました。あのタイミングであそこでは絶対にファウルはしてはいけません。それをしてしまうことで失点をしてしていたら、『僕はボールを取りに行きたかったんですけど……』と言ってもそれは言い訳にしかなりません。

彼はこれから良い選手になるためには、やって良いプレーと悪いプレーの状況判断をしっかりしていくことが必要です。今日も何回かボールロストをするプレーがありましたけど、やってはいけないロストの仕方があります。ただそれは折り込み済みで使っている部分もあるので、ネガティブな意味ではないです。ウチから出ていろいろなクラブに行った選手たちも最初はみんなそうでしたし、ただ今日のようなプレーからきちんとと学んでほしいなと思います」

 

■DF 29 杉岡 大暉(湘南)
行ってきますという意味合いで頭を下げました
「(試合終了後にサポーターの下へ挨拶に行っていたが?)サポーターが送り出してくれるという意味でチャントが歌われたので、挨拶に行きましたし、曺さんにも行けと言われました。行ってきますという意味合いで頭を下げました。

(前半は押し込まれる時間帯が長かったですが、どんなことを考えながらプレーしていましたか?)我慢をしながら戦うこととセカンドボールを拾うことと、チャレンジ&カバーを的確にすることを心がけていました。クロスボールへの対応は、マーキングをしっかりとやることを意識していました。

(左サイドから攻める形に何度か絡みました)町田が同サイドに寄るチームなので、反対サイドに展開されたときにチャンスになる。そのタイミングでうまく上がれたことは良かったと思います」

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