「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第13節・松本×町田/松本・反町康治監督、工藤浩平選手、町田・相馬直樹監督コメント(4,876文字)

■明治安田生命J2リーグ第12節・5月7日(日)16:00キックオフ
松本平広域公園総合球技場(アルウィン)/9,389人
松本山雅FC 1-1 FC町田ゼルビア
【得点者】松本/40分 工藤浩平 町田/52分 森村昂太

 

■反町 康治監督(松本)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「こうした悪天候の中、最後までたくさんのファン、サポーターの方々に声を枯らして応援していただき感謝しております。町田さんは最後の15分間で全得点のうちの半分を取っているチームですから、最終盤はどちらに転んでもおかしくない展開になりましたが、みなさんの後押しをいただいたことで最後に戻る力などのパワーをいただけたのかなと思っています。

いまの持ち得る力を出し切った試合でした。これが現段階での力だと認識していますし、連戦となりますが、これからも厳しいゲームは続きます。それでも強気でやっていきたいと思います」

ーー良い形でゴールが決まった一方で、今日の結果により3試合勝利なしとなりましたが、現在のチーム状況についてどう思っていますか?
「今季の戦いを見ても、それほどゲームの差異はないと思います。どこか圧倒的に強いチームはなく、私は長らくJ2リーグを戦っていますが、今までのJ2とはあまり差がないなという印象を受けています。そうした中でなかなか勝ち星が取れないということはツラいのですが、客観的に見ればうなずかざるを得ません。上に行くために必要なことは何なのか。それを模索しながらやっています。

冒頭のコメントでも言いましたが、出し得る力を出し切っての結果ですので、悪ければ当然私に責任があります。何とかチームの状況を良くしようと努力していることに間違いはありません。ただ、現状を見ると、これがわれわれの持っている最大値だと思っていただきたいです」

ーー岡佳樹選手を今季初先発で起用しましたが、彼に何を期待して起用したのでしょうか?
「少しチームが停滞している中で、ウチのチームは見てのとおり、30歳前後の選手が多いので、フレッシュな選手で少し停滞しているチーム状況を打破していきたいという考えはありました。テクニカルな部分ではまだまだですが、ゴールが必要なチームにとって、ゴールフィーリングやスペースを突く力がある選手なので、相手を見据えた上では力を発揮できるかなと思って彼にチャンスを与えました」

ーー間もなくリーグ戦も3分の1が終わろうとしていますが、現状の収穫と課題を聞かせてください。
「試合後に『強くなったな』と相馬(直樹監督)にも言いましたが、何度も言います。周りの雰囲気からわれわれは強いチームと思われていますが、実際にそういう試合は一つもありません。そうした中で切磋琢磨して競争して勝ち上がっていくことを推進させることが私の大きな仕事ですから、それはやっています。昨季と比べて、われわれのチーム力がどうかと質問されたら何とも言えませんけれども、周りとの相関関係で周りのチーム力がアップしてわれわれの力が同じだったとしたら、こういう形になるのかもしれません」

ーー岡選手が先発で起用された中で負傷者の復帰などは明るい材料では?
「明るい材料ですが、監督業は来月のことを考えてやる仕事ではないので、次の山形戦のことしか頭にありません。先のことについては何ともコメントできないですね」

ーーボールを持つ展開になって、狙いを持って攻撃をしている中でチャンスは作っていましたが、最後の部分で合わなかった場面もありました。それを決めるのはタレント力と言ってしまえばそれまでですが、そうしたチャンスを決め切るために大事なこととは? それがこの混戦を勝ち抜けるポイントになると思いますが……。
「おっしゃるとおりで今日も福岡が勝ちましたけど、誰がゴールを決めたかは大体想像がつくじゃないですか(苦笑)。われわれの場合は残念ながらそういう力があるかと言われれば劣るかもしれません。ただそれは仕方がないことだと思っています。それはクラブの予算面から仕方がない部分はあります。それとどうしてもサッカーの試合のハイライト番組を見ると、最後のパスが合ってゴールが決まる場面ばかりを目にします。逆にウチの場合は最後のパスが合わずに、逆にカウンターを食らっています。それは何度も繰り返しますが、大きな問題です。

いま、おっしゃられたようにプロセスはそんなに悪くないんですよ。先制点の場面にしても飯田(真輝)がニアに入っているところにスペースが生まれているわけです。飯田を誉めるわけではないのですが、ああやってゴールを取るために飛び込んでいける選手が前線にいるか。それがウチの課題でもありますし、そこに合わせる力があるか。それがやっぱり前節で言えば、残念ながら福岡とわれわれの差だと思います。

もちろん指をくわえているわけにはいかないので、当然トレーニングはします。ただ、正直なかなか本番で引き出すことができていません。サッカーは足を使ってやるスポーツでもあるので、ピンポイントでパスが合うかどうか。それは相手のプレッシャーのある中で、しかも判断をたくさんしないといけないスポーツという意味では難しいんですけどね……」

ーーゴールチャンスで決め切れないことやFWの選手になかなか合わないといったプレーがありましたが、後ろから攻撃参加をしている選手がいるとはいえ、FWの選手が決めるにこしたことはないと思います。そうしたことへのジレンマに関してはいかがでしょうか?
「おっしゃるとおりで何ともコメントできない部分もあるのですが、私はそうやってずっとやってきましたから。ストレスも溜まりますけど、何とか突破口を見付けてトレーニングをしていくことや、相手を分析して戦略を練っていくことに変えていくしかないでしょうね」

ーーこれまでと比較してボールを保持する形からチャンスを作ることが増えているとは思います。
「少しずつテクニカルな選手も増えてきた中で、自分たちで主体的にボールを動かすという形もできてきてはいるんです。ただ今日に関してはこういう天候もあって、向こうも長いボールで勝負をしてきたので、押し込まれる形になるのは仕方がないのですが、これを止めるつもりはありません。もっと精度を上げて、最後のところでごっつぁんゴールでも点を取っていけるような形に持っていきたいと思います」

 

■MF 10 工藤 浩平(松本)
イシのクロスボールに感謝している
「前回対戦の試合で町田には負けているので、3連戦のスタートで勝ち点3を目指していましたから、引き分けは悔しい結果になりました。イシ(石原)からのクロスボールが良かったことと、あとはミートするだけだったので、イシのクロスボールに感謝しています。久々のゴールだったので、ゴールパフォーマンスはあまり意識していませんでした。髪型を変えたので、上のスタンドで見ていた安藤(淳)、武井(択也)には分かるようにパフォーマンスはしました。

『One Soul』という言葉があるように、連戦なので誰が出ても良いようにチーム一丸となって準備をしていくことが大事だと思います。勝ち点3を取れるように最後まで走り抜きたいです。

どのチームも何か一つのきっかけで混戦を抜け出したと思っていると思います。次が山形だからとか、そういったことは関係なく、一つ抜け出していくきっかけを作りたいです。

(ゴールシーンについて)割と長いボールでの一発狙いが多い展開の中、ゴールシーンのようにあの位置でパスを受けることが得意な選手だと個人的には思っているので、もっとボールを引き出さないといけません。そういうボールの出し入れが増えるとフリーの状況を作りやすいのかなと思います。

(パスを出す側に回ることもありましたが、クロスボールに飛び込む形は工藤選手の体のサイズでは難しいと思います。その中で意識していることは?)動き直しや相手よりも早く予測して動くことを心がけています。ヨーイドンで競れば相手に勝てるとは思っていないので、先に動くなど予測の部分を大事にしています。ウチとしてはより強く、より速くということを続けていく。それが大事です。幸いにも混戦ですから、チームがバラバラにならずに1試合1試合を大事に戦っていきたいです」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いいたします。
「まずはこういった悪天候の中、東京の町田からわれわれに力をかしてもらえる500人ほどのサポーターの方々に足を運んでいただきました。まずはありがとうございましたと感謝を申し上げます。スリリングなゲーム展開になった中で、サポーターの声援が選手たちの足を一歩出させるようなエネルギーになったのかなと思います。

試合のほうはわれわれのやり方に対して、松本さんが特にリスタートやスローインなど狙いを持ってしかけてきた中で、相手にチャンスを作られました。ピッチコンディションを含めて、セカンドボールがポイントになる試合になったと思っていますが、前半は相手にもわれわれにもチャンスがある展開になりましたし、相手の狙った形を作られてしまったなと感じた前半でした。

ただ自分たちのゲームの進め方としては、前へ前へボールを動かす攻撃の形を作れたと思います。フィニッシュの場面で迫力のある形を作れましたが、カウンターで攻撃に出ていく過程でのミスから失点をしましたので、もったいない形でビハインドを負うことになりました。ただハーフタイムで選手たちには『悪い戦いをしていない。後半の立ち上がりで力を出して、いまの戦い方を続けていけば必ずスコアになる』と話している中で、実際に後半の立ち上がりに良い形で追い付くことができました。

そのあとはサポーターの声援の力をかりながら、かなり押し込まれる展開が増えた中で、飯田選手を前に上げる形からパワープレー気味で相手がしかけてきたことにより、相手に押し込まれる形になりました。とはいえ、カウンターでチャンスを作れるなと思っていたので、そのための選手を配置しましたが、カウンターをしかけられるチャンスで行き切れずに終わったことがもったいなかったなと思っています。

カウンターで仕留めるチャンスは十分にあったのかなと思っていますし、見ている側からすれば、押し込む松本とカウンターを狙うわれわれという構図でスリリングなゲームになったと思いますが、選手たちはいまできることをやってくれたのかなと思っています。カウンターの精度やいろいろな決断の部分を上げていかないと、こういうゲームを勝ち点3につなげていけないと思っています。すぐにゲームはやってきますが、また選手たちと前へ進めるように準備をしていきたいと思っています」

ーーいろいろな選択肢がある中で、3枚目の交代選手に平戸選手を選択しました。彼に期待したことは何でしょうか?
「先ほども少し触れたように、相手がパワープレー気味に前に出てきている中で、中盤でボールを拾えたときはノープレッシャーとはいかないまでも、かなりフリーな形でボールを運べる状況を(3枚目の交代カードを切る)少し前から作れていたなと感じていました。そこで拾ったボールを前に運ぶチャンスはできるだろうと踏んで、われわれとしては最後にゴールを仕留めることを期待して彼を投入しました。ただその中で彼としては、もっとこぼれ球を拾わないといけないと思っているでしょうが、そういった狙いで(平戸)太貴に出てもらいました」

ーー次節の名古屋戦に向けて、現時点でどんなトレーニングをして試合に臨もうと考えていらっしゃいますか?
「まだ今日の試合が終わったばかりで、名古屋さんの情報は持っていませんので、何とも言えません。ただすでに4日後の試合に向けてのカウントダウンは始まっていますので、選手たちが少なくとも今日と同等、もしくは今日以上のファイティングポーズを見せられるような準備をしていきたいと思っています」

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