「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】J2第17節・町田vs愛媛/町田・相馬直樹監督、愛媛・間瀬秀一監督、河原和寿選手、小池純輝選手コメント(4,808文字)

■明治安田生命J2リーグ第17節・6月4日(日)16:00キックオフ
町田市立陸上競技場/3,105人
FC町田ゼルビア 1-2 愛媛FC
【得点者】町田/25分 重松健太郎 愛媛/68分 白井康介、69分 河原和寿


■相馬 直樹監督(町田)
ーー本日の試合の総括をお願いします。
「前節の山口戦に勝ったあとの今日の試合で、連勝を狙って一緒に戦ってくれたファン・サポーターのみなさまにまずは感謝を申し上げたいと思います。しかし、そうした中で逆転負けという結果になってしまったことを申し訳なく思っております。

前半は(重松)健太郎の素晴らしいシュートが決まり、全体的に自分たちのリズムで試合を進められていたと思います。愛媛はわれわれへの対策として、かなりサイドに散らしてくる戦い方をしてきたのですが、前半はそのあたりに対応しながら戦えていたと思います。前半は戸島(章)のチャンスもありましたし、その中で後半に折り返しました。リードをしてからの時間帯は自分たちからしかけるというよりも、相手を待つような展開になりがちでしたので、2点目を取りに行く姿勢を持つようにと選手たちに話して、後半のピッチへと送り出しました。

ただ後半に入っても全体的なテンポは上がらずに、セカンドボールを拾われる回数が増えて相手に良い形を作られた上にサイドからの展開が増えてしまいました。失点の場面はエアポケットのような、何でもないような形からの失点でしたが、それには理由があるのだと思います。映像を確認して、ゲーム全体の流れも見直さないといけません。結果的には逆転をされてしまい、攻勢をしかける時間帯を作れたのですが、最終的には敗戦という形になったことが残念です。

全体的な印象としては、ゲームやプレーを楽しめていない。それが終わった後に思ったことです。私自身の試合への持って行き方を含めて、選手たちにいろいろとプレッシャーがかかっているのかなと感じています。自分たちからボールを奪いに行くことやボールがあるときにはボールを保持することなど、もう一度選手たちと見直していきたいです。

またこれからやってくる夏場は暑い気候の中、難しい試合が多くなってくると思いますので、1点目を取られたあとにそれを引きずって2点目を取られてしまい、逆転された今日の試合のように、ミスを引きずってしまったことを良い教訓にしたいと思います。今日の試合を良い教訓にできたかどうか。それが今後は大事になってきますので、まずは次の京都戦に向けて、良い準備をしていきたいと思います」

ーーいまのお話の中で楽しめていなかったと言っていましたが、最近はそう思い当たる節があったのでしょうか?
「そういう意味で言えば、僕自身も楽しめていないのかもしれません。それが試合に反映されているのかもしれません。ゲームをしていること自体、もしくはチャレンジするということ自体を楽しめていないのかもしれません。その結果、ボールを受ける勇気やボールを握る勇気、目の前に相手が来て、ボールを下げるのではなく、自分で自信を持って前を向く。そういったことがないとシンプルに難しくなるなと、試合を見ながらそう思っていました」

ーー何か予兆はあったのでしょうか?
「これまでのゲームでも、そういう傾向のある試合はあるなと思っていました。すべての試合がそういうわけではなく、それは私の試合に向けての持って行き方にも起因することなので、私自身も見直していきたいと思います。選手たちがチャレンジできるようにしていきたいと思います」

ーー2失点した時間帯はどんなところがうまく回っていなかったでしょうか? いろいろな要素はあると思いますが、現時点でその理由をどのようにお考えでしょうか?
「1点目に関して言えば、普通は通らないボールというか、相手選手のことを言ってしまって申し訳ないですが、狙ったところとは違った方向にボールが行って、反対に逆を取られてしまい、カバーをできませんでした。カバーをできなかったことが問題ですし、真ん中という一番空けてはいけないポジションをカバーできなかったことに問題があります。

総じて言えば、2失点を喫した時間帯は、ウチのチームにとって、一番キツい時間帯だったと思いますが、足が止まってしまったことを含めて、結果としてチャレンジ&カバーをできませんでした。そして、その失点をミスと捉えて2点目が生まれてしまったと思っています。そうしたメンタリティーを含めて、もう少し前向きにプレーすることが必要だと思っています」

 

■間瀬 秀一監督(愛媛)
ーー本日の試合の総括をお願いします。
「私が言うまでもなく、見ていた人が感じていたと思いますが、愛媛FCの選手全員が強い気持ちで戦ってくれました。今日の結果はピッチに立っていた選手だけではなく、サブの選手、今日ここに来なかった普段一緒にトレーニングをしている選手・スタッフ全員の力だったと思います。走れて戦える選手が多くそろっており、私が尊敬するFC町田ゼルビアの相馬監督が率いるこのチームに勝利できたことは、今後の大きな自信になると思います」

ーー立ち上がりからサイドチェンジやスペースを突く形を作れていたと思いますが、選手交代を含めて点が入った時間帯あたりからそれまでと変えたことはありますか?
「町田が[4-4-2]のコンパクトな陣形を作り、ハイライン・ハイプレス・ワンサイドでのスライド・球際の強いプレスをかけてくるということはJ2全チームが知っていると思います。その中で私も分析しましたが、これまで町田と対戦してきたチームは、極端に裏やサイドチェンジを繰り返すというチームが多かったように思います。

今日の試合に関しては、そこに固執してはいけないと思ったので、自分たちが勇気を持ってボールを動かせる時間帯になったときに、中を使うことや、中を相手が閉めたら外を使うこと、また相手が前がかりになったら裏を使うことなど、今季自分たちが相手を見た中でサッカーをして判断をするということを、選手たちが声を掛け合ってやってくれました」

選手交代は攻撃と守備のバランスを考えてのことです。愛媛には必死に守備ができる選手がいて、攻撃で才能がある選手がいます。その中で全体のバランスとタイミングを考慮して、守備から攻撃に移り変わったことが、(藤田息吹から安田晃大に代えた)一人目の選手交代の理由です。

あとはワイドの選手に足が速かったり、しかけることができる選手が何人かいる中で、小池選手が良い準備をして、その特徴を出してくれました。また、小暮(大器)選手を小池選手に代えた理由は、イエローカードをもらっていたこともその理由の一つです。

最後の一手(有田光希→丹羽詩温)は丹羽が大卒の選手で、運動量とスピードが売りですが、試合に出るたびに自分の役割を理解してくれています。FWとしては良い役割ではなかったと思いますが、チームにとって必要な役割を果たすメンタルなどの賢さを兼ね備えている選手なので、最後にそれが効いたと思います」

ーー素朴な疑問に近いのですが、試合中の監督のテクニカルエリアの位置取りは、前半は(メインスタンドから見て)左端が多く、後半は中央や右端が多かったようです。テクニカルエリアでの位置取りについて、どんな意味があるのでしょうか? そしてそこから見えるモノは何でしょうか?
「全部、意味がありますね。普通、監督は中央や右端に座って、今日のベンチなら左端に選手が座るんでしょうけど…。まず最初は逆の位置(左端)に座りました。でも、ここでベンチに座る位置やテクニカルエリアに立つ位置の内容を明かすのはやめましょう。ただ言えることは、見る視点と、声の届き方の意味合いで変えています。あとは、師匠のイビチャ・オシムさんから引き継いだ座る位置、立ち位置ということでもあります。過去の試合を振り返れば分かると思います」

 

■MF 20 河原 和寿(愛媛)
今日は試合巧者のように戦えた
「前半から含めて、特に後半は再三ウチの右サイドが深い位置まで入ることができましたし、ゴールシーンのようなチャンスの場面が生まれることを信じていました。あのシチュエーションだけではなく、ほかのシチュエーションでもフリーになれる場面がありました。とにかくゴール前に入っていくことを続けていけばゴールはできると思っていました。繰り返しトライしたことが実を結びました。相手のウイークポイントを突いて得点できて良かったです。

(決勝点のクロスボールの場面について)当然ディフェンスがクリアできるシチュエーションでしたが、なぜかあの瞬間だけはどこかミスをしそうな予感が働き、体が反応してうまくこぼれてきてくれたと思います。ラッキーと言えばラッキーですが、あのゴールはゴール前に入り続けた結果です。

押し込んだ中でもワイドはかなり起点を作れていました。もう少し効果的にボールを動かすことや、前のスペースに入り込む動きをできれば良かったのですが、前半は少しうまくいかなかったです。後半になると、相手は(運動量が)落ちてきたので、そこをうまく突けました。途中出場の選手もすごく活躍してくれましたし、彼らの活躍が実際にゴールにもつながりました。チームのみんなで勝ち取った勝利だと思います。

(守備のタスクについて)基本的にはSBにボールが出たときに僕が追い込みに行くことはウチのやり方でもあります。町田に関しては、最終ラインからのロングボールが徹底されているので、中盤は頭の上を越えて出てくるシチュエーションが多いです。特に前半はウチの左サイドの奥深くを突かれて決定的チャンスを作られてしまいました。相手をサイドに追い込んでボールの取りどころを定めていましたが、最初はうまくいきませんでした。でも次第に改善されたと思います。

町田さんはすごく縦にも横にもコンパクトな陣形を作ってくるチームなので、ウチはワイドにポジションを取っている選手がいるので、サイドにパスを出せる状況でした。ワイドを使っていく中で大きく崩れたときに隙ができるので、それをみんなで狙っていました。後半は特にその隙を突けていたと思います。

前半は縦に入れるボールは相手が先制していたことを含めて、かなり集中力高く守られていました。間で受けてもプレッシャーが厳しかったです。ただ後半は少しずつ空きました。その中でも前半は無失点でいきたかったけど、僕たちは後半に強いことも分かっていました。今日は結果的に試合巧者のように戦えたと思います。後半に町田の守備に綻びができたのも、前半からサイドチェンジをして、相手を走らせたことで起こり得たと思います。前半は無失点で進めながら、後半に仕留められれば良かったのですが、1失点はする可能性がある中でよく1失点で我慢して戦えました」

 

■MF 41 小池 純輝(愛媛)
クロスボールは狙ったとおりの形だった
「前半から外で見ていて、同サイドに寄ってくるので反対サイドが空いていることは分かっていました。その前のパスは安田選手が出してくれたのですが、『縦パスでも裏を取れそうだね』と話している中で、安田選手にボールが入ったときに抜け出してクロスを入れることができたので、狙っていたとおりの形で最後にゴールまでつなげることができました。

クロスはディフェンスが戻りながらの対応は難しいだろうからディフェンスが戻り切る前のタイミングに上げました。ちょっと事故のような形でゴールが決まりましたが、あのタイミングでクロスを上げたことが結果的に良かったと思います。外から見ていて自分が入ったときにはどうやろうかなということをイメージしていました。ベンチの中でも『こうしたほうが良いよね』という声が出ていたので、途中から出た選手の仕事が結果につながったことはチームのみんなの力だったと思います」

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