「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「失点の場面が勝負のアヤになった」+福岡・井原正巳監督、ウェリントン、松田力、三門雄大【監督・選手コメント/アビスパ福岡戦】

■明治安田生命J2リーグ第26節・8月5日(土)19:00キックオフ
町田市立陸上競技場/3,334人
FC町田ゼルビア 0-1 アビスパ福岡
【得点者】57分 ウェリントン

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「まずは今日もたくさんの方々に集まっていただいて、昨年J1で戦っていた福岡さんを相手に戦うというゲームを応援しに来ていただきました。まずは集まってくださった方々にありがとうございましたとお伝えたいしたいと思います。今日は福岡さんを相手にチャレンジするという戦いになると、選手たちにも話をして臨みましたが、試合の立ち上がりから福岡さんの武器と言っていいウェリントン選手の強さを生かす形を作られてしまい、その上でセカンドボールまで拾われる展開の中で、少し相手のパワーに飲み込まれてしまい、前半はだいぶ苦しい時間帯が長い展開になりました。

ただその中でも、髙原を中心に抑えるべき場面をよく守って、前半を失点ゼロで折り返してくれたことは良かったと思っています。前半はいくつかお互いに縦の長いボールを入れていく展開の中で、そのぶん間が空いてきて、間でボールを動かせる時間をなんとか作り出し、素早い攻めで少しチャンスを見い出せるような展開を作れたのかなと思います。

福岡さんからすれば前半に点を取り切りたかったという展開だったと思うので、その展開をわれわれが我慢できたことで、もう一回後半の頭から相手が押し込んで来るだろうという話をして選手たちを後半のピッチに送り出しました。ただ後半の最初にウチのほうに流れが来る中でチャンスを作れました。先ほども話しましたが、間でボールを受けて、ボールを進める形を作れたので、そういった展開の中でもう少し自分たちがもう一つ前へ行けたとしたら、今日のゲームの流れは大きく違ったのかなと思っています。

われわれが後半の最初に押し込んだ時間が過ぎた後に、また少し福岡さんが左右にボールを入れつつ、クサビを増やしながら攻めに出てこられたときに、ボールになかなかプレッシャーに行けなくなって、ちょっとこちらが下がらざるを得ない展開になりました。そしてセットプレーの展開が増えた中で、結局セットプレーの流れから失点につながってしまいました。あの時間帯を耐え切れれば、かなり前半からパワーを使っていた福岡さんだったので、われわれに大きなチャンスが来たかなと思うのですが、一つあの場面が勝負のアヤになったと思います。

ただ、本当に選手たちは最後まで、このホームゲームでなんとか追いつきたい、そして勝ち越したいという思いをあきらめずに最後の1分、1秒まで見せてくれたと思っていますし、戦ってくれたなと思います。本当にそれは誇りに思いますし、選手たちに感謝したいと思っています。ただこれを勝ちに持ち込むには、また僕も含めて、いや僕が一番力をつけなければいけないなと思います。

でも、決して頭を下げるような戦いではなかったと思っています。すぐに連戦が続いてきますので、しっかりと戦う準備をして、チームとして前に出られるようにしたいなと思っています。そしてそれを勝利、勝ち点につなげられるようにしたいなと思います」

ーー2点あります。ハーフタイムにセンターバックを金聖基選手から増田繁人選手に交代した意図と、鈴木孝司選手がアキレス腱の断裂から復帰されましたが、監督の中でどのタイミングで今回のベンチに入れようと思ったのか。また彼のここまでの道のりについて、思うところがあれば聞かせてください。
「ハーフタイムの交代については、聖基が前半の終了間際に警告をもらってしまったことも当然関係していますが、やはりウェリントンのところと、またそこに限らず最初に入ってくるボールをどれほど抑えられるかということが、今日の戦いでは非常に重要になりましたし、そこで重心を下げないということが重要になると思っていました。そうなると、警告を受けてしまったことで、どうしてもアプローチに行きづらくなってしまうと思います。また前半も正直物足りなさもありましたし、少し重心が下がってしまうと感じていたので、そこを改善したいということと、実際に警告を受けては難しいのでマグ(増田繁人)に託して後半をスタートすることにしました。

もう一つ、孝司についてですが、1カ月とちょっとボールを使ってのトレーニングに合流し、途中で抜けたりしながらではありましたが、徐々に彼のボールを収める力やゴール前で一つ変化をつけたりといったことが徐々にできてきました。ただ、点を決めるということに関しては、まだ足りない部分はあるかなと思っていたのですが、いまのチームの中で彼の持っているものが必ず生きるという確信が今週は持てましたので、彼にベンチに入ってもらいました。

当然まだ本人の中でも100パーセントではないと思いますし、今回は途中で一回(再断裂をしたことで)リハビリがやり直しになるということなど、回復の過程ではそういうこともありましたので、本人としては相当つらかったと思います。ただその中でも彼は前を向いてリハビリをずっと続けてきてくれましたし、当然彼に話を聞いても、あの顔を見ると決して今日の出来では満足はしていないんじゃないかなと思います。ただやはりこの段階ではけがもなく試合が終わっていると思いますので、そういうことを考えると、大きな一歩を踏み出せたのかなと思います。また次に向けての準備をしてくれたらなと思います」

 

■井原 正巳監督(福岡)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「町田さんとはホームゲームのときに悔しい負け方をした中で、今日はそのリベンジをしようとゲームに入りました。立ち上がりから良い形でゲームには入れたと思いますし、チャンスも多く作れたと思います。前半はゴールを割ることはできませんでしたが、後半は良い形でゴールが生まれるなど、最後まで全員が戦う姿勢を持って、集中力を保ってなんとか1-0で逃げ切ることができました。この勝ちをしっかりとまた次につなげて、また次はアウェイでの京都戦がありますので、それに向かってしっかりと準備をしていきたいと思います」

ーー相手があることなので一概には言えませんが、前節の山形戦や前回対戦での町田戦など、試合の終わらせ方が課題だと思います。今日はかなり押し込まれましたが、試合の終わらせ方という点では監督はどのように見ていらっしゃいますか?
「そこはまだまだ課題かなと思っています。いかに良い形で押し込んでマイボールを相手陣内で回すことや、しっかりとコーナー付近で時間を使いながら、攻撃を良い形で終わらせるような時間帯をもう少し増やしていかないといけないと思います。相手の攻撃を受けてしまってボールになかなか行けずにラインが下がってしまったことが反省点ではあると思います。新しいメンバーが何人か加わっている中で、そのあたりの意思統一はもう少し深めていきたいと思います。ただ最後のところで集中力をしっかり保ち、体を張って、無失点という結果を残しているわけですから、全員の気持ちや体を張った守備といったことは続けつつ、改善できる部分は改善していきたいと思います」

ーー今日はサイドチェンジが効果的だったと思うのですが、実際にゲームとしてはいかがでしたか?
「今週1週間、サイドチェンジの練習はずっとチームとしても意識をさせてやってきました。町田さんはボールサイドの守備が固いチームですし、ボールサイドに人数をかけてくるので、そこをしっかりとかいくぐるために、そういう狙いを持って今日のゲームに入りました。その中で選手がしっかりとやるべきことを意識して、前半は何度も良い形の、そして効果的なボールを入れてくれました。最後のフィニッシュの場面でなかなかゴールは決められませんでしたが、かなりトレーニングの成果は出ていたのではないかと思っています」

ーー自陣で奪ったボールを低い位置でもつないでというシーンが多かったと思うのですが、相手のプレスをかいくぐるシーンもあった一方で、少し自分たちで苦しくしてしまうような状況もあったと思います。そのあたり井原監督の目指すところを踏まえて、どのようにご覧になっていますか?
「今日の町田さんは本当にシンプルにボールを入れてきたので、そういう意味ではそのセカンドボール争いになるということは特に選手たちには意識させていました。その奪ったボールをつなげるときと、われわれがしっかりと押し込んでボールを前に運んでいけるときの判断をより高めていくことが大事だと思います。危ないシーンを作られたことやボールを奪い返されるなど、前からのプレスに引っかかってしまったときが何度かあったので、そのあたりは次の課題としていきたいと思います。奪ったときの周りの選手の準備、サポートの質をより高めて、特に前線の選手も動き出してあげなければいけないと思います。そのあたりを少し改善していければと思っています」

 

■FW 17 ウェリントン(福岡)
得点王よりもチームの勝利が第一
「湘南さんに付いていくという意味では本当に重要な勝利だったと思います。(ゴールシーンは)普段はもっと強いシュートを打つタイプの選手なのですが、リキ(松田力)が良い形でボールを落としてくれたので、慎重に練習をしていた形でゴールを決めることができました。しっかりとコースを狙うことができていたと思います。

(相手を交代に追い込んだことは持ち味を発揮できた証拠なのでは?)恐らく警告を受けていたので、そのまま後半も戦えれば2枚の警告につながっていた可能性があったので、そのための選手交代だったと思います。逆に相手が僕を警戒すれば警戒するほど、チームメートがフリーになれますし、スペースもできます。チームのために役割を果たそうと常に思っています。

(ホームでの試合では町田に悔しい負け方をしていたので、リベンジしたいという気持ちも強かったのでは?)そのときの試合は僕が途中交代して、相手に決められてしまう試合でした。個人的には得点王を狙っていきたいので、イバ選手に追い付きたい、追い抜きたいという気持ちはあります。でもそれよりもチームの勝利が第一なので、僕よりも良い位置に選手がいるならば、その選手にパスを出すことを心がけています。チームの目標があるので、そこにはこだわっていきたいです。

(いまはゴール前に人数をかけた攻撃ができている印象です)以前は長いボールを入れる単調な形でしたが、いまでは3人目、4人目が絡んだ攻撃をできていると思います。対戦相手は警戒していてもやりにくい部分はあると思います。(システムを[4-4-2]にしたことでの攻撃の変化は?)個人的にありがたいなと思っていることは、攻撃をするときに近くに多くの選手がいることが多いです。ボールが収まったときにみんなが顔を出してくれるのでやりやすさを感じています。

(後半に押し込まれる時間が長くなりました)勝っているときの試合の終わらせ方は課題ですよね。もっと相手の陣地でサッカーをする時間を増やさないといけません。そこで時間を消費できるパス回しをできると良いですし、チームとしてももっと改善できることだと思います」

 

■FW 8 松田 力(福岡)
パスの瞬間のことは覚えていない
「自分のところにボールが来て、ウェリントンも見えたのでパスを出しました。その瞬間、町田の選手たちの足が全員止まっていたと思います。ウェリがゴールを決めてくれて良かったです。その瞬間のことは覚えていないです。ゴールを喜んだら忘れてしまいました(笑)。4バックにして攻撃の厚みも出てきました。相手はSBがすごく絞っていたので、逆サイドが空いていましたし、逆サイドに展開する形を作ろうという話はみんなでしていました。次の京都にも勝って上に食い付いていきたいと思います」

 

■MF 7 三門 雄大(福岡)
試合巧者の試合運びをもっとやらないと
「少しアバウトでも良いから、サイドチェンジを入れていこうと考えていたので、そこでチャンスができていました。前半から決められれば良かったですが、ウェリがよく決めてくれました。2点目を取りに行ければもっと楽な展開にできました。その1点を守り切るような形を作るならば、テル(仲川)のスピードを生かして、前線もギャップを作るような動きをして攻める形をもう少し作れると、よりピンチの場面も減ってくると思います。

ボールを一度下げると、前線の選手が裏を狙うので、その間が空いてしまい、その中でミスが出て来ると、セカンドボールを相手に拾われて前向きにプレーされる回数が増えてしまいます。その中で失点をしてしまうと、勝利を手放すことになってしまうけど、今日は1-0で勝ち切れたことは大きかったと思います。

課題を挙げるならば、試合巧者の試合運びをもっとやらないといけません。J2で優勝してJ1に上がることは一つの目標ですが、それよりもJ1で戦うためにどうするかということもあるので、慌てずにもっとやっていかないと上では難しいのかなという課題をあえて挙げました。

相手のシュートミスもありましたが、1点を取って勝ち切れていることはウチの良さでもあると思います。それができているからこそ、もう一段上に行くためにも追加点を奪って勝ち切れるような試合にしていきたいです。相手が背後を嫌がっていれば背後を突けばいいし、もっと背後を突きたいならば、足元にボールをつけてミドルシュートを打って、より背後を突ける形を作れるようにするとか、もっと相手が嫌がっていることをみんなで理解しながらそこを突いていけるようにしたいです。任せたテル、任せたウェリという展開が多かったので、そうなると彼らが出られないとどうなるのという話になってしまいます。この選手が出たらこういうサッカーをしようと、臨機応変に戦えるようなチームになりたいなと思います」

 

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