「ゼルビアTimes」郡司聡

【★無料公開】相馬直樹監督「勝利を手繰り寄せてくれた選手たちの頑張りと粘り強い姿勢に感謝したい」+熊本・池谷友良監督、巻誠一郎【監督・選手コメント/ロアッソ熊本戦】(3,819文字)

■明治安田生命J2リーグ第31節・9月2日(土)19:00キックオフ
えがお健康スタジアム/3,944人
ロアッソ熊本 0-1 FC町田ゼルビア
【得点者】町田/8分 戸島章

 

■池谷 友良監督(熊本)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「最終的には0-1という結果でしたが、ここ5試合で得点を取れていないので、チームの中に重い雰囲気がありました。予想していた展開ではあったのですが、難しいゲームとなりましたし、いまの状況では1点がビハインドとしては重い。そういうゲームだったと思います。攻撃の最後、3分の1のエリアに入っていったときの冷静さや余裕がなかったと思います。

とにかく厳しい状況は変わらないので、残り11試合、最後までそう簡単にはいかないと思うので、こういう状況をみんなで共有していきたいと思います。点が取れないという状況で、攻撃というテーマにシフトするのかどうかという課題があると思いますが、良くなってきたのはむしろ守備のほうですし、少ない失点でしのぐという試合展開にはできてきています。この1週間、確かに攻撃も大事ですが、もう一度守備の部分で湧き出てくるようなパワーを呼び起こしていきたいと思います」

ーー山口が勝利し、降格圏と勝ち点差3まで縮まりました。今まで以上に危機感が募る中で、監督として選手の雰囲気や心情をどのようにお感じでしょうか?
「自分が監督をやり始めたころから状況は変わっていないと思います。こういう状況の中で戦っていくという決意を当然持ってやっているので、降格圏に近づいたからうんぬんとは思っていません。

残り11試合、最後までこの状況と付き合っていくというドッシリとした覚悟がチームとして大事だと思いますし、選手にもいま、そのような話をしました。良いことだけを考えて、一つ二つ勝てば抜けられるということではなく、最後まで厳しい状況の中で11試合を戦っていくという覚悟を持って、逆にそういう部分を楽しんでいけるような雰囲気を作らなければいけないと思っています。下を向き始めたらロクなことがないので、しっかり前を向いて、最後の11試合を戦い抜くということが一番大切だと思います」

ーー今日のフォーメーションの狙いを聞かせてください。
「途中で2トップにしたのですが、最後は前を3枚にして[3-4-3]にしました。前線は2枚、3枚と動く中で、サイドの主導権を取るなど、良い流れがあったので、なかなか変えていくことが難しく、どっちつかずで明確ではない展開になりました。サイドの主導権を握ったり、攻めに出られる部分もあったので、クロスボールがあるなら巻を前線に置いて最後の一発に期待していたので、そのあたりで少し交代を悩みました」

ーー田中達也選手が最初に交代で入り、その後にグスタボ選手を投入しました。交代の順番の狙いをお聞かせください。
「達也の良さである個人での突破を生かしてサイドを攻略したいという狙いがありました。良いサイドチェンジができれば良かったのですが、なかなかそういう形が出ませんでした。ウチの左サイド、向こうの右サイドで圧力をかけられていたので、カタ(片山)かコウヘイ(黒木)か。交代させる選手の選択で悩みましたが、守備の部分でコウヘイ(黒木)を相手の右サイドの圧力に当てて、ウチは右サイドで攻略したいという意図があり、達也を最初に入れました。

グスタボについては、今日のゲームのように落ち着かずにボールがずっと弾んでいて、ガチャガチャしている展開では、戦術うんぬんではなく何かが起きる、理詰めで動かないと考えていました。もうちょっと早く入れても良かったかなと思っています」

ーー警戒していたクロスボールからの失点についてはどのようにお考えでしょうか?
「そのようにスカウティングをしていました。前半はボールにアプローチがかからなくて、相手に背後を狙われてしまい、ラインが上がりませんでした。最終ライン3枚の前で相手にボールを受けられてしまう場面が多かったと思います。後半は後ろが怖いけれども前に出ようという指示をしたのですが、前半のうちに前で触られてからの失点が響いてしまいました。警戒していた流れの中で点を入れられたので、そこは修正していかなければいけない部分だと思います」

 

■FW 36 巻 誠一郎(熊本)
相手の陣地でプレーすることを優先させた
「なかなかチームが勝てない状況ですので、自分が良いプレーをするというよりはチームを勝利に導くプレーをして、味方の良さを引き出すことが僕自身は求められています。そういうことが僕の仕事だと思っています。勝ち点を取れずに僕のせいかなと個人的には思います。チームが点を取りに行く中でエネルギーが足りていませんし、最後に点を取るためのパワーが欲しかったので、そこで力になりたいと思っていました。また今日の相手は前からのプレッシャーが早いチームですし、どうしてもロングボールが多く、セカンドボールワークが重要な試合になるということで僕が先発で起用されたのかなと感じていました。

こちらに流れが来たときにゴールを奪えず勝ち点を取れなかったことが残念です。ただ結果を悲観せずに、日々のトレーニングからポジティブに力強くやっていければと思っています。まずはチームとして同じ方向を向いて、同じビジョンを持ってサッカーをやることが大事です。それぞれの選手たちの良さ、個性を引き出し合えるようなチームになっていくことが必要だと思います。僕たちは厳しい状況に陥っていますが、それを打開できるのは自分たち次第ですし、応援してくれるサポーターの力でもあります。サポーターも含めてチーム一丸で戦い、1試合1試合で100%のエネルギーを発揮できるように戦っていきたいです。

八久保(颯)の良さは間で受けて、前にスルスルと抜けていく形なので、そういう仕事を引き出していけるようにしていきたいです。ここ最近は守備の時間が長いですし、なぜそうなるのかなと考えると、攻撃の時間が短いです。前でタメを作ることや相手のパワーを逃すような局面を作れていないことが影響していると個人的には思っています。

相手が付きにくいポジションを取って、相手のパワーを削いでこちらが前向きなパワーを発揮できるように戦えることを意識しながら、自分たちが押し込む時間を作れればなと思いながらプレーしていました。自分でゴールを取ることも大事ですが、僕が考えるべきことは常にチームが勝つにはどうしたら良いかということです。相手陣地でプレーすることも大事ですし、守備でスイッチを入れることも重要だと考えています。

ある程度そういう時間帯も作れましたが、失点の時間帯も良くなかったです。ホームで戦っているわけですから、先に点を取られました。でも逆転できませんでした。それではこの先も厳しいと思っています。自分たちにフォーカスしながらもっと戦っていかないといけないと思います。

セカンドボールの拾い合いの試合になることは試合の分析を通じても分かっていたことなので、相手との良さの消し合いになるなと思っていました。もっとつないだり、後ろからビルドアップできれば良かったですが、今日は割り切って戦っている部分がありました。相手の陣地でプレーすることを優先させました」

 

■相馬 直樹監督(町田)
ーーまずは試合の総括をお願いします。
「まずはわれわれの立場からすれば非常に遠い東京から、多くのファン・サポーターの方々が一緒に戦いに来てくださいました。まず初めに感謝を伝えたいと思いますし、一緒に勝利を喜べてうれしく思っています。

ゲームのほうですが、試合全体を通して、熊本さんが選手の配置を含めて、非常にやり方を徹底してきた中で苦しい時間帯が長かったのですが、粘り強く選手たちが戦ってくれました。攻撃の面では最終的に1点しか取れませんでしたが、その後もいくつかチャンスを作りながらゲームを進めることができました。理想としては我慢強く戦う中で2点目、3点目を取れる展開にできれば良かったのですが、最終的には1-0というスコアでした。選手たちにとっては心理的にも苦しい展開となりましたが、そこを粘り強く戦い、ここ最近はなかなか勝てない中でも、そこでもう一つ踏ん張って自分たちに勝利を手繰り寄せてくれた選手たちの頑張りと粘り強い姿勢に感謝したいと思います。

最近は少々勝利がない試合が続きましたが、ここ熊本で勝ち点3を積み上げることができました。われわれの非常に良い部分である泥臭い部分を表現するようなサッカーにはなりましたが、この結果を自信にして、それを強みにできるように今後もやっていきたいと思っています」

ーー谷澤選手がボランチに入ったことは一つのトピックでしたが、どのようなプレーを期待したのでしょうか? また、実際にプレーは監督にはどう見えましたか?
「前半の立ち上がりは、頭上を越えるボールがどちらも多いという展開の中で、なかなか彼の良さを出せていなかったと思います。先週末のトレーニングマッチの大宮戦にボランチでプレーしてもらったのですが、非常に内容が良かったので、今日は彼に頑張ってもらうという決断をしました。その中で彼の良さをなかなか出せない展開ではありましたが、後半になってからはボールを収めて時間を作ることや球際に強い部分を発揮しながら、今日の勝利に非常に貢献してくれたと思います」

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