松本雷鳥通信

【雷鳥報道・アンダー】“総合力”で神戸U-18に勝利! 快進撃はまだ続く。-2016Jユースカップ準々決勝レポート-

■2016Jユースカップ 準々決勝
11月5日(土)松本U-18 2(5PK4)2 神戸U-18(14:30KICK OFF/南長野/1,433人)
得点者:22’賜正憲(松本)54’高井悠登(松本)86’上田駿斗(神戸)88’野田樹(神戸)
—————-

全国4強が決まった瞬間、喜びを爆発させる松本U-18の選手たち

全国4強が決まった瞬間、喜びを爆発させる松本U-18の選手たち

今日のMOM=賜正憲

11月5日、南長野運動公園総合球技場にて、2016Jユースカップ準々決勝「松本山雅U-18対ヴィッセル神戸U-18」が行われた。
ここまで新潟U-18、横浜FMユースと格上の相手を打ち破り、全国8強へと駒を進めてきた松本U-18。ホームのアルウィンではないが、南長野は「近距離」。1400人超のファン、サポーターが応援に駆けつけ、ゴール裏からはトップチーム公式戦のようなチャントがピッチ上の選手たちに送られていた。神戸U-18は強豪であり、トップチームへ3選手を輩出することが発表されたばかり。名前だけならば絶対不利の状況。それでも大声援を力に変えて、ベスト4進出を目指す。

※松本U-18のスターティングメンバー 3-4-2-1

2回戦、3回戦と同じ先発メンバーの松本U-18は、やはり同じ3-4-2-1のフォーメーション。一方の神戸U-18はウイングを配置した4-3-3を採用しており、安井拓也の裏への飛び出しや野田樹の中盤でのゲームメイクなど、トップ昇格選手の個人能力を最大限に生かす形だ。
試合前に配られたメンバー表を見ると、180センチ超のフィールドプレーヤーが松本U-18は小松蓮だけなのに対し、神戸U-18は5名。クロスやセットプレー時の空中戦では後手に回ることは明らか。しかしキックオフ直後から集中を切らさず、粘り強い守備を披露。ボール保持力に勝る神戸U-18に押し込まれる時間は続いたが、要素を抑えることでシュートまで持ち込ませない。一方で攻撃面では河地迅也と細田凌平の両サイドの縦への突破や、アーリークロスで小松の得点能力を生かした攻めで先制点を狙う。

22分、FKのチャンス。賜正憲の右足がゴールネットを揺らす

22分、FKのチャンス。賜正憲の右足がゴールネットを揺らす

まずゲームが動いたのは22分。相手陣内での混戦の中、神戸DFがハンド。松本U-18がFKのチャンスを得ると、これをキッカーの賜正憲が神戸ゴールに突き刺す。「あの位置からのFKは練習していた。あまり飛ばないコースだったけど、今日はうまく落ちてくれました」と神戸U-18の築いた壁の頭を通り越えてから落ちるFKで先制。1点リードで迎えた54分には、浅い位置からのFKを小松が頭で落とすと、詰めていた丸山航平がシュート。一度は跳ね返されたものの、ルーズボールを高井悠登が再びシュート。今度こそゴールネットを揺らし、これでリードは2点へと広がる。

54分には高井悠登が追加点を決め、松本ベンチへと猛ダッシュ

54分には高井悠登が追加点を決め、松本ベンチへと猛ダッシュ

理想的な展開で終盤を迎えるが、まだドラマが待っていた。ここまでは連動した守備で神戸U-18の攻撃をゼロに抑えてきたものの、試合終了間際の86分に失点を許すと、その2分後には同点弾を喫してしまう。いずれもヘディングシュートで、得点者の上田駿斗と野田はいずれも180センチオーバー。この2失点について、試合後に臼井弘貴監督は「セットプレーなどで背の高さのミスマッチがあったので、対策をどうしようかと考えていた。(選手交代などで)修正しようかと思ったが、実際まだ走れていた」と振り返る。ここは神戸U-18の個人能力の高さ、また選手層の厚さを見せつけられた格好だ。あるいはプレミアリーグで戦うチームの“誇り”が、土壇場で同点に追いつかせたと言える。
2-2のまま、10分ハーフの延長戦に突入。主導権は地力に勝る神戸U-18に渡っていた。しかし多くのサポーターの声援を力に変え、崩壊することなく延長戦を戦い抜いた松本U-18。110分間の激闘の末、勝敗はPK戦に委ねられた。

PK戦にて“仁王立ち”の古瀬圭佑。神戸U-18の2本目をストップ

PK戦にて“仁王立ち”の古瀬圭佑。神戸U-18の2本目をストップ

このPK戦で古瀬圭佑が魅せた。スタジアムに集まった全員の視線が注がれる中、神戸U-18の2人目に対して、右へのジャンプを選択。同方向に飛んできたシュートを左手で弾きかえし、渾身のガッツポーズ。このビッグセーブについて「あまり覚えていないです(笑)」と笑顔を浮かべる守護神の活躍で優位に立った松本U-18は、1人目の小松から4人目の土屋和紀まで全員が成功させる。そして5人目の丸山航平のシュートがゴールネットに突き刺さった瞬間、ベスト4進出が決定。一目散に駆け出して皆で喜びを分かち合う勝者と、呆然とその場に立ち尽くす敗者。すっかり薄暗くなった南長野のピッチ上で、残酷なコントラストが描かれていた。

「自分たちが今まで積み重ねてきたもの。走るところや1対1で負けない気持ちは、最後の笛が鳴るまで出せたと思う」とキャプテンとしてチームを鼓舞した賜が総括したが、その言葉どおりの試合。前線からの連動した守備で粘り強く対峙し、最後の最後まで破綻を起こさなかった。確かに連続失点は課題だが、突出したタレントの不在を総合力でカバーした勝利だった。
そして、この快進撃はチームが積み重ねてきた歴史と重なる。臼井監督が「これまでチームに携わってくれた人達のお蔭」と感謝の弁を述べたが、荒涼たる大地に鍬を入れ、種を蒔いてきた先駆者の努力には触れなければなるまい。環境を整えてきたクラブや行政含めて、関係者全ての力が結実したと言える。
(取材・多岐太宿)

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ