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【トピック】久留創成館と井筒佐世保実。新たに加わるV・ファーレンOB対決~2016長崎県高校総体1回戦 創成館高校 対 佐世保実業~

先日行われた高校総体長崎県大会の1回戦で、昔からのV・ファーレン長崎サポーター注目の「創成館高校 対 佐世保実業高校」が行われた。

創成館は2006年から2010年までV・ファーレンでプレーし、「たー」の愛称で親しまれた久留貴昭が2011年から監督を務める県内屈指の強豪チーム。佐世保実業は、2009~2011年までV・ファーレン長崎に所属し、その後はツエーゲン金沢で2年プレーをした井筒和之が今年の3月からサッカー部監督に就任。共にプレーしたこともあるV・ファーレン長崎OB対決である。

創成館高校を率いるのは久留貴昭監督

創成館高校を率いるのは久留貴昭監督

井筒和之監督率いる佐世保実業

井筒和之監督率いる佐世保実業

実績、戦力、経験を含めて「佐世保実業」が「創成館」に挑んだこの試合は、周囲の予想を超えて良いゲームとなった。理由としては、佐世保実業の選手たちが、予想以上に技術があり、チームとしてもまとまっていたことが挙げられる。佐世保実業が位置する県北部は、県内ではサッカー強豪地区とは言えないが、他地区で強豪と呼ばれる子たちにも劣らないものを感じさせた。事実、先に決定機をつかんだのも佐世保実業だったし、その決定機を決めていれば、創成館の焦りを引き出せたかもしれない。

一方の創成館は1年生も多く、現時点では昨年の選手権県予選決勝へ進出したチームより力は劣る。これは弱くなったという意味ではない。昨年に県制覇あと一歩までいったことで創成館は、全国に出た場合にどう戦うかと本気で考える段階に来ており、そのためのレベルアップを狙う時期に入っている。そのせいか、この試合でもどこか佐世保実業を受けて立つという感じがあった。

事実、試合は創成館が佐世保実業に3-0と快勝で終わった。だが、佐世保実業の見せたサッカーは、周囲を驚かせるには十分だったと思う。事実、スタンドからも「佐世保実業、強くない?強いよね?」という声があがっていた。

試合後、佐世保実業の井筒監督は「2失点目が全て。あそこでちゃんと決めるのはさすがだなと。やっぱ、たーさんが作ってきたチームだと思います。ただ、ウチの子たちももっとできるはずなんですよ。でも、それが出しきれない。そこが経験なのか・・とも思います。悔しいですね。もっと普段やっているサッカーを出させてあげたかった。また練習してきます」
そう、心底悔しそうに、苦しそうに、そしてどこか楽しそうな顔で語っていた。

一方、創成館の久留監督は、佐世保実業に対して「足元もあるし、高さのある選手もいる。順調にやっていければ、間違いなく強くなると思いますよ」と賛辞を送ったあと、「大会の初戦は本当に難しい。だから、苦戦するとは分かっていたんですよ」と試合内容への反省を口にした。そこには、経験者2名のみで11名しかいなかったサッカー部を5年で県屈指に育て上げた自信や経験が感じられた。

県内高校サッカーでの、次の大きな大会は冬の選手権。そこで創成館、佐世保実業がどんなチームに育っているかを確認したい。その時がまた楽しみだ。


reported by 藤原裕久

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