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【クラブレポート】V・ファーレン長崎U-24(仮称)設立!


7月16日に行われた記者会見で、V・ファーレン長崎は、長崎県内の大学に在学する学生によって構成される「V・ファーレン長崎U-24(仮称)」(以下、V・V長崎U-24)の設立を発表した。

会見によるとV・V長崎U-24は、「来春、高校卒業見込みで、長崎県内の大学へ進学を予定する学生」及び「来年度、大学2~4年生(中途退学者も含む)」のいずれかに該当する2017年3月末時点で24歳未満の学生を7月16日より募集を開始。書類選考による1次選考、練習会による2次選考、面接による3次選考を経て20名程度の入団を予定。チームはアマチュアチームとしての位置付けでJFL参入を目指して活動する。

創設の狙いとしてV・ファーレン長崎の服部順一GMは「県内人口減少への取り組みに対するクラブとしてのアプローチ」「県内教育機関との連携」「2ndチームを持てない地方クラブとしてのセカンドチーム」「V・ファーレン長崎U-18の受け皿」「国体への協力」といった理由をあげて、現時点のプランはあくまでベースプランであり、来年の発足までに様々な意見を集約していくことを強調した。

会見後の取材によると、現時点のV・V長崎U-24は監督、コーチ、GKコーチの3名のスタッフを予定しており、クラブ内からの抜擢以外に、提携を進めている欧州クラブのコーチ就任も含めた幅広い人選を行う予定。また、発足後は長崎県リーグ3部からのスタートを予定しており、カテゴリの飛び級など優遇措置は受けない方針という。


セカンドチームの保有は選手確保というメリットの反面、経費の負担も大きく、過去には、多くのJクラブが保有したセカンドチームを廃止している。今年に入ってからもJFLに所属するファジアーノ岡山がネクストの来季廃止を決定。この部分について、服部順一GMは「所属選手を学生とすることで、人件費負担の軽減に加えて、「選手の仕事先とサッカーとの兼ね合い」という大きな壁がなくなることは大きい」と他のセカンドチームとの違いを強調し、「学生にとっても、Jクラブの身近でトレーニングを行いながら、大卒の学歴を得られるメリットがある」と続ける。

確かにV・V長崎U-24が上手く機能すれば、クラブ、地域、学生にとってメリットは大きいだろう。全国的なサッカーの強豪大学がない長崎県において、即戦力であり、将来性も期待できる大卒選手の確保はクラブ発足以来の懸念であったが、これを解決する糸口となる可能性もあるだろう。県外から長崎へ来る学生もでるはずだ。だが、飛び級などの優遇措置がない中では、Jリーグクラブのセカンドチームとはいえ、公式戦で11人の選手が揃わないこともある社会人下部リーグで戦うことに魅力を感じない選手もいるだろう。また、県社会人リーグの場合、リーグ戦は年間10試合。長崎県選手権や全国クラブチーム選手権を入れても年間20試合に満たないという公式戦の少なさもある。トップチームとのレベル差、県内の社会人プレーヤーとの草の根レベルでの細かいすり合わせも必要だろうし、決して簡単に話が進むようなものではなく、これから取り組むべき課題は多い。

ただ、「単位の取得など、学生としての本分をちゃんとクリアできなければ、U-24でプレーできる資格はない」と服部GMが語るとおり、V・V長崎U-24は単なるセカンドチームとして以上に、教育との連携という面の役割を担っている点は単なるセカンドチームとは大きく違う特徴であり、上手くいけば大きなストロングになる可能性がある。Jクラブと教育機関による地域への協働事業という点でも意義は大きい。デメリットも抱えているが、大きな可能性をもったプロジェクトとも言えるだろう。

今後、V・V長崎U-24がどのような展開を見せるのか注目したい。

reported by 藤原裕久

<V.V.NAGASAKIスポーツクラブ>「V・ファーレン長崎U-24(仮称)」設立及び選手募集のお知らせ

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