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【レビュー】J2第14節千葉3-2岐阜@フクアリ-「ジキルとハイドの試合」(文・西部謙司)

明治安田生命J2リーグ 第14節
ジェフユナイテッド市原・千葉 3-2 FC岐阜
http://www.jefunited.co.jp/top/matches/2016/0522/result/

●ジキルとハイドの試合
1996年のユーロの時に、解説をしていたルート フリットが言っていたんですよ。

「ジキルとハイドのような試合をした」

前半と後半でプレーぶりが一変したことを評したものですが、うまいこと言うなあと思いました。この試合の千葉もそんな感じでしたね。前半は素晴らしかった。攻守ともに圧倒していてスコアも2-0。

「後半のアタマに3点目を入れられたら10対0だったかもしれない」(FC岐阜、ラモス瑠偉監督)

10点はオーバーとしても、一方的になっていた可能性はあります。ところが、後半は全然ゲームの様相が違っていた。後半だけなら1-2ですからね。一度もリードは許していないとはいえ、それなりに危うい感じはありました。最後は5バックにして辛くも逃げ切り。

●キレッキレの前半
千葉は前節のメンバーと同じ。エウトンの1トップに2列目が井出遥也、町田也真人、船山貴之。ボランチは山本真希、長澤和輝のコンビ。GKと4バックは不動です。

千葉 先発フォーメーション

エウトン
船山貴之 町田也真人 井出遥也
長澤和輝 山本真希
阿部翔平 近藤直也 イジュヨン 多々良敦斗
佐藤優也

5分、長澤のパスで船山が抜け出し左からクロス、エウトンがGKの前に入ってヘディングでゴール。出だしはバッチリです。さらに10分には、町田からエウトンへつないで右でフリーになった井出へ。井出はキックフェイントでDFを滑らせてからGKとの一対一を冷静に決めて2-0。

2ゴールともキレキレでした。俊敏な2列目とエウトンの高さが組み合わさって、この日の空のように爽快な攻撃でした。

ロングボールの使い方が2種類ありましたね。ニアゾーンへの走り込みは2列目が担当。エウトンはあまり斜めのランは得意ではないですから。そのかわり、中央でどっしり構えていて、エウトンの頭上に蹴るという別のルートが使えます。町田がよくセカンドボールを拾っていました。

「エウトンとは、すごくやりやすい。いいところに落としてくれるので拾うのが僕の仕事」(町田)

「(町田)也真人はとても頭のいい選手。自分のプレースタイルをよく理解してくれている」(エウトン)

11分に岐阜が最初のチャンス。田中達也が阿部翔平の裏に走り込んでロングボールをペナルティエリア内で受けます。千葉は何とか防ぎましたが、ちょっと嫌な予感のするピンチでした。この後も何度かあるのですが、阿部の背後を狙われているフシがありました。ただ、船山がサポートについて大きくは崩れず。

「自分のサイドからやられたくなので」(船山)

と、素っ気なく応えていましたが、勘所をおさえた守備は効いていました。

長澤から縦1本のカウンターあり、町田の「間」へ入っての展開あり、CKからのイジュヨンの際どいヘディングシュートありと、いい感じでハーフタイムを迎えました。

●岐阜のロングボールに苦しむ
後半から岐阜はFWを交代。鈴木ブルーノに代えて瀧谷亮が入ります。

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