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【無料記事】【2016年総括】明治安田生命J2リーグ 第1節~第14節(文・西部謙司)

#jefunited #ジェフ千葉 #JLEAGUE #Jリーグ

●2冠に終わる
2016年の明治安田生命J2リーグ戦は11位でした。結局、2冠に終わりましたね。え、何のタイトルかって? 明治安田生命Jリーグチャンピオンシップを制することになる鹿島アントラーズを破ってのニューイヤーカップ優勝、そして世界三大カップである「ちばぎんカップ」ですよ……。えーまあ、現実逃避してもなんですので、さくさくと今季を振り返っておきましょう。

大幅に選手を入れ替えた2016年キャンプ、関塚隆監督はことのほか機嫌が良かったのを覚えています。手応えがあったのでしょう。鹿島に勝ってニューイヤーカップ優勝、さらに「ちばぎんカップ」でも柏レイソルに快勝。おっ、これは案外いいかもしれないと思わせてくれました。

早くも2冠達成!

キャンプ段階でのプレースタイルはオーソドックスな「4-4-2」。ブロックを作ってのハーフウェーラインぐらいからの待ち受け守備、奪ったらハーフカウンターという感じです。前年のハイプレスは取りあえず封印。バラバラに前から奪いに行っても、パウリーニョがかわされるとカウンターを受けるだけでしたからね。

【2015年総括】明治安田生命J2リーグ 第1節~第14節
https://www1.targma.jp/nishibemag/2015/12/06/post3853/
【2015年総括】明治安田生命J2リーグ 第15節~第28節
https://www1.targma.jp/nishibemag/2015/12/10/post3856/
【2015年総括】明治安田生命J2リーグ 第29節~第42節
https://www1.targma.jp/nishibemag/2015/12/19/post3859/

開幕前の仕上がりは良かった。ただ、キャンプ時に調子がいいというのは要注意な面もあります。だいたいどのチームもキャンプの時期はみっちり練習するので、体力的にヘトヘトなんですわ。千葉がそこまで追い込んでいないのか、それともヘトヘトなのに調子がいいのかはよく分かりませんでしたが。

●ビルドアップができない
今回は第1節~第14節までの振り返りです。

問題点はある意味開幕戦から出ていました。ビルドアップができない。プレシーズンでは相手にがっつり引かれる状況ではなかったので表面化していなかったのですが。

J2の戦い方は大きく2つに分かれます。1つは、ボールを支配しようとするチーム。もう1つは、ロングボールを使っておいて前からプレスしてくるチームです。後者の方は、それで90分間は到底やれないので、プレスできない時間は後方に引いてカウンターを狙うやり方になります。

J2の場合、ロングボール+前方プレスの戦法はかなり効果的です。というのも、プレスをかわせないチームが多いから。J1の上位チームはそれができるけれども、J2はプレスを外せないチームがほとんど。というわけで、毎年プレスの威力で昇格するチームがある一方、そのほとんどがJ1に定着できない現状もあるわけです。

昨季、千葉もJ2仕様のロングボール+前プレスで序盤に上位にいたのは記憶に新しいところです。ただ、勢いだけでプレスしていたのと、外された場合の対応ができていなかったので、相手に分析されるとかえってカウンターをもろに受けることになりました。

で、千葉もご多分に漏れずプレスを外せません。技術的な問題もありますが、前からハメにいってハマらない裏返しとして、ハメられると外せないわけです。簡単にいうと、前線からのプレスのロジックがなかったので、逆にプレスを外すロジックもないわけで。

ただ、これはどのみち長くても60分以上は相手もプレスできませんから、それまではノーリスクで蹴り合っておけばいいという考え方はあります。しかし、それではどうしても攻め込み不足になってしまうんですね。カウンターのチャンスを逃している、といえばいいでしょうか。ボールを奪っても最初のパスがつながらなさすぎた。1本目でミスしているケースがシーズン通して目立ちました。せっかく相手が前のめりになっていて、カウンターのチャンスなのに、ミスで攻め込めなかった。そして、引かれた後はビルドアップの問題はないのですが、当然崩しにくくなります。そういう時にセットプレーに威力があればいいのですが、直接FKを決められるようなキッカーはいませんでした。

●「4-4-2」から「4-2-3-1」へ
第9節のレノファ山口FC戦では開幕以来の2得点、しかし4失点食らっております。この試合は前半戦のターニングポイントでしたね。次の水戸ホーリーホック戦では北爪健吾をサイドハーフ(SH)に起用、井出遥也のボランチという奇策をやって0-1。初の連敗となりました。

第11節のカマタマーレ讃岐戦では富澤清太郎の負傷交代によって、ついにボランチ陣が全滅。若狭大志&長澤和輝のボランチ初体験コンビでしのぐことになります。

第11節のフォーメーション図

次の京都サンガF.C.戦は北爪が相手サイドバック対策のためにSHで起用してドロー。相手を分析して丁寧に対応しようとしていたのでしょうが、新加入選手ばかりでベースもでき上がらないうちにやったせいか、その場しのぎの感は否めません。

第12節のフォーメーション図

その後のロアッソ熊本戦FC岐阜戦で連勝を収めて3分の1を終えています。6勝4分け4敗。

第13節のフォーメーション図

その間、守備陣はほとんど変わっていません。GK佐藤優也、DFは多々良敦斗、イジュヨン、近藤直也、阿部翔平の不動の4バック。対照的に中盤から前は変化しています。第6節まではボランチがアランダと富澤または山本真希、右サイドが小池純輝、左サイドは井出か長澤。2トップは船山貴之とエウトン、または吉田眞紀人でした。

第1節~第6節のフォーメーション図

第7節・ツエーゲン金沢戦から小池が外れて、井出と長澤の両サイドになります。この2人に船山、吉田が絡んだ時のパスワークが良く、攻撃の柱になりそうでした。しかし、第9節の山口戦ではパスワークで上回られ、続く水戸戦は人選を変えていいところなし。第11節の讃岐戦から元に戻すかと思ったら、今度はボランチ全滅……。

ただ、ケガの功名といいますか長澤のボランチがけっこういいことに気が付きます。第13節・熊本戦からは、エウトンの1トップに船山、町田也真人、井出の2列目が定着。熊本、岐阜に連勝。町田は得点力覚醒でレギュラーポジションをつかんでいます。

長澤和輝

長澤のボランチ定着と町田の台頭、これで「4-4-2」から「4-2-3-1」へ変わり、ようやく戦い方が固まってきます。次回は3分の2、第28節までを振り返ります。

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