【戦術分析:千葉】2017JリーグDAZNニューイヤーカップ(文・西部謙司)
●テーマは「ハイプレス」と「ビルドアップ」
2017JリーグDAZNニューイヤーカップは1分け1敗で終了しました。緒戦のFC琉球戦は強風の影響もあり、チームもまだ始動したばかりとあって、よく分からないまま1-3の完敗。北海道コンサドーレ札幌戦の方は、かなりフアン エスナイデル監督のやりたいことが出ていた印象でしたが0-0。
まあ、この時期の試合結果はあまり気にする必要はありません。いまチームとして何をやろうとしているのかが重要でしょう。2試合の共通項は「前からのプレス」「後方からのビルドアップ」でした。
スペインから来た監督ですから、予想通りという感じですかね。リーガ・エスパニョーラはゴールキックからビルドアップしていくチームが多く、当然そこへプレスしていく守備も浸透しています。ハイプレスとプレス外しの攻防はヨーロッパの流行なので、だいたい半年から1年遅れで戦術が入ってくるJリーグでは新シーズンのメインテーマになるかもしれません。
ただ、ヨーロッパと違ってJリーグは夏にも試合があります。そして、日本の夏はハンパなく暑い、湿度が高い! 日本の条件下でヨーロッパと同じ強度のプレスを続けるのは、まあ無理だと思いますよ。Jでハイプレスがいまいち浸透せず効果もないのは、選手の意識や肉体的な資質も関係するとはいえ、気候条件が決定的かと。そのへんを各チームがどう調整するのかは見ものではあります。
●同数プレスとハイラインの裏
ハイプレスが比較的ハマっていた札幌戦を例に、千葉のハイプレスがどんな感じだったかを、まとめてみましょう。
最前線からプレスする場合の注意点はいくつかありますので列挙します。
①DFで数的優位を作るのか、同数にするのか
②GKまでプレスするのか。するならどの相手をマークしないのか
③ハイプレスを外された時のリトリートへの移行
④リトリートもできない時のカウンター対策
⑤プレスの種類とカバーリングの整合性
単純に前から行くといっても、組織的にざっとこれぐらいのクリアすべきポイントがあります。
まず①の数的優位か同数かに関しては、札幌戦では同数プレスが何度か見られました。
(残り 2189文字/全文: 3075文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ