犬の生活SUPER 西部謙司WEBマガジン POWERED BY EL GOLAZO

【ユナパな話】VOL.29「最後の答え」

●適性はパス500本?
先日、風間八宏監督(名古屋グランパス)と話す中で、

「パス本数は600本ぐらいが、ちょうどいいみたいだね。800本以上はつなぎすぎ」

という話題が出ました。風間さんは、いわゆる“パスサッカー”の人ですが(本人はこの言われ方は好きでないみたいですが)、つながればいい、というものでもないようです。800本もつながっているのは凄(すご)いことではありますが、このぐらいだと後方でつないでいる数が増えているだけという場合が多いそうです。スムーズに攻め込めていないし、崩す手前で手間取っていて、仕掛けの回数も多くない。そういう展開になった時にパス数が跳ね上がってしまうのだと。

千葉のここ3試合をチェックしてみますと、第15節のロアッソ熊本戦が720本、ポゼッションは69.6パーセントでした。これ、かなり凄い数字です。しかし結果はご存じのように1-1のドローでした。第14節の東京ヴェルディ戦は612本(ポゼッション64.4パーセント)、風間さん説によれば適正値なんですが0-3で完敗しています。その前の第13節(V・ファーレン長崎戦)の5-0と大勝したゲームはパス411本、ポゼッション58.4パーセント。千葉としては例外的にパス数もポゼッション率も低かったわけですね。

千葉の適正値はパス500本以下、ポゼッション60パーセント前後というところでしょうか。まあ、これは、あとで数字を見ての話なので、「今日はパスがつながりすぎているから、もうつなぐのはやめよう」とか、そういう話には当然なりません。

●最後を決めないから行き詰まる
先日、J1の川崎フロンターレがパス1000本を記録した試合がありましたが、結果はやはり引き分けでした(清水エスパルス戦)。チームによってパス本数の適正値は違うと思いますが、あまり多すぎると良くないのは確かみたいですね。

パスがつながれば攻撃時間が増えますし、チャンスも多く作れるわけですが、それもある値を超えるとマイナスに作用する。というより、スムーズにシュートへ持っていけないのでパスの本数がいたずらに増えてしまっている、ということでしょう。

風間さんが川崎Fの監督に就任して最初の1年は、ほとんどゴール前の練習ばかりやっていたそうです。仕掛けて崩してシュートする、それを防ぐという練習です。

「だって最後のところの答えが分かっていないと、ビルドアップできても意味ないでしょ?」

はい、その通りです(笑)。千葉のことを言われたわけではないのですが、まさにパスはつながっても得点にならない状態なわけです。

(残り 1414文字/全文: 2481文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ