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【無料記事】清野コラム第2回『FUGAvsCAFURINGA、12-0の衝撃』

試合中も選手とのコミュニケーションは欠かせません。

 

清野潤 http://www.zott.co.jp/

 

ZOTT WASEDA FUTSAL CLUBの清野潤です。

前回のコラム、書いている途中で自分でも思いもよらぬ方向に進んでいってしまったのでかなり心配していましたが、たくさんの方々からお褒めの言葉をいただき、ホッとしました。これからも皆さんに読んでいただけるようにがんばって書いていきますね。

 

今回は純粋に関東リーグのインサイドレポートにプラスして自分の意見を少々書いていきたいと思います。9月23日に墨田区体育館にて行われた関東リーグ11節。誰もが衝撃的だったのはこの日の最終試合FUGAvsCAFURINGAの12-0でしょう。この試合の結果には単純な攻撃力、守備力以上に、前回に引き続きですが『メンタルの体力』の要素がかなり含まれていると思います。メンタルメンタルいってばっかりいると精神論者なのかと思われてしまいそうですが…(笑)

 

『得点を重ねること』で低下する1失点に対する危機感

僕が注目したいのはFUGAが12得点している中で失点ゼロに抑えているという部分です。もちろん40分の試合を失点ゼロに抑えるためにはチームとしての統一意識の元で組織化された守備、FPひとりひとりの守備能力、GKの能力、そして相手の攻撃の時間を短くするための自チームの攻撃力等々必要な要素は多々ありますが、それを40分間続けるためにはメンタルの体力が必要になってきます。それは前回のコラムで書いたようにフィジカル的な要素の低下に比例して下がり得るものですが、それ以上に『得点を重ねること』によって下がってしまう可能性が高いものだと僕は常々感じています。要は1-0で勝っているときには保てていた1失点に対する危機感が、得点を重ねて勝ち点3が目の前にチラホラしてきたころに薄れやすいということです。点差がついていると守備だけでなく攻撃も軽くなりやすいですからね。攻撃と守備が背中合わせのフットサルでは攻撃が軽ければ失点も増えてしまうものです。

 

常に全力でプレーができる金川武司選手

12得点したこともですが失点ゼロに抑えたFUGAの素晴らしさを目の当たりにした試合でしたね。監督の須賀君が注意喚起したのだろうとは思いますが、もし須賀君の注意喚起無しに選手達がそれを40分間実行できていたのであれば、さらにまたすばらしいですね。今年東京都選抜に選ばせてもらった金川武司という選手の僕が考えるすばらしい点は、どういった状況でも常に全力でプレーができるところだと思います。プレー中だけでなく、ベンチでの存在感も大きいです。負けていて頑張るのは当たり前で誰にでもできることですが、かなりの点差をつけて勝っている試合で100%の全力プレーをし続けるのは口でいうほど簡単なことではありません。彼のような存在がいることも12-0の結果に結びついているのだと思います。

FUGAばかり称賛してしまいましたが、負けたCAFURINGAは全く弱いチームではありません。武司と同じく東京都の選抜にも選ばせてもらった夏野雅生、坂本隆といった素晴らしい選手もいて、関東を代表する点取り屋の垣本右近さんも健在ですし、熱いサポーターもいて地域に根差した活動をしているすばらしいチームです。仕事とフットサルを両立させようとしている部分では僕たちZOTTと同じ考えのチームです。東京都リーグ1部、関東2部、関東1部といろんなカテゴリーで長年対戦し続けてきた腐れ縁の様な間柄なので、CAFURINGAのことはよく知っているつもりですが、絶対にこのまま引き下がるチームではないと思います。次のFUGAvsCAFURINGAが注目ですね!

 

先ほど得点を重ねて勝ちが見えてきたときに1失点への危機感が薄れると書きましたが、それは勝ちが見えたときに限らず、試合開始早々に得点できたとき等にも起こりうることだと感じています。緊張感を持って試合に入って早い時間帯にいい形で得点が入ったのに、それによって守備への緊張感も解けてしまい結局1-1になってしまったという経験ありませんか? ZOTTは情けないことに何度もあります。注意喚起してもなかなか難しい部分です。こうなった場合のメンタル的な優位性は絶対的に同点に追いついたほうにありますから、得点後の失点は本当に気をつけなければならないですよね。

 

是が非でも勝ち点3を、という統一意識が結果に

11節の僕達ZOTTは1周り目で負けているBlackShortsと試合でした。ケガ人が多数出て、出場可能な選手全員を登録して12人ピッタリな状況でした。チームの運営体制的に関東1部のチームのとしては恥ずかしいことだと思います…。まさに前述したように得点後の失点を4度繰り返し残り7分の時点で4-4、残り3分切ったところで始めたパワープレーから残り1分で1点勝ち越して5-4でなんとか勝利した試合でした。

同点の状態でのパワープレーは僕自身記憶が無いので、ZOTT史上始めてのことだったかもしれません。この試合で思い切って決断したのは地域チャンピオンズリーグ出場圏内の3位の確保を考えたときに、引き分けで勝ち点1を得て終わることと、負けて勝ち点0で終わることは、同等だと思ったからです。とはいえ連敗中のチームがこの決断によりさらに負けを重ねることになったら…、と頭をよぎる部分はありましたが、信じるしかないと強気で決断しました。パワープレーの練習をしてきたメンバーが数人この試合に出場できておらず、形も今まで練習していないイレギュラーなもので臨んだので1分しかないタイムアウトで選手を不安にさせないために発したひと言目は『信じて』でした。僕の心配は杞憂だったようで、ピッチに送り出した選手達は不安になるどころか強いメンタルで作戦ボードで説明したとおりのことを実行してくれて、結果を出してくれました。僕の考えどうこうよりのチームとして、この試合は是が非でも勝ち点3を取りに行くぞという統一意識を持てたことが結果に結びついたのかなと思います。

ここで得た勝ち点3を無駄にしないように、中断期間の2か月をしっかり調整して12月の12節に臨みたいと思います。

 

それでは今回はこの辺で。次回は依頼をいただいた『クワトロ・ゼロ』とはどんな戦術ですか? について僕なりの意見を書きたいと思います。

 

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