問われる戦況を読む力、日本がベネズエラに辛勝(第3回女子ワールドトーナメント)
ベネズエラ戦に挑んだ日本代表。
文・写真◆座間健司
グループAに属する日本はポルトガル戦から1日間を置いて、3節にベネズエラと対戦した。
日本は前半から主導権を握ると、8分に吉林千景のチップキックのパスをディフェンスの裏に走り込んだ芝原夏奈がつま先であわせて、飛び出してきたゴレイロの頭上を抜く技ありのシュートで先制する。この日キャプテンを務めた芝原のゴールで先制した日本はいいリズムで試合を進め、スコアボードもすぐに動かすことできた。10分、相手ゴール前に攻め込んだ日本。一度はボールを奪われたが、ベネズエラのディフェンスがもたついているところを小出夏美がボールを奪い返すとすぐさま寄せてきたディフェンスを切り返しでかわし、左サイドにいた吉林へ。レフティーの彼女は飛びつくゴレイロとコースを阻もうとするディフェンスを冷静に見極めて、ボールをゴールに流し込んだ。
前半半ばにして2点を奪った日本。この後も前半は終始日本ペースで進んだ。しかし、このリズムがいい時間帯で3点目を決めて、試合を殺すことができなかった。その詰めの甘さが後半に響いた。
後半、ベネズエラは戦い方を変えてきた。
ひとつはディフェンスラインを高くし、前線から積極的にプレスを仕掛けてきたこと。前半は自陣での相手プレスはほとんどなく、相手陣内からプレーを始めればよかった。しかし後半は前線からのプレスで自陣からしっかり攻撃を構築しなければならなかったが、適応できていなかった。在原正明監督は相手がプレスをかけてきたのだから、前半のように足元にパスを出すのではなく、走り込ませるようなパスを出すように指示を出していたが、ピッチにいる選手たちは前半と全く同じ戦い方をしてしまった。足元にめがけてのパスはプレスの絶好の標的だ。
この日先発で出場した日本の関灘美那子。サイドでボールを持ち、積極的に仕掛けた。ファーサイドにも必ず顔を出していた。
21分、日本はキャプテンの芝原が相手のプレスから逃れようしたところを最後尾で捕まえられ、強引にゴールに押し込まれた。後半早々、早速自分たちの狙いからべネズエラは1点を返した。この得点は大きな勇気を与える。一方、日本は早急にやり方を変えてきた相手に応じて、プレーを変えなければいけないが、うまくできない。
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