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類似したスタイル、勝者は必然とより個の力を持つチームに(第3回ワールドトーナメント決勝・ブラジル☓ポルトガルマッチレポート)

 ブラジル代表のエース、バネッサがドリブル突破からシュートを狙う。

 

 

現在のフットサルには2つのスタイルがある。

 

ひとつはかつて全盛を極めたセレソンのスタイル。個々の高い能力を活かし、ゴールを狙う。具体的にいえば、サイドで1対1となる局面をつくり、そこで個人の能力の高い選手に徹底的に勝負させる。もしくはピヴォを使い、攻撃の形を構築していく。

 

そして2000年、もうひとつのスタイルが生まれる。それはブラジルと全く違うものだ。考案し、体現したのはスペインだ。組織的なディフェンスと組織的な攻撃。ゾーンディフェンスと個人戦術。ブラジルに比べれば劣る個人技の差をスペインはその組織力で、埋めようとした。2000年、そして2004年にスペインはブラジルにとって代わり、世界王者となる。

 

現在はこの2つに続く新たなスタイルがまだ誕生していない。ブラジルは1対1やピヴォ当てを基軸とした個人に重きを置いたスタイルそのままだが、ディフェンスは全員守備とスペインのいいやり方を取り入れている。一方のスペインはセットプレーの精度を高め、パス回しをさらに合理的に、さらにオートマッティクにしようと試みている。

 

ブラジル代表のバネッサがフリーキックからシュートを放ち、ゴールを決める。

 

 

男子も女子もそれは変わらない。

 

もし決勝戦、ブラジルと対峙するのがスペインだったら、スタイルが違う者同士のゲームはもっと接戦になっていただろう。ただスタイルが同じ者同士がプレーした場合、個人能力が上回るチームが勝つ。ブラジルとポルトガルはスタイルが同じだった。必然的にスタイルが同じならば、勝つのはより強い個を持つチームだ。

 

セレソンが勝利することは前半を見れば誰の目にも明らかだった。

 

試合は序盤から最後までカナリア色のユニフォームが自分たちのペースで試合を進めている。ポルトガルにもチャンスがなかったわけではない。彼女たちには会場に立ち見が出るくらいの自国サポーターがおり、その声が背中を押していた。絶対的なホームだ。

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