[マッチレポート]偉大なるバルセロナの個々のタレント(スペインリーグ25節・サンタ・コロマ)(2013/6/20)
バルセロナのスペイン代表セルヒオ ロサノが前半同点ゴールを決めて、ガッツポーズをする。バルセロナがサンタ コロマに逆転勝ちした。
写真・文◆座間健司
サンタ コロマのホームで行われたバルセロナ戦。バルセロナに本拠地を置く両チームの“バルセロナダービー”だ。収容人数2,400人のサンタ コロマのホーム会場がまるで圧力鍋のように息苦しく感じる。バルセロナの多くのサポーターが駆けつけ、バックスタンドとゴール裏の全てを埋めるサンタ コロマを応援する地元民がその集団に敵意をむき出しにする。遠い国よりも隣国と問題を抱える国際情勢のようにフットボールもすぐ近くにいるライバルへの対抗心は強い。
サンタ コロマはこのゲームを勝たなければ、上位8チームが出場できるプレーオフ進出への道は閉ざされる。対照的にアウェーに乗り込んできたバルセロナはリーグ戦でずっと首位を走っている。両者の陣容を見ると順位そのままの差を感じる。サンタ コロマには元スペイン代表のダニ サルガドに、20歳の攻撃の軸、アドルフォがいる。彼らは試合を一変できるスキルと力を持っている。一方のバルセロナはスペイン、ブラジルの代表選手が勢ぞろい。どこを見ても試合を一変できるタレントを持った選手がいる。
始まった試合はそんな名前だけを勘定した“たし算”をひっくり返すような展開だった。どうしても勝たなければいけないサンタ コロマがバルセロナを押し込んだのだ。
ダニ サルガド、アドルフォを中心にホームチームが攻撃を仕掛ける。まずは1点を奪う。そんな意気込みをひしひしと感じる。先制点を奪うことがサンタ コロマのゲームプランだったのだろう。スペインのチームが成熟していると思わず感心してしまうのがサンタ コロマのこのようなプレーだ。彼らはピッチ上の5人で「点を奪う」という強烈なメッセージを発する。それは観衆の誰が見ても分かるほどはっきりしている。「点を奪う」と強く意識し、その思いをコートで、プレーで表現できるのだ。集団なのに、5人がまるでひとりの人間のように一緒になって意志を表現する。個々がひとりずつ仕掛けるわけではない。集団で攻撃の意志を見せ、ゴールに迫るのだ。
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