デジタルピヴォ! プラス

[名将カンデラス語録]選手や子供たちが爆発するのをサポートできる監督、それがベストな監督だ(2014/1/25)

1_カンデラス
ヘスス カンデラス監督。昨年7月の来日時はイラン代表監督を勤めていた。

 

「スペインを代表する名将」「最も多くのタイトルを獲得した男」として知られるヘスス カンデスラ氏が昨年7月に「LNSF(スペインフットサルリーグ)指導者講習会2013」を開いたことをご存知の方は少なくないだろう。その呼び名のとおり、スペインリーグで2001-2002から2007-2008シーズンまで実に5回、優勝している文字どおりの名将だ。そのカンデラス氏の講習会初日のあいさつと講義で未発表のものが出てきた。ストレートにいえば当サイトの管理不十分による“お蔵入り”記事。しかし、読んでみると名将の貴重なコメントが凝縮されている。自分のちょっぴりの恥と外聞を捨てて読んでいただくことにした。子供の指導者のための講習会だったが、その発言は大人の指導にも通じる実に奥が深いものであることに気づかされる。

 

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

「監督」はいい「教育者」であれ

 

まずみなさんにお時間をいただき、今日この場に来ていただいたことを感謝しています。2つ目に、僕が日本語を話せないことを申し訳なく思います。3つ目に、今日のこのクリニックを、みなさん楽しんでいってください。楽しくないとやっぱりおもしろくないので。その3つをここでいわせてもらいます。

 

今日の目標、テーマは子供たちの育成についてです。子供たちがやるときのひとつの問題は、一体子供たちは何を求めているのか、どのようなことをやるか、何をすべきなのか。

 

子供たちにとってスポーツは、楽しむためのものです。しかしお父さんやお母さんにとっては子供がスター選手になることを臨んでいる。その子供と親の間の意識の差、そこがまずひとつの問題です。

 

まず最初に、監督とはどういう人物なのかを話しておきましょう。いい監督というのは、残念ですが、トップチーム、お金が発生するプロというカテゴリーの中にいます。残念ながら育成のカテゴリーの中では、プロではない少し劣るような監督たちがやっているのが現実です。

 

だからこれは、世界の中で解決しなければならないひとつの問題です。いい監督がちゃんと下の世代を見ることが大事です。そこでスペインでは「監督」といういい方以上に「教育者」、子供たちにいろいろなことを教える教育者という名前のほうを使って今浸透させています。いい教育者たちができるだけ多くの子供たちとトレーニングできるような状況をつくっていこうとしています。

 

十分な知識を持つ偉大なリーダー

 

子供たちと接するということは本当にフットサルにとって重要なことですし、みなさんにとって、そして子供にとっても重要なことなので、いい教育者になってください。自分も下部組織のチームで子供たちを率いていました。子供たちは卒業しても、そのときの監督のことはたぶん覚えていてくれるでしょう。特にタイトルを獲ったときには、そのときの監督に対する思い出も大きくなるはずです。成功がやっぱり一番、環境づくりの大きな意味があります。成功していくと、何も結果を出せないときよりも、成長への意識、物事にどんどん集中していくことができます。

 

みなさんが持っているその価値観というものを、その子供を通したときに、その価値観が2倍、3倍となるようにならないといけません。

 

では監督、教育者というものは条件として何を持っていなければいけないか。それには3つの柱があります。まず1つ目は、そのスポーツについてしっかりした十分な知識、方法論を持っていなければなりません。ただいい監督というのは、机上の空論だけでなく、ちゃんとそれを実践で見せられる、教えることのできる監督のことをいいます。今はインターネットを通せば千、万のトレーニング方法がありますし、それをみなさん見ることができます。それを見ただけで、知った気になることもできます。ただそれは意味がない。それに関しては同意していただけますか?

 

2つ目は、偉大なリーダーでなければなりません。3つ目は、チームのディレクターでなければならないということ。ちゃんとチームを経営・運営・コントロールすることができなければいけないし、練習や試合もちゃんとやらなきゃいけない。目標が何なのかをチームに設定し、そうしたプランニングがしっかりとできる監督でなくてはいけません。

 

その3つを身につけるためには、コミュニケーションをとることが一番大事です。自分の経験からいうと、コミュニケーションがなければこうした3つの柱はできません。どんな監督でもディレクターでも、コミュニケーションがなければ絶対にいいチーム、いい監督、いいディレクターと評価されることはありません。

 

大切なのはコミュニケーション

 

無駄な時間、自分たちにとって意味のない時間を過ごすと結果も出せません。育成のカテゴリーの中では、練習するときに目標が何なのかをしっかり設定しなければなりません。ただ単に練習をしていても意味がない。目標に向かってしっかりとプランをつくって持っていかなければなりません。

 

(残り 5707文字/全文: 7871文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ