デジタルピヴォ! プラス

[無料記事/フットサル日本代表候補合宿]3日目フォトレポート(2015/6/10)

タイトル画像、実践形式で行われた紅白戦。実践形式で行われた紅白戦。

 

合宿最終日は、あらゆることの線引きがされた内容だった。
2日目までは道筋を立てる監督の話に時間が割かれ、理解度を深めることに終止ししたが、3日目はより実践的な内容となり、トレーニングは判断と調和の時間となった。
判断と調和。
「なんとなくやっていたところを、なんとなくやっていたら、代表では通用しない」。これは、芝野選手がインタビューで発した言葉である。
チームとしてひとつになる。それに必要なこととは何か。3日目の様子をお伝えしながら探っていこう。

まとめ◆デジタルピヴォ! 萩野千絵

 

《画像 全員集めてロドリゴ監督訓示》

 

「緩いパス、コントロールがずれた、背中を向けて受けた。そういうキューをみんなで合わせて」
主となるトレーニングは、前日の言葉の繰り返しから入った。

3日目、追加されたテーマは、プレスとプレス回避。
メニュー数は少なく、ほぼ、実践に近い内容だ。
少しの制約は、ボールがアウトするたびにゴレイロからスタート。
あるいは、ゴレイロからのスタートで旋回か、自陣の深い所での、低い場所からのプレス回避。
簡潔に条件が伝えられ、最初に入る選手の名が、監督から直接告げられた。

「タキタ、ニブヤ、ヨシカワ、カオル。
ラファエル、ニシタニ、アキラ、ワタナベ。OK? 行こう!」

最初に呼ばれた4人はビブスなし。
次の4人は黄色チームとなった。

 

《画像 カオルがドリブル》

 

少し案内を加えるならば、前日から繰り返されている確認事項はディフェンスのときの話で、冒頭の文のあたりにある、「そういうキューをみんなで合わせて」というのは、相手の状態を見て、「今でしょ!」というチャンスが来たら、みんなで一緒に一気に仕掛けろ。
と、いうことだろう。多少の懐かしささえ感じる言葉ではあるが、まさに今、そのニュアンスがしっくりとくる。

 

《画像 遠景のゲーム風景》

 

「あー。いま残ればよかったかな」。森岡選手から仁部屋選手へのパスが通らなかったシーンで、仁部屋選手からこぼれた言葉だ。

頭では分かっていても、それを体現するのはとても難しいことなのだろう。だから、みんなでトレーニングをする。日本代表の選手になるということは、代表のやり方で、戦う選手になるということ。
ピッチサイドでも、選手同士が、「今のところ走りすぎたかな? こうでもよかったよね」「もうちょい前でもいいし、来たら運べばいい」とお互いに話し合っている。

2日目は動きの中の細かい部分に声がけが行われていたが、3日目はより実戦に近いトレーニングの中で、ゲーム中の大半の判断は選手たちに任された。
その中で、不調和が起こったとき、例えばディフェンスの3枚が横一列に並んでしまい、裏をとられた場面などでは、
「今、突破された所は、ディフェンスがラインになっちゃったからね」。その場ですぐさまミゲル監督による検証が行われ、修正がほどこされていく。

特に気になった部分のみ、個人戦術的な要素についても個々に言葉をかけているが、ミゲル監督は、トレーニングのテンポを落とさず、シンプルでダイレクトな言葉で説きながら、チームを完成へと導こうとしている。

 

《画像 吉川ドリブル、西谷マーク》

 

ボールホルダーの吉川選手は、右も左もサイドで勝負ができる選手。クアトロのパス回しの中、昨日のトレーニングどおり、西谷選手がしっかりとプレスをかけている。

 

《画像 吉川ドリブル、西谷マーク連続写真》

 

しっかりデフェンスがついているときは無理をしない。連続した2枚の写真を見ると、それもひとつの選択肢だということがよくわかる。ボールにかかる状況を見ていて森岡選手がパスコースをつくりに入ってくる。

チームとして徹底的に考えなければならない重要な部分は、リスクのほうが高いとき、アドバンテージとの確率の問題で、いつ仕掛け、いつ仕掛けないのか。
何をもってそれを判断するのか? ということがトレーニングの中で集約されていく。

行くか、行かないかは、より確実なほうをとれ。というメッセージと、それを決めるときの考え方とポイントの解説。聞いていると、まるで講義でも受けているかのようだ。

それを、ピッチの上で実際にやりながら、経験を積ませ、選手たちを「戦える選手」として育てていくミゲル監督。

 

《画像 芝野を指導するロドリゴ監督》

 

新しく呼んできた選手には、より丁寧に、選手が代表のやり方を自分のものにしていけるように、それを伝えている。今年は、芝野選手にそれをする機会が多く見受けられた。

 

《画像 赤いビブスの加藤竜馬》

 

去年、同じように指導を受けていた加藤選手は、もうすっかり代表の一員として、サイドからの攻撃の一手を担い、持ち味であるスピードを活かしたプレーを発揮している。

 

《画像 左コーナーキックのリスタート》

 

3日目の今日は、チーム全体の動きについての指導が重点的に行われている。ここの高さまできたならやろう。無理してスピードアップしない。ドリブルしている選手にいいプレスがかかったら、残ってもいい。ゴレイロまでを連動させよう。

大きな枠組みをつくるべく、チームとしての選択肢を広げる言葉がけを多様していた。

試合になれば、ピッチの上で直接相手とぶつかり合うのは選手たちだ。
彼らが迷うことなく判断できるよう基礎を築き、戦える選手にして送り出す。

フットサルはチームスポーツだ。セットは5人でひとつ。

誰かが、キツければ、ほかが助ける。
誰かを生かすために自分が体を張る。

例えば選手の組み合わせが変わっても、同じやり方を共有している選手同士なら、誰とでも組める。
そういうチームづくりが行われている。共有できる選手が増えれば、その分、どんなチームにしたいか考えたときの選択肢が増える。
それぞれの持ち味のカラーが違う選手が集まるこのチームは、どんな青をまとったチームになっていくのか??
最終目的はアジア選手権。その1歩目は、目前に控えたベトナムとのトレーニングマッチだ。ここが、彼らの始まり。これからの彼らと共に歩もう。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ