デジタルピヴォ! プラス

[山下コラム]湘南ベルマーレ・岡村康平にみるピヴォからフィクソへのポジションチェンジとその難しさ(2016/10/13)

湘南ベルマーレ、7番、岡村康平、ただいま試練のとき。

 

ドリブルで左サイドを切り裂く。よっぽど攻撃が好きらしい。

 

湘南ベルマーレの岡村康平(29歳)をご存知ですか? これまで体の強さとキープ力を生かして最前線でピヴォとして張っていた男だ。クアトロ:ゼロ(4:0)全盛の中でピヴォらしいピヴォといっていいプレーヤーだった。ところが、リーグ中断前の第13節・小田原セントラルの町田戦でプレーするところを久々に見た岡村は、「今日ほとんどピヴォの位置にいなかった」という。ピヴォから「後ろ目」にポジションチェンジしたプレーヤーの苦悩を見てみよう。

まとめ◆デジタルピヴォ! 山下

 

開幕2、3節で連続ゴール、ピヴォとして順調な滑り出しのはずが

今季の岡村はピヴォとして開幕節から3節まで試合出場を果たしている。開幕節こそなかったが2節・北海道戦、3節大分戦でゴールを決めるなど、まずは順調といっていい滑り出しを見せた。
ところが4節から7節まで4試合ベンチ入りもできなかった。復帰は8節からで、9、10節と3試合連続出場、10節浜松戦で今季3ゴール目を決めている。13節での出場は3試合ぶりだった。
結局、4節以降「出たり出なかったり」(岡村)の状態が続いたわけだが、その4節のホームゲームで僕は横澤直樹監督に岡村をなぜ使わないのか聞いている。ピヴォとして彼の体の強さを生かさない手はないではないかという気持ちからだ。それに対する横澤監督の回答はこうだった。

“彼はチームがボールを失った後の切り替えが遅いために使えない”。

今のFリーグはハーフ付近でのボールの奪い合いが激しくショートカウンターの応酬となるケースが目に見えて増えている。そんな状況で攻撃から守備の切り替えが遅く、ファーストディフェンスにまごついていては簡単に突破を許すことになる。岡村を擁護したい気持ちでいた僕だが、これにはぐうのねも出なかった。岡村自身も、「守備に対する意識ということだと思うんですよね、多分。守備にどう切り替えていくっていう、今までそこまで意識してなかったのが、カウンター主体のチームと当たったときに、(自分の課題が)浮き彫りになって、そこで遅れているっていうのを映像で確認しました。そこをトレーニングを積んでかないと今のチームにフィットしないということだと思います」と現状をしっかり把握していた。
もう1つ、彼の出場を拒んだ副次的な要因もある。今思えばこの時期、神戸から加入したロドリゴがクアトロからの前目のポジションでチームにフィットしだし、持ち前のスピードで大活躍を始めるのと符合するのだ。府中、神戸そして湘南と渡り歩いてきた“助っ人外国人”ロドリゴにとっても安住の地を得るために必死だった。加えてサテのロンドリーナから昇格した林田 フェリペ良孝とロドリゴのコンビネーションが冴え渡り、岡村ははじき出される格好にならざるを得なかった。

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