デジタルピヴォ! プラス

[由梨のイタリア日記④]外国人選手との共生

イタリアで活躍している仲井康大選手。18歳でイタリアに渡って2年目になる。

 

今回の訪問クラブ、モンテシルヴァーノC5の練習風景。

 

 

 

モンテシルヴァーノC5の練習場。

 

アブルッツォ州ペスカーラ県モンテシルヴァーノという人口5万人ほどの町にもセリエA EliteのBグループに所属しているMontesilvano Calcio a 5 Femminile(モンテシルヴァーノ カルチョ ア チンクエ フェミニーレ=以下モンテシルヴァーノC5)というチームがあります。そこはゴールド(上位)リーグ、スクデット(リーグ優勝)への戦いが始まっていて、初戦は落としたものの、この日は10−1で快勝したそうです。自分たちの試合が終わってから選手・監督たちがペスカーラC5の試合を観戦しに来ていました。

モンテシルヴァーノC5は昨シーズンのスクデットを制し、イタリアチャンピオンにもなったチームで、監督はフランチェスカというイタリア人の女性です。もともとはチッタ ディ ペスカーラC5やモンテシルヴァーノC5でプレーしていたフットサラーで選手兼監督を4年間やって、今は監督としてチームを率いています。フランチェスカ監督は「昨シーズンからチームのメンバーが半分ほど入れ替わり、今はシーズンが始まって5か月ほどがたったけど、イタリア人はまだまだ個人技術の部分で劣っているため、どうしてもチーム内ではブラジル人やスペイン人に頼ってしまうところがある。またブラジル人やスペイン人が相手だとかなわないところも出てきてしまうけど、それにチームとしてどう対応していくかを課題に練習を組み立てているところ。なかなかうまくいかないのだけどね」と話していました。また練習中にも仲間同士が下品な言葉を使っていたときには練習を止めて選手を集め「ライバルとして常に戦うことは大切だけど、仲間にリスペクトがないならそういう選手はいらない」と喝を入れている場面もありました。

練習は毎日あり、1週間の流れは基本的に月曜日がトレーナーの指導のもとリハビリ、火曜日はトレーナーによるコーディネーションやフィジカル、水〜土曜日が通常の練習となっているようです。トレーナーによるトレーニングがすごくおもしろくて、フットサルにできるだけ近い状態や状況で行われているのが印象的でした。練習時間は1時間半から2時間で行われています。選手はイタリア人、イタロ・ブラジル人、ブラジル人、スペイン人からなる18名ほどが所属しており、毎日切磋琢磨しています。

 

ユニオレス練習試合モンテシルヴァーノC5vsペスカーラC5。

 

もちろん、ユニオレス(U-18)という下のカテゴリーのチームも保持していて、先日はモンテシルヴァーノC5とペスカーラC5のユニオレスの練習試合も見させてもらえました。なぜかペスカーラC5のベンチで観戦。みんなは「ゆり、なんでベンチにいるんだ」って笑っていました。私もなんでかわからないけど流れでそうなっていました(笑)。ユニオレスのリーグ戦も先週から始まっているそうです(チーム数が少ないためこの時期に開幕)。

 

アルゼンチン代表をワールドカップ優勝に導いたジュストッツィ監督と。

 

アルゼンチン代表監督のクリニック。

 

そして、日程が変更になったことでペスカーラ滞在最終日に行われたフットサルアルゼンチン代表監督ジュストッツィ氏のクリニックに参加することができました! イタリアサッカー協会が普及のためにトレヴィーゾ、ナポリ、ペスカーラの3都市で開催したもので、申し込みさえすれば無料で受けられるものでした。しかも無料なのに講義と実技見学が各2時間たっぷりと。主にアルゼンチン代表をどのようなコンセプトとビジョンを持ってつくり上げたかを守備面と攻撃面に分けて話してくれました。クリニックにはそれぞれの都市で150名以上の指導者や指導を目指すものが参加していました。

さて、次回は次なる地へ。

 

仲井選手が所属するクラブ『イタルポル』は4部リーグのC1の4位につけている。

 

【イタリアで頑張る日本人選手】
第3回目は仲井康大選手。
18歳でイタリアに渡り、サッカーをプレーした後にフットサルに転向して2年目。
現在は、イタリア大手の警備会社が持つクラブ『イタルポル』に所属し、トップチームとユースチームを掛け持ちしながらプレーをしている。チームは、4部リーグのC1の4位につけている。

仲井選手からのコメント
「優勝を目指すために昨年のメンバーをごそっと替えて結束されたこのチームは、スタッフの入れ替わりも激しいが、シーズン当初の監督が先月解任後、再度戻ってきたことでチームもまとまり、今しなければいけない課題がしっかりわかってきている。自分も、U-21では常にゴールを決め続けており、今季トップチームで思うような結果が出せていないが、来季のための大きなアピールにはなっていると思っている。
今後の抱負は、フットサルで上を目指すために来季は同じこのカテゴリーで15ゴールは決めたい。また、ピッチ外では新しいことへのチャレンジを常に続け、いろいろなことを吸収したい。せっかく海外に出てきたのだから、将来スポーツと衣食の分野でいろいろなビジネスに携わっていきたいと思っているので、その目標に向けての準備を今しっかり行いたい。
日本とは全く違う考え方の中、外国人の日本人が認められるためにはどうしたらいいのかと、毎日考えることで成長できているし、海外に出たことでたくさんのことが学べている。
この機会をくれた、カルチョ ファンタスティコさんには、感謝をしたいし、今年からバイト先も紹介してもらいました。今は本当に海外を満喫しているし、後は結果を出すだけだと思っています!」
(情報提供:カルチョ・ファンタスティコ http://calciofantastico.com

 

<プロフィール>
横山由梨(よこやまゆり)
イタリアで大学に通いながらサッカーやフットサルをプレー。日本とイタリアのスポーツ・文化交流などにも携わり、イタリアサッカー協会公認フットサル指導者ライセンスを取得。そのときにフットサルマガジンPivo!でイタリアフットサル情報「cosi fan tutti」を連載。その後は地元の神奈川県に帰還し、指導者として地元のチームでサッカーやフットサルの普及に力を入れつつ、秦野フットボールクラブでフットサルプレーヤーとして活動中です。
秦野フットボールクラブ女子フットサルでは、今季一緒に神奈川県1部リーグで闘ってくれる仲間(選手&コーチ)を募集しています。詳しくは秦野フットボールクラブホームページ(http://www.hadano-fc.org)またはFacebook(https://www.facebook.com/ladies.hadanofc/?pnref=story)にて。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ